しょーかん勇者の魔界生活

あべこー

初クエスト達成!

 
    ステータスを見てて気づいたけど、やっぱ勇者補正ってやつなのかな。魔剣グラムを持ったときに剣が扱えたのは、称号:黒の勇者で熟練度が底上げされてたからか。

    ほかは、異世界からの訪問者と魔女の加護か。寿命が増えるって実際、有難みがあるのか分からないな。というか勇者として召喚されて魔女の加護って何の関係があるんだ。それに比べて異世界からの訪問者はうれしいな。さっきの戦闘でも日本にいたころよりも体が動かしやすい。

 ま、最初からチート持ちもいいけど、やっぱRPGはレベル上げで少しずつ強くなれるのがいいんだよな。特にやることもないししばらくはレベル上げに専念しよう。魔物に集団で襲われたらたまらないからな。

 それからしばらく、おどろおどろしい雰囲気の森を淡々と歩いた。初めは、巨大な植物や見たこともない動物を見ては驚きを繰り返していたがもう慣れてしまった。というか驚くのにつかれたという感じだ。

 2時間か3時間くらいたったろうか。この周辺には【ウルフ】のほかに【ラピッドラット】や【ワイルドラビット】などの魔物が出てきたが対して強くはない。基本的にはすべて一撃で終わってしまう。それは、魔剣グラムが強いというわけではないと思うが一応、助言者に聞いてみよう。

「なぁ助言者、この世界でHPってどんな扱いになってんの?」

『この世界にHPやMPは存在しません。それは地球でも同じで、死因は様々です。また、魔法は周囲の魔素を利用して扱うものなので、周囲の魔素がある限 りいくらでも魔法は使えます』

 やはりそうか。ということは、急所を狙えば即死にさせられるわけだ。今までは小さい魔物ばかりだから楽だったけど、大きな魔物は急所を狙うのも骨が折れそうだ。

「そういえば、チュートリアル終わったけど他にやることあんの?」

『次はLv.5を目指してください。達成時に報酬があります。以後、クエストという名称を採用。達成時に次のクエストを提示します』

 なるほど。特にやることがないのもつまらないからな。クエストがあればやる気も倍増だ。コイツよくわかっているじゃないか! 
それから魔物を狩り続けた―――

『レベルアップを確認しました。クエスト達成を確認しました。称号:魔法の使い手を獲得しました。次のクエストはゴブリン村のリアンを訪ねてください』

ケイト 種族:人間 職業:勇者Lv.5
スキル:鑑定 言語理解 収納 魔剣グラム  
    下級火魔法 下級水魔法 下級雷魔法
 称号:魔女の加護<寿命大幅増加> 
    異世界からの訪問者<全ステータス中上昇>
    黒の勇者<魔剣熟練度中上昇>
    魔法の使い手<下級の火・水・雷魔法使用可>

「やった。クエスト達成だ。どうやら魔法が使えるようになったみたいだな。やっぱファンタジー世界といったら魔法だろ」

俺は手のひらを前に出し、〈火魔法〉を使った。
すると手のひらから火球が出現した。

「すっげーな魔法っ! だけどこれ火の球しか出せないのかな」

『いいえ、魔法はイメージすることに よってさまざまな形で使えます。ただし、下級魔法は使用範囲がかなり限定されます』

   そうか。たしかに戦闘で使うにはちょっとしょぼいもんな。もっとすごい魔法はレベルが上がってからか。試しに水や雷魔法も使ってみたがたいし威力はなかった。

   いや、そもそも下級魔法って日常生活で活用できるレベルなのかも。そう考えると便利だな。火があれば、肉を焼いて喰えるし、水があれば脱水症状は防げるし、雷は……わからん。とにかく、死なない程度には生活できそうだ。

   さて、次のクエストはゴブリン村のリアンを訪ねろか。あ、魔物でも一応村とか作れるのか。別にバカにしてたわけじゃないけど、魔界にも村を築ける種族がいるようだ。今まで見てきた魔物を見てるととても想像できないな。

『いいえ、ゴブリンは魔物ではなく、魔人です。分類は魔人類子鬼(ゴブリン)族です』

「ん? 魔物と魔人? どう違うの?」

『魔人は人間のように意思疎通可能で、言語を理解します。魔物は知性がありません。ただ本能のまま生きるだけです』

そうなんだ。だけどいいこと聞いた。ゴブリン村を訪ねろって言われて知性も何もなかったら襲われるだけだもんな。



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