しょーかん勇者の魔界生活
ゴブリンの村
1時間程歩くと、柵で覆われた集落が見えてきた。木で作ったであろう柵はウルフやワイルドラビットなどの魔物が侵入できない程度に高く作られている。
柵の隙間から村を覗き見ると、何かに荒らされたような光景が広がり、壊れかけの家々が立ち並んでいた。魔物が村を襲撃したのだろうか。すぐそばには人が倒れていた。俺は急いで駆け寄った。
「だ、大丈夫ですか?」
「うっ……」
一瞬人間が倒れているのかとも思ったが違う。これはファンタジーによく登場するゴブリンだ。
『クエスト達成を確認しました。経験値を獲得。レベルが上がりました。称号:治療する者<下級治癒魔法が使用可>を獲得しました。次のクエストはゴブリン村を救って ください』
俺がこの人に駆け寄ったらクエストが達成されたな。ということはこの人がリアンだったのか。それにしても、すいぶんタイミングよく治癒魔法を獲得したもんだ。
とにかく、このゴブリンを治療しよう。俺は傷口に手を当て、〈治癒魔法〉を使った。
すると、出血はおさまり、痛みも多少は引いたようだ。
「に、人間? あ、いや、すみません。あっちでまだ戦っている仲間がいます。どうか仲間を助けてください」
コブリンのリアンが指したほうから狼の吠えているのがわかった。ウルフだろうか。それにしては被害が大きすぎる。あいつらそんなに強くないはずだ。足を進めると、ゴブリンの女子供は一軒の小屋に入りそれを必死で守りながら戦っているゴブリンが2人いた。
「 ワゥッッ!」
狼は叫びとともに、ゴブリンに飛び掛かかろうとしている。それをなんとかかわしつつ攻撃を繰り出すいったところだ。だが、敵は3体いる。周囲に転がっている数匹の狼をみるに何匹かは倒したのだろうけど、このままじゃじり貧だ。
「あの黒い毛並みは普通のウルフじゃないな」
俺は、狼に〈鑑定〉を使った。
【ブラッドウルフLv.7】
「レベル7か。少し強いけど、後ろから不意打ちをかければ1体はやれるっ!」
俺は、腰に差していた魔剣グラムを鞘から抜き、ブラッドウルフに向かってものすごい速さで迫った。
「うぉぉぉぉぉっ!」
力を込めた一撃は狼を軽く一刀両断した。二つの肉片からは赤い血がスプラッタのごとく飛び散る。
『称号:暗殺者<常時隠密 を使用>を獲得しました』
『レベルアップを確認しました』
助言者の声がなにか言っているが、とりあえず後回しだ。俺の登場に驚いているうちに、もう一匹のブラッドウルフも切り捨てた。二人のゴブリンは最後の一体を二人がかりで攻撃し、仕留めた。
『レベルアップを確認しました』
ケイト 種族:人間 職業:勇者Lv.7
装備:魔剣グラム
スキル: 言語理解 隠密
鑑定 収納
下級火魔法 下級水魔法 下級雷魔法 下級治癒魔法
称号:魔女の加護<寿命大幅増加>
異世界からの訪問者<全ステータス中上昇>
黒の勇者<魔剣熟練度中上昇>
魔法使い<下級の火・水・雷魔法使用可>
治療 する者<下級治癒魔法使用可>
暗殺者<常時隠密を使用>
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