魔法適性ゼロの俺がおくる学園生活

櫂真

長い1日の終わり

お気に入り登録50人超えました!!ありがとうございます!!これからも楽しんで頂けるよう頑張ります!
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 伯たちは都市内を一通り回った。
 まず、近くのレストランに入り昼食を済ませ、その後カラオケに行き、歌った。シャリアと七織は主にラブソングを伯に向けて歌っていたので、カラオケボックスが謎の空気に包まれた。カラオケを出て、ゲームセンターに行った。以外にも龍平がクレーンゲームが上手く、センター側が泣くほど取っていた。ゲームセンターを出て、伯たちはブラブラと都市内を回った。各自が次行ってみたいところや皆で遊べるところを見つけては目を輝かせていた。ある二人は、ホテルを見つけて舌を舐めて目を輝かせていたが…。
 周りが暗くなるぐらいまで遊びつくしたのでお開きとなった。伯、シャリア、七織の三人は寮、龍平、隼人、美穂、香耶も四人は駅から自宅に帰るということだったのでそれぞれ分かれた。
 「それじゃ、また明日。」
 「おう!学校でな!」 
 「うん、バイバイ。明日からは授業だね楽しみだな~。」
 「あ~、始まっちゃうか。あたしは少し面倒かな。」
 「美穂ちゃん、何でちょっとはやる気だそうよ…」
 「今日一日、楽しかったです。ありがとうございました。」
 「また、みんなで遊びない?今日は本当に楽しかったわ。」
 結局、明日全員でお昼を食べることが決まり、解散となった。



 龍平たちは四人で駅へ目指す。四人とも遊び疲れているが、いい表情をしている。今日一日の感想や次どこで遊ぼうか話していると、
 「伯とあの二人の関係って何なんだろうな?」
 ボソッと、龍平がつぶやいた。
 「え~何リュウ。男の嫉妬は見苦しいぞ。」
 「名前はもういいや。でも不思議じゃないか。話を聞く限りだと、あいつら一年たたずにあそこまでの距離まで仲良くなるなんて。ここ日本だぜ。アメリカじゃあるまいし。」
 「そうなんだよね。僕も少し気になってたんだよね。特にシャリアちゃん。両親が亡くなってからの行動が早くない?・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 「お~い、全員ストップ。これ以上の妄想はストップ。」
 「そうですよ。勝手に考えて、伯さんたちに変な妄想を植え付けるのはやめましょう。折角友達になれたのに。」
 「そうだな。なんか悪い。なんか変なスイッチ入ってたわ。」
 「僕もごめん。仲良くなったらきっと話してくれるよね。あっ、着いた。」
 気づいたら、駅に着いていた。四人は龍平と美穂、隼人と香耶がそれぞれ同じ方面だったのでそれで別れ、四人も家に帰った。





 伯たちは普段通り(?)シャリアが右、七織が左の腕に絡みつき歩いていた。
 「ところでシャリア、昼間喋りかけてたことなんだ?ほら、クラスが6つあるとか話してたあとなんか言おうとしてただろ。」 
 「ああ、そのことですか。ただ、<仕事>で私も現場入りしたことを報告しただけです。いや~難しいですね。訓練と実戦だとかなり違いますね。もっと訓練を積まない、ってわっ!何ですかお兄ちゃん!!いきなり抱きついて!!」
 「頼む。頼むから仕事で危険な場所はいかないでくれよ。」
 「分かってますよ。お兄ちゃんの前からいなくなりませんから。」
 シャリアを放して、七織を見る。
 「姫は仕事続けているのか?」 
 「いや、私はもうやめたわ。なんかあの後疲れちゃって。今はたまに臨時で呼ばれたりだったり、新人の訓練や手伝いかな。まぁ、今後の人生安泰だし良いんだけどね。」 
 「そうか。姫、なんかあったら言ってくれよ。少しは話通せると思うし。」
 「ハイハイ。伯は心配性ね。大丈夫よ。なんかあったら私からも言えるわ。」 

 三人は寮に着いた。伯の部屋は男子寮の四階、シャリアと七織もそれに続く。エレベーターに乗って移動し、三人とも四階で降りた。
 「いや、ここまでついてきたのも不思議だし、ここ男子寮だし!。なぜここで降りる?」
 「え?お兄ちゃんの部屋に行くからに決まってるからだよ。」
 「ん?伯の部屋に行くからだよ。」
 「なぜだろう?当たり前のように言われると俺が間違っているように思うんだけど。そんなことより部屋行くか。」
 
 三人は伯の部屋に入った。
 すると、七織は伯に抱きつき、ソファにダイブする。自分の顔を伯の胸に押し付け、
 「ねぇ?伯。なんで今日、冷たかったの?寂しいかったんだけど。」
  上目遣いでそう言った。
 「あ、うん。悪い。なんか、からかいたくなって。なんかして欲しいことあるか?」
 「だったら、ぎゅっとして。」
  「もうしてるぞ。」
 「頭撫でて。」
 「ん。ほら。」
  七織は気持ちよさそうに、目を細めた。
 「キスして」
 「ん、ちゅっ。」
 「あらあら、七織甘えん坊さんですか?」
 「いいじゃん。別に。シャリアも後でしたら?顔がすごい事になってるよ。」
 「ふん。私アナタと違って大人ですから何ともー」
「シャリア、来いよ。こっちに。」
「お兄ちゃんが言うなら仕方ないですね。」
 「なんだよ。シャリアも来るんじゃん。」
 シャリアも伯に向かってダイブし、伯に抱き着く。これから3人は男女の、営みを行う訳でない。3人はそれぞれの「大切」を失ってる。過ごしている時間こそ短いものの3人はお互いを「大切」だと思っている。だから3人は触れ合うことで温もりを、吐息を、肌を手を、心臓の音を感じ、安心を得ているのだ。自分と自分の大切な人はここにいるのだと。

 しばらくしてから、シャリア、七織は帰った。伯はそれを見送り、部屋に戻ると<仕事用>の電話が鳴った。
 「はい。もしもし、沙雪ちゃん?」
 「お前後で殴るからな。」 
 「んで、何の用ですか?」
 「仕事だ。本当なら、違うやつの担当だったんだが、体調を崩してな。代わりに頼む。」
 「了解です。」
 「自分の道具を持っていけ。」
 「はいはい。場所は?」
 「都市の隣にある街のAビルだ。」
 「分かりました。」
 「頼んだぞ。NO.1021」
 そこで電話が切れた。

 外に出ると「岡崎清掃」と書かれたマイクロバスがあった。運転席の窓を2回ノックし、開けさせる。
 「NO.1021です。」
 「んじゃ、乗れ。」
 運転手はそう言って、伯を乗せて発信する。
 「あ、トランクの中にお前専用のでかいのあるから持ってけだってよ。」
 「え、本当ですか?長い仕事になんないと良いなァ。」
 そんなことを話しながら、目的地に着いた。
 「んじゃ、行ってきます。終わったらどうすればいいですか?」
 「近くのコンビニにいるから、なんかあったら呼んでくれ。終わったら、呼び出せばいいから。」
 「分かりました。」
 そう言って、伯はビルに向かった。

 マイクロバスの運転手、市谷 和俊はバスの中で寝ていた。すると、いきなりこんこんと窓がノックされた。外を見ると、1021の少年がいた。
 「え?もう終わったのか?」
 「うん、<汚れ>が早く出てきてくれたからね。帰りもお願いします。」
 和俊なんで、わざわざ歩いてきたんだろう?、と思い、スマホを見ると三件の着信履歴があった。寝ていて気が付かなかったのだろう。和俊は何か言われるのではと冷や冷やした。
 「あ、ちょっといいですか?」
 「あ、おん。なんだ?」
 
 「ちょっとラーメン屋まで寄り道してもらってもいいですか?」
 和俊は一瞬、拍子抜けした。

 二人はラーメン屋に入り、それぞれ自分が注文したラーメンを食べていた。
 「すいません。ありがとうございます。」
 「いや、寄ったのはいいんだけど…。お前変わったやつだな。」
 「そうですか?」
 「何人か送ったことあるけど、仕事の後はなんかぐったりしていてテンション低い奴ばっかだし、俺みたいな「運び」にも挨拶するし、電話かけろ言っといて出なかったり。」
 なお、岡崎清掃には掃除を行う「清掃班」と彼らを運ぶ「運搬班」が存在しており、「清掃班」の方が「運搬班」より給料も高く、身分も上なのだ。
 「ああ、そうっすね。仕事後は、いっつもなんか食べないと落ち着かななくて。今日はラーメンの気分でしたから。あと、俺の上司が”人の仕事っていうのは一人じゃできないんだ。直接的にも間接的にも誰かと関わらないといけない。そして、そいつらとはもう会えないと思っておけ。一期一会だ。礼をわきまえろ。助けてもらったなら礼を言え。それができない奴は、仕事をする資格がない。”って言ってて、運んでもらえないと俺も仕事できませんしね。まぁ、誰だって眠くなりますから、仕方ないですよ。」
 伯は、笑顔で答えた。自分の上司とは全く違う接し方だ。

 二人は、店を出て学生寮に向かう。
 「お前変わったやつだよ。ほんとに。」
 「そんなに言わなくてもいいじゃないですか。あ、でもありがとうございまいた。おごっていただいて。」
 「ああ、別にいいよ。悪かったの俺の方だし、それにさっきの話を聞いたらな。あ、ほれ着いたぞ。」
 「今日、ありがとうございました。」
 「おう!あ、これ持ってけ。」 
 そこには、運転手名ー和田 和俊の名刺があった。
 「また、仕事あるときは、運びの指名頼めるか?気に入ったわ、お前の事。あと、それなりにフリーで呼んでもらえてもすぐ行くぜ。いろいろ、教えたり、アドバイスできると思うぜ。俺も学生時代あったし。お前ここに通うので学校通うの初めてなんだろう?」
 「おおっ。ありがとうございます。そん時は呼びますね。じゃあ、また「仕事」で。」
 「ああ、またな。」
 そうして、今回の伯の仕事は終わった。

 伯は自室に戻り、お風呂に入り、体を拭き、ベットにダイブする。今日一日でほんとにいろんなことがあった。シャリア、七織(姫)とも会えたし、新しい友達もできた。仕事仲間もできた。伯はほんとに幸せに包まれていた。そんな、幸せに包まれながら眠りにつこうとした。
 しかし、一瞬だけ伯本人すら、気づかずポロっと一言もらしていた。
 「俺がこんな幸せを感じて良いのか?」

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ええ、更新遅くなってしまい申し訳ございません。いや、ペース作るの難しいです…。なので、読んでいただいてる皆様には温かい目線で待っていただけるとありがたいです。ほんとにごめんなさい。話が変わり、最初にも言いましたが、お気に入り登録50人超えました。ありがとうございます。これからも精進いたします。ではここらへんで。また会いましょう。
 誤字脱字、意見、アドバイスあったらどしどし下さい。

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