俺をかわいい女の子にしてください!

ゆーD

お母さん

 ミューナが家に帰るとそこにはミューナの母であるアルネが待っていた。
 ミューナはアルネを見つけた瞬間に走り出し、50メートルの距離を0.5秒もたたず走りきってしまった。
「お母さん!!」
「あらミューナ!また少し早くなったのかしら?この前まで二秒ほどだった気がするのだけれど」
 お母さんって美人過ぎ━━━━━っぼわぁっ!
 俺の意識はミューナの無意識下の欲に追い出された。
 ちなみにこんな次元違いの話を聞いても執事兼メイドであるスラールは動じない。
 いわゆる慣れだ。
 この家で雇われた初日、まず扉が開かなかった。
 これは魔力を送らないと開かない仕組みになっていて魔力を送ると自分が行きたい部屋まで送ってくれるという優れものなのだが魔法を使えないスラールはこれがなんのことかわからずミューナがこの部屋にくるまでこの扉を開けられなかった。その間三日間。
 それだけでは飽き足らず、部屋を掃除しようにも掃除機にまで魔力探知機が補助されていてこれに魔力を送ると部屋を全て掃除してくれるのだがこれにも全く意味がわからず掃除ができない、料理も火加減を調節するのに魔力が必要などとこの家のほとんどのものが魔力探知機がついていて困り果てたものだと今のスラールは堂々としている。
 現在スラールはどうしているかというと魔法の才能をミューナに無理矢理起こされ1ヶ月の猛特訓に加え徹夜での魔力操作練習をして魔法を使えるようになった。
 このせいで体重が10キロほどおち、病人ではないかと間違われることが多かったがいざ太ったらまたこのやり方をしようと思うスラールだった。

 ミューナの家であるアルス家は代々魔法に卓越した能力を持つことが多く母であるアルネも相当な魔法の使い手だ。
 今では現役を引退しているものの前は軍の炎極魔法士として三国の軍隊を一人で滅ぼすという快挙を成し遂げた。
 炎極魔法士というのはその名の通りであるが炎魔法を最大まで極めたものが入れる部類だ。
 ただ火魔法の上位互換である炎魔法を極めることができるものなどほとんどいないうえに炎魔法だけを極めると他が偏ってしまうためそんなことをする魔法士はほとんどいない。
 それではなぜアルネはそんなことをしたかというと小さい頃に今の夫であるヒラシスと炎魔法を打ち合って遊んでいた・・・・・らいつの間にか極まっていたという話だ。そんなことをしたというよりかはなってしまったという方が正しい。
 魔法は火、水、風、雷と基本的にこの4種があり闇と光は使える人が限られる。
 ただ基本的な魔法がすべて使えるかというとそういうわけでもなくやはり適正が生じるがアルス家の血を引くものは全ての魔法ををいともたやすく操る。
 その中で極めるためにはそれこそ血のにじむような努力と精神力が必要なわけでそれを遊んで習得してしまうアルネはやはり天賦の才能をもっている。
 
 そんな天賦の才能をもっているアルネですらこのミューナには足下にも及ばない。
 本人はなんにも思っていないようだがミューナは生まれてすぐに基本魔法の上位互換である炎極、氷結、風迅、雷斬の上級魔法を意識せずに使ってしまったのだ。
 
 こんな話ないことなのだがミューナは基本魔法が苦手で上級魔法の方が簡単に操れる。
 まだ幼いということもあるが力の制御は大きすぎても小さすぎてもいけないためにミューナからしたら小さすぎる基本魔法は苦手なのだ。
 
 だが実際に役立つのは基本魔法で日常生活にも使えるため小さい頃から叩き込んで今ではある程度通常通り使えるようになった。
 ミューナの場合少しでも加減を間違えると上級魔法に変わってしまうため普段はマジックリングと言われている魔力制御のブレスレットをしている。

 この力は父親譲りでミューナの父親であるヒラシスは現段階で軍総帥という地位で名声が後を絶たないこの国の英雄である。
 そんなヒラシスは娘であるミューナを溺愛していて娘に変な虫が寄らないか常にチェックし娘になにかあった場合滅殺すると口外しているほどである。
 その父親は現在隣の王国ラスナン王国に出向いて国家間の重大な会議をしている。

「そーいえばミューナ。あなた今日エミリちゃんの家に行くんじゃなかったのかしら?」
「あっ忘れてた!けどお母さんと一緒にいたい・・・・・・」
「友達との約束は破っちゃダメなの絶対にね」
「うぅ~・・・・・・家帰ったら絶対に遊んでもらうからね!約束だからね!」
「はいはい〜。いってらっしゃい」
 撫でられながら約束してくれた母にミューナはまた顔が溶けそうになってしまったがすぐに切り替え家を出た。



  

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