【嫌われ体質】自覚したら最強?かも

久留米天狗

(137) 謝罪、新天地でやり直し

(137) 謝罪、新天地でやり直し



薄暗い部屋で目を覚ます

久しぶりに熟睡できた

体を起こすと、殆どの者がベッドに腰かけていた

天井を見ると、まだ砂時計は落ちきっていない
6時前だということだ

何人かが黒い穴へ入っていくのが見えた、トイレだ

俺もトイレに行く

トイレに入って驚く

小用がある(10)、大用に扉が有り(10)、鍵までかけられる
更に驚くのは、自動洗浄機能乾燥付

「何なんだ、このトイレは…」
この世界に小用、大用に別れたトイレは無い
ドッポン汲み取りが主流、水洗なんて一般家庭には無い
二階、三階は溜めて、まとめて、魔法やスライムでお掃除、それがこっちのトイレ事情。

「ディレクション王国のトイレはここまで発展しているのか?」
国交が無いとこういう誤解もある


洗面台まで完備、15人が使える
流水洗面台なんて、一般家庭には無い
貯め水で洗うのが主流
川の側や、井戸の側以外に流水なんて物は無い
顔を洗う為に流水を使うなんて勿体なくて魔法使いも使わない

顔を洗う、タオルが無いので袖で拭く

トイレから出るために、黒い穴を抜けると顔も袖も乾く

「何なんだ、このトイレは」


砂時計が落ち終わる

カーーンカーン♪
  カーーンカーン♪

朝の鐘が鳴る

「何なんだこの部屋は」
誰かが呟く

「起きてください、ベッドを消します」
ベッドが消える
「ちょっ…あいた」「えっ!わっ」「グワッ」「ギャッ」「アタッ」「グッ」
横になっていたヤツが床に落ちる

座って居たヤツも、慌てて立ち上がる、ベッドが消えて驚く

「一度に180人で、傭兵たちの所へ行くと、驚かれますので、代表者10人を決めてもらえますか」

180人は、15人の12小隊の、部隊編成だった

「我々、総隊長と小隊の隊長11人、合わせて12人ではダメだろうか?」

「全員で謝罪したい」

「残りの人を纏められる人は居ますか? これから、やってもらいたい事は」
・畑作業
・建築作業
・家畜の世話
・狩り、魔物は居ないが小動物は居る
・料理、裁縫含む家事
・農機具等の整備
・子供への教育
・老人の介護

「出来ることを、書き出してもらいたいんだが」
「人員の振り分けも考えてもらいたい」

「傭兵、冒険者たちは家族も転移させました、家族をここへ連れて来たいと思う人がいたら、それも考慮しよう」

その言葉で、泣き出す者も居た

もう会えないと思っていた家族に会えるかも知れないと
兵士も暮らしが楽なものは一握り

特に家族持ちで大黒柱が死んで、その後、楽な暮らしが出来る者は、ここには殆んど居なかった

少なからず家族を心配していた

11人の小隊長の内2人が残った

副隊長と14人で156人の詳細を纏める事になる

壁の穴から風呂場?に移動すると、テーブルとイスが現れる
テーブルにパンとスープ、コップと水差しが出てくる

「朝食です、天井の砂時計が落ちきる1時間後、7時30分に迎えに来ます」

朝食を食べながら、雑談をする者も出てくる

「俺達、奴隷なんだよな」
「奴隷にこんな朝食を出すのか?」

「旨いよな」「このパン、食べたことないくらい、柔らかい」
「水差し、水かと思ったら、果汁だよ」
「こっちのは、紅茶だ」
「こっちは、オレンジだ」

「それに、おかしいよな、この水差しの大きさなら、3~4人分で空になっていい筈なのに、無くならない」

「スープも温かい」

「紅茶も温かいぞ」

「アップルジュースだ、旨い!」

飲み比べをする者も出てくる


天井の砂時計が落ちきる

「7時30分だ、代表者10人の方、行こうか。残りの方は言った通りに詳細を纏めてもらおう」


10人と転移する

傭兵には、事前に言っていたので、転移事態には驚かれはしなかった

軍服は着ていない

服装は、普通の農夫が着るような質素な布の服
首に首輪!?

『奴隷の首輪』
誰かが呟く

傭兵たちは、兵士たちの容姿に疑問を持つ
目の下にクマ、頬がこけ、髭が伸びてる?
1日しか経っていない筈なのに…


部下から信頼されていた男が一歩前に出る
頭を下げる
「!?」
傭兵達が驚く

「我々は、この人***の奴隷に落ちた、どうやら我々は死んだ事になっているらしい…」

男は、ここで傭兵たち同様に、ここで働く事になったことを告げる

傭兵A「俺達も、死んだ事になっているのは、一緒だ。 家族もこっちに連れて来てもらった者も居る。 俺達がドワーフ、奴隷たちにやった行為、これまでにやった行いは、謝って許される物じゃない事もあった。」

冒険者A「死んだ事になっているなら、死んだ気で、ここでやれる事をやろうと決めた」

傭兵B「ここでなら、家族と暮らせる、農作業はなれないといかんが、ここに居る者は殆どそうだろう。 ここでは、協力していかないと、いけないだろう」

傭兵A「奴隷に落ちたと言っても、俺達の奴隷じゃない。 あんたらも、家族を呼んだ方がいいんじゃないか? まぁ、その首輪を気にするなら、家族を呼べないだろうが」

立ち話にしているのは、長くなるのを懸念してなのだが、特に問題になる話にはならなかった

傭兵達は
「まだ、住処の建築途中、畑の手入れもある、過去を捨て、俺達はここで暮らすことを決めた。過去を捨てたと言っても、無しにした訳じゃない、ここで作った作物はディレクション王国内で販売するらしい、俺達は王国になるが、少しは謝罪が出来ると考えている」

「同じ意思なら、俺達とこの新天地でやり直さないか?」

「人手は、まだまだ足りないんだから、一緒にやり直さないか?」

兵士たちは、頭を下げながら、泣いた
謝罪してもしきれないが、協力は惜しまないと
一緒にやり直そうと





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