あなたと心中したかった

受験生

習い事、空手

「はぁ…はぁ…」
遅れそうだ、「はぁ…はぁ…」遅れたらどうなってしまうのか。俺は自転車を一心不乱にこいだ。途中信号無視しをしてしまったが、何とか間に合った。
更衣室で道着に着替えたら空手の稽古はすぐに始まった。
「準備体操にシャドーやるぞ~、ここで体を暖めないと怪我するぞ~。」
館長である先生がタイマーをセットすると一斉にみんなが見えない誰かと組み手を始める。
「手を抜くなよ~お前らここで手抜いてたらいくら稽古やったって強くならないからな~」
俺はここがストレスの発散場だ。全力で組み手をする。前蹴り、左、右、回し蹴り、ガード、受け、ひたすら攻撃が空を切る。シャドーは思ったよりもキツイ、汗が出てくる。タイマーがなるとシャドーが終わる。
「はい次、サポーターつけてこい、突きと蹴りやるぞ~」
「オスッ」
大きい声で返事をしないとやり直しになる。サポーターをつけると、ミットを構えた人が前に出てくる。
「はい突きやるぞ~。腰回さないと力でないからな~相手に当たる瞬間に拳を握れよ~」
「オスッ」
またタイマーをセットすると、今度は全員一斉にミットを殴り付ける。サポーターと拳が擦れて痛い、血が出てくる本気でやっていればよくあることらしい。
目の前の先輩が圧力をかけるようにミットを持ったまま詰め寄ってくる、だんだんと後ろに下がる。
「後ろに下がったら試合で勝てないぞ~」
全力で押し込むと今度は「押し込む突きは反則とられるぞ~」と言ってきた。
交代になると今度は俺がミットを構える。先輩のように圧力をかけるようにするが全くダメだ。こっちが下がる。ミットがあっても先輩の突きが伝わって来て痛い。地獄のような時間が終わると今度は蹴りだ。同じように俺は先輩に劣る。
「はいじゃあ組み手やるぞ~」
先輩との組み手だ、俺は全力で殴る、蹴る、しかし全て先輩の腹筋に跳ね返される。先輩の動きと攻撃の威力からやる気の無さが伝わってくる。何度か組み手を繰り返せばその日の稽古は終了だ。
最後に道場を簡単に掃除したら帰れる。
帰りの自転車をこぎながら今日の組み手を思い出す、結局全ての組み手が先輩に軽くあしらわれて終わりだ。だが俺は満足だ、先週より確実に攻撃を当てられた。攻撃は痛いし練習は辛いが、毎週行く度に発見があったりいい威力の出る攻撃が出せたりするのが楽しい。部活と両立したりするのも疲れるが、俺はこの時間を毎週楽しんでいる。

家に帰ると母は帰っていたが、すでに眠っていた。いつものことだがやはり少し寂しさがある。とりあえず明日も学校なので早く眠ろうとした。眠ろうと目をつぶると色々な妄想が繰り広げられる。空手で早苗を守ったり、絡まれているところを助けたり…。妄想の終了と同時に眠りにつく。

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