【嫌われ体質】自覚したら最強?かも

久留米天狗

(24)大衆食堂『谷の風』

(24)大衆食堂『谷の風』



箱の中の女の子はかくれんぼをしていただけ。彼女が居なければ、箱の中の偽金貨は見つけられなかった可能性が高い。

カイブンさんが手綱を握り、カイブン、ベル、俺が、御者席に座る。

「家族の方が心配しませんか? プラボハミギまで2時間はかかります。」

商人達の見張りに、フェイスとトッティが残り、荷馬車3台でプラボハミギを目指す。

先頭のルーシーと御者、荷台にセンガン、2台目の俺達、3台目、ダッコと御者と荷台のシマザメ。

「俺は、だいすけ、よろしくな。ビスケット、食べるか?」
道具収納アイテムストレージから、ビスケットを出す。

「うん」パクッ 「美味しい、甘~い」ポリポリ

「カイブンさんも要ります?」
「頂きます」ポリポリ「本当に美味しいですね」

「なぁ、ベル、いつもかくれんぼしてるのか?」
「うん」
「誰と?」
「一人で」
「一人か、誰も見つけてくれないな」
「うん」
「鬼の時はどうするんだ?」
「妖精さんを探すの」
「見つかったか?」
「ううん、妖精さん隠れるの上手いから」

カイブンさんが驚いていた。一人でかくれんぼをしていると言うベルの会話に俺が自然に対応しているから。

「ベルの両親は何してるんだ?」
「食堂、朝から忙しいから一人で遊んでるの」
「じゃ、ベルが居なくなったのも気づいてないかもな」
「わからない」ポリポリ

一時間程進んで、町からの反応を感知。
馬4頭 1頭はオジラ=ムエフエ

「ムエフエさんが、来ます。馬4頭で」
カイブンさんが口笛を吹いた。 ピュッ♪!

商隊が止まる。 
「ムエフエが戻ってきます」
「だいすけさんが、馬四頭の接近を感知したそうです。」

馬四頭が商隊の横で止まる。
冒険者1人、警備兵2人、降りてきて、ルーシーとカイブンさんが対応。
俺は馬に近づく、冒険者らは俺をチラリと見るだけ。

俺は、無言詠唱で馬を回復させる。(エリアヒール)
「もう少し、頑張ってくれよ」
馬の首をポンポンと叩く。
「ブルルッ」馬が頭を数回上下させる

「お馬さんとお話し出来るの?」
ベルが聞いてきた。
「馬が賢いから、俺の言葉が解るんだよ。ベルも勉強してお父さん、お母さんを手伝わないとな」
「うん、時々お皿片付けるの手伝ってるよ」「そうか」

「行きましょうか、だいすけさん。後は彼等に任せて大丈夫です。」

「あっ、これ、証拠品」
ランドセルから出したようにして、道具収納アイテムストレージから、皮袋を出し、渡す。「薬草の粉末らしいです。飲まない方が良い感じです。」
(ただの雑草の粉末だと鑑定している、弱毒有り)
ムエフエが苦笑いしながら受け取り、現場に向かう。

ジー
ランドセルを見つめるベル。
(ベルには見えたらしい)

(ベルの耳元で)小声で「内緒だぞ、妖精さんは、怖がりだからな。大人に見つかったら、また隠れるぞ」
俺を見て、何度も頷くベル。

ウナがランドセルから出てきた。
「ウナって名前だ」「ウナ」
小声で教えると、小声で返す。

ウナは、馬の背にこちらを向いて座っている。ベルは、ニコニコ。
カイブンさんが不思議そうにベルと俺を見ていた。

一時間程進んで、プラボハミギに到着。
冒険者ギルド、商業ギルドから、出迎えが待っていた。

「お疲れさまです、連絡を受けて、お待ちしておりました。」
「だいすけさん、私達はギルドの方へ向かいます、ベルちゃんを任せてもよろしいですか? 両親にはまだ話してないそうなので、この事を知らないかも知れません。」
「ベルの所で飯食って商業ギルドへ行きます。それで良いですか?」
「はい、それでお願いします」
ベルが商業ギルドの場所を知っていると言うのでカイブンさん達には聞かなかった。


検問を通る際、商人用のカードを出した、俺はカイブンさんの世話係、事情聴衆に居なくても問題ないと判断された。
 一応、俺は表に出ないように配慮されている?

「ベル、お前んちはどっちだ?」
「あっち」
手を繋いで、ベルと歩く、ウナは、俺の肩に座る。


「お父さんとお母さんの作る料理は美味しいんだよ」
「そうか、早く食べたいな」
「だいすけは辛いの食べれる?」
「辛すぎなければ大丈夫だぞ」
「うちの『カーレィ』辛いけど美味しいって評判なんだよ。ベルは辛くて食べられないけど」
カーレィ?辛い?カレーの事か?

『サーチ』が、俺らを着けている者を感知。
つけられてるか? 下手くそな尾行だな

「ベル、変なヤツがついてきたらどうするんだ?」
「走って逃げる。わたし走るの速いんだよ」
「じゃあ、競争だ。 よーいドン」
ベルと俺は走り出した。

尾行者も走る、やっぱり 間違いないな

「速いなベル、変なヤツが追ってくるぞ」
チラリと後ろを見るベル「こっち」
路地を曲がって裏路地を走る。
人目が無くなった所でベルを抱き抱え、建物の屋根に飛び上がる。「飛ぶぞ」「キャッ」
「すご~い」ハアハア
屋根の上から変なヤツを見る
キョロキョロ俺達を探している

「食堂はどっちだ?」
「あっち、あそこの赤い建物の側」
屋根の上を赤い建物を目指し走る。
「凄い、凄い」ベルは楽しんでいた。

「よっ」屋根から飛び降りた。
「はい、お仕舞い。」
「だいすけ兄ちゃんは、冒険者?」
「いや、まだ(正式な)冒険者じゃない。これから冒険者になるんだ。」
「だいすけなら、キッドさんの様な凄い冒険者になれるよ」
「キッドさん? あのドラゴンを倒したとか言う?キッドさんか?」
「そう、顔怖いだけど優しくて強いよ」
確かに、顔怖いし、それなりに強い…勝ったけど。

「ここ、ここがわたしのお父さんとお母さんの店。」
大衆食堂『谷の風』
『安くて、旨い店』
どこかで見たような?

「なぁ、ベル。おばあちゃん目が悪かったりするか?」
「何で知ってるの? おばあちゃん目が悪いの」
何だろう…このモヤモヤ…。

「おばあちゃんの目、診てやろうか?良い薬も有るぞ」
小声で「妖精の薬だ、治るかも知れんぞ」
「本当? おばあちゃん呼んでくる。」
「ただいま! おばあちゃ~ん!」
ベルは店に入って行った。

俺は、空いてる席に座った。
「相席良いか?」直ぐに冒険者らしいヤツが来た。 他に空いてる席は無い
「あぁ」
こいつにも(肩の上の)ウナは、見えてない。
そいつは店の奥に「いつもの」と声をかける
奥から、「あいよ」と返ってくる。

ベルがおばあちゃんを連れてきた。
「だいすけ、わたしのおばあちゃん」
「こんにちは、いらっしゃい。あんたがベルの知り合い?目を診てくれるっていう?」
『鑑定』
健康状態:良好、白内障
何だろう…このモヤモヤ。

「薬は要らないみたいだな」
婆さんの目に手を当て、「『状態異常回復アヌマリディタ・レフェクティー』」
回復させた。

「もう、大丈夫のはずだ」
「見えるよ…、ベルの顔がはっきり見えるよ」泣き出した。
「本当? おばあちゃん、目 治った?」
冒険者が、驚いていた。回復職上級魔法『状態異常回復アヌマリディタ・レフェクティー』を俺が使ったから。

で、こうなる。
「ありがとうございます。母の目を治して貰って」ペコリペコリ
「食べてください、お代は要りません。」
「それ俺の?」「直ぐに作るから待ってな」
どうも俺の前のヤツが頼んだ物らしい

「良いですよ、俺まだ注文してないし、彼が先で。カーレィが美味しいってベルが言ってたんでそれもらえます?」
「カーレィかい? 残念ながら、オークの肉が無いんだ。」
「オークの肉? オークの肉が必要なんですか?」
「うちのはオークカーレィなんだ、オークが手に入らない時は作らないんだよ。悪いね」
「オークなら、有りますよ」
「「「「え?」」」」
婆さん、店主二人、冒険者お客が驚いた。
ランドセルから、オークの肉を出した。
「ライトタウンのパロトーム商会の者です。良かったら使って下さい。」
「これは、オークのモモ肉だね」
「むね肉の方が良いんだが」
「むね肉の方が良かったんです?じゃ、むね肉を出します。」
モモ肉を戻し、むね肉を出す。明らかにランドセルより大きい。
「…「なんですとぉー!」…」同調シンクロした
「さ 流石 パロトーム商会の人は収納魔道具の鞄を持って居られるのですね」

「パロトーム商会? お前は商人なのか?」
「何でそんなことをあんたに教えないといかん」
「じゃ、別の聞き方で、何故お前は『状態異常回復アヌマリディタ・レフェクティー』を使える? 回復職では無さそうなのに何故上級魔法を使える?」
「答える義務は無い」
回りのお客が慌て始める
「まあまあ、店の中でのゴタゴタは御免だよ。出入り禁止にされたいの?」
「それは困る。」
女店主の言葉で、冒険者の方が、大人しくなった。
小声で「お母さん、怒らせると怖いの」
ベルが教えてくれた





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