あなたと心中したかった

受験生

歪んだ家族

家に帰ると母はいない一人で部屋の奥に入り、仏壇に手を合わせる。遺影は30代後半位の若い男俺の父だ、俺が中学卒業の年に死んだ。だから受験は大変だったお金に困った。父との思いでは無い、趣味は女遊び、“たらし”だった。最低の父親だった母は知っていたのだろうか、聞く勇気は無い。一日限り、一夜限り、一週間、一ヶ月間、家に俺だけの時は連れ込んでいたソファーにだらしのない格好で横になり体を重ねていた。部屋にいても声が聞こえた、気持ちが悪くてダメだった今でもソファーには座れない。そんな“たらし”という父の性格が自分を殺したのだ、俺は知ってる父を殺したあの女との関係を。一夜限りだった…。次の日の朝、その女は父を誘った。父は「お前は昨日で、飽きた」と一瞥した。その様子を俺は見ていた。タクシーが家の前で止まり女が出てきた、気持ちよさげに話している。よくそんな事ができると俺は思った。立ち尽くす“飽きられた女”に一礼をして出掛けようとした。夜、父が香水の香りをつけて帰ってきた。次の日、日曜日の朝“飽きられた女”は玄関先にいた。母はもう仕事だ、父も仕事に行こうとした俺も時間が同じだから一緒に家を出る。“飽きられた女”は父に「今度の日曜日家に行ってもいい?」といった「言っただろ?もう飽きたんだよ」面倒だという気持ちを隠さずにそう答える父。「そう…もう一度同じことを聞いても答えは同じよね?」甘ったるく言う。「あぁ」俺は家を出ようとして女の横を通りすぎるとキラッとしたものが目に留まった、瞬間、目の前に悲劇が起こった赤い血、必死に謝る父、笑う女、キラッとしたものを父の腹からひくと、ドラマのように綺麗なものじゃない現実はもっと酷かった…。
父の為ではない、自分の身に危険を感じた俺は、父から身を守る為に学校のイベントに参加して習った護身術で女を地面におさえた。父の携帯で警察に連絡をした。救急を呼ぶことはできなかった。俺は父を恨んでいた、父はいわゆる“ドメスティック バイオレンス”だった。歪んだ考えを押し付けてきた俺は「いいか誠、人生は楽しめ自分のそのときに愛した女と幸せになれればいい。飽きたら捨てれば良いんだ、女をおとすには口だぜ」とどや顔で言われていた。父はさすが“たらし”といったところだろうか、奇妙な色気を持っていた。幸運だったのは父をおかしいと思えたことだろうか…。
通報の後は面倒だった犯人は拘束していたが、状況などを詳しく聞かれた。父の“たらし”は俺は口にできなかった。
父のせいで俺は小学生、中学生と恋が出来なかった、父が愛したものを俺は愛せなかった。しかし高校生になった俺は一目惚れをした。今までとは違う人の人生を生きているかのように楽しい日々だった。

俺は仏壇を後にして空手の準備をした。

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