陰キャラな妹と陽キャラな幼馴染の仲が悪すぎるんだが

ウィング

第3話 大事件発生

「ふぁ〜あ。よく寝た」
志賀からの忠告を受けてから、少しの恐怖心があったが、学校で殺されることもないだろうという結論に至り、ぐっすり寝ていた。
「叶美〜朝だぞ〜」
昨日の一件があったから、仲良くなれたと思っていた。
が、そんなことは無かった。
「なんだよ…脱陰キャラかと思ってたのに…」
そんなことを一人でブツブツ言いながら、階段を降り、リビングへと向かった。


「最近両親を見てねーな。長く起きて今度あってみるか」
そんな事を思っていたら、一通の手紙が机の上に置いてあった。置き手紙だ。
母が書いたものらしい。字がそうだし、まず名前があった。
「寂しくて書いたのかな〜」
ウキウキワクワクしながら久しぶりに、親と会話出来るみたいな感覚を得れた。
『次に親を学校へ連れていかせたら、家から追い出す。仏の顔も三度までっていうからチャンスはあと一回だ。高校二年になって2回もま問題を起こしやがって』
普通に悪口でしたね。はい。
二度って、一回は遅刻の時だと思うけど…。二回目はいつなんだ?
「考えるだけ無駄か。さっさと学校行こ」
そう言って、時間に余裕があるうちに出た。


「よし、十分前には着いたぞ」
俺は今日は怒られないだろうという、訳の分からない気持ちでいた。
志賀の忠告を忘れたのだ。
ドアを開け、皆に元気よく挨拶をした。
「ちーっす!」
俺の性格が、地味に変化しつつあるようだ。
久しぶりに叶美と話してからな。
それはそうと、元気よく挨拶したってのに、みんなコソコソなにか話してるぞ?
「志賀、何話してるんだ?」
このクラスの一番の友達に話を聞こうとした。
が、しかし。
「浩介。今日は話しかけるな」
「酷くね!? そんなこと言うなよ〜」
「喋るな!」
何だってんだよ…。
俺なんにもしてなくね?


ガララッ…
「席につけー……た、高梨!! やっと見つけたぞおらぁぁぁ!!」
へ…?な、何でいきなり怒られるんだよ。
「何でそんないきなりキレられるんですか!?」
「黙れ!このサボりやろうが!あんな堂々とサボっていいと思ってるのか?あぁ?」
あ…そのことか。
すっかり忘れてた…。
「ちょ、お、落ち着いてください。人間落ち着きが肝心だと…」
「何が落ち着きじゃー!! そういやお前、妹がどうとか言ってたな?妹を学校へ呼べや!」
な、何言ってんだこの人…!
そんなこと出来るわけねーじゃねーか!
「妹になんか罪があるって言うんですか!? 妹は何もしてません!」
絶対妹を巻き込む訳にはいかない!
ここはどうにかしてでも、先生を食い止めてやる!
「退学にされたくなければ、今すぐ妹に電話してこっちに来るように言え」
「分かりました」
すみません!食い止めれませんでしたあああ!!
退学とか恐ろしや〜…
第一に、あいつ陰キャラだよな?来るはずねーな。
プルルルル…プルルルル…
一応電話番号知っとってよかった…。
ガチャ……。
「もしもし…兄さん…?どうしたの…?」
「叶美か?先生が学校に来いってさ」
「え!? なんで?」
「分からん」
授業中に俺は何をやっているのだろうか…。
クラスメイトは何一つ喋らないし、よく出来たクラスだ。うんうん…サイコー!
「おい、携帯を貸せ」
「なぜ先生に渡す必要が?」
「理由はない」
強引すぎるだろ。
さっさと学校やめちまえよ。このクズが!…とは言えないよな〜。
素直に渡すことにした。
「もしもし?妹ちゃん?貴方の兄の事でお話があるので、今から真紅高校に来てくれるかな?」
「ひっ!」
ブチッ…ツーツーツー…
「電話切れたんだけど、どういう事か説明しろ高梨」
まぁ…当然だわな。
兄の電話でいきなりかつあげ的な感じできたら、そら切るだろ。
「妹は陰キャラなんですよ。だから、しょうがないんじゃないですか?」
「よし、今日自宅訪問だ」
「お断りします!」
断り方が悪かったのだろうか…。皆が授業している時に、五時間の正座させられました。
って!これ体罰じゃね!?
そうだよ!体罰だよ!訴えてやれば勝てるんじゃないか?
現状、生徒指導室にいる俺。目の前にいる先生。
このタイミングで言うしかないな。
「先生。これ体罰じゃないですか?」
「違うと思えば違う」
こいつほんとに先生かよ。説得力無いし、語彙力もねーし。
「逆に停学にしなかっただけ、感謝しろよ」
は…はぁ!? なんで停学にする気あったんだよ!
俺、この高校に来たの間違いだったんだな…。
とりあえず、なぜ停学になりそうだったのか聞いてやるか。
「なぜ停学になる可能性があったのですか?」
「問題児だからだ。が、明日は転校生来るから停学にならなかったんだ」
なるほど…転校生ナイス!


俺のこの事件と同時進行で、他にも真紅高校で問題が起こっていた。


同日の朝八時半。
俺のクラスは二組で那月のクラスは六組。
これは、学校終わってから六組の友達に聞いた話だ。
「那月!なんであんたは説教受けてないの!?」
「え?何のこと〜?」
那月とその友達が言い争っていた。
「そうだぞ那月!この説教設定は、創立した日に決めて、百年も続いてるんだ!されない人なんて一人も聞いたことない!」
どんだけ那月にものを言っても、意味はない。なぜなら、あいつは意に介さないから。
「席につけよー」
こんな揉め事が起こっている中、先生は優雅に教室へと来た。
「先生!那月が説教されてないみたいですが、どういう事ですか?」
みんなの前で代表となり、話したのは6組の委員長の谷川 奈楠(たにがわ なな)だった。
「何でそんな噂が流れてるんだ?」
先生も少し動揺があったのだろう。
誰も噂とは言ってないのに、自分で付け足して言ってしまってる。
「噂ではありません!一昨日、私が帰りに生徒指導室を覗いた時、怒られてるのは高梨君だけだったんです!」
ふむふむ…
委員長は覗き魔かな?
「それは何時頃かな?」
「六時頃です」
絶妙な時間だな。
俺が説教受けたのは、四時から八時の四時間。が、説教は三時間という決まりがある。
四時に学校が終わり、すぐ怒られるのだから、先に帰ったという結論には至らないのだ。
「そこら辺は那月さんにお話を聞いてください。先生ではお答えしかねますので」
あ、生徒に丸投げした。
キーンコーンカーンコーン。
授業の始まりのチャイムが鳴り響いた。
「はい、席についてー。授業始めまーす」
しぶしぶ皆は席についたそうだ。
俺は怒られてたのにな!


休み時間の時も言い争いは続いてたようだが、その度に受け流してきたそうだ。
そして放課後になった。
「那月さん。お話があります」
委員長が那月に詰め寄ってきた。
「私は浩ちゃんと帰るから急いでるの!じゃあね!」
「待て!」
六組全員が口々に話していてうるさい中、一人の男が一人で四十人を静かにさせた。
その男は……志賀だった。
「今日浩介は生徒指導室に行ってるよ。昨日のことでな」
「!?」
志賀の発言に那月は動揺を隠せないでいた。
「これでもまだ言い訳する気か?」
「言い訳って何?した覚えないよ」
那月には何言っても無駄なんだよ。
幼馴染の勘ってやつだ。
「那月、お前は学校の評判を下げてることに気づいてないのか?」
志賀もすげーこと言い出すな…。
…これ志賀から聞いてる話だから、幼馴染の俺によく話せたな…。
全く…デリカシーのないやつだ。
「ちょっと志賀!酷くない!?」
「酷くねーよ。事実だ。周りに聞いてみろ」
志賀…キャラ変わったな〜。
前から那月のことを嫌ってはいたが…。
「もういい!帰る!」
拗ねたんだな。わかるわかる。幼馴染だからな!
「おい待てよ。理由くらい言ってけよ」
「なんの?」
「説教されなかった理由に決まってんだろ!お前、話聞いてたのか!?」
志賀がそんなキレるなんて珍しいな。
「あーそれね!教えないよ!」
こういう時の陽キャラはウザったいわ。
「いや、教えろよ!」
「じゃねー!」


「で、終わったのか!?」
久しぶりに驚いたわ。
「あいつには勝てんわ。あいつバスケ推薦だろ?足はえーんだよ」
あーなるほどな。
それは俺もよく思ったわ。
「じゃあしょうがないな。もう六時だし、帰るわ」
「おう、じゃあな」
なんか…高校生って感じがする会話だ…。
最近は怒られたり、怒られたり、怒られたり…って怒られてばっかりじゃねーか!
はぁ…まぁいっか別に。退学にならなければ。
そういや、那月は精神的に大丈夫なんかなー。


「ただいまー」
「……おかえり…」
「叶美!? やっと陰キャラ卒業してくれたのか!」
「そんな訳ないでしょ!」
その言葉と同時に、思いっきり殴られました…


「兄さん…大丈夫?」
「あぁなんとか…ってここ叶美の部屋じゃないか!?」
俺は初めて叶美の部屋へ入った。
陰キャラになりだしてからな。
ということは…
「ここに叶美の下着あるってことか?」
「見つけたら殺す」
「すみません…」
あるって言ってるようなもんだけどな。
まぁ流石にそこまで俺も外道ではないと思っているが。
「ねぇ…」
「ん?どうした叶美?」
「このゲームやらない?」
「ゲーム?」
俺はゲームは割とする方だ。
バトル系やスポーツ系を主に。
「これなんだけどさ…」
差し出されたのは、紛れもなくエロゲーだった。
うん。これは初ですね。はい。
「キツネさんの最新作『妹に恋していいんですか?』ってやつなんだけど!これが面白くて!」
少し前にもキツネさん出してたよね?ゲーム。
てか、金はどうしてるんだろう。
それに、このゲームをやらせるってことは、シスコンでもいいよって事なのか?
「あぁー!ツッコミ所が多すぎる!」
「いきなり大声出さないでよ…」
「す、すまぬ…」
あまり墓穴を掘りすぎるな俺!
妹に好かれるチャンスじゃないか!
部屋にまであげてくれたんだ。勇気を振り絞れ!
「か、叶美…」
「どうしたの?兄さん」
「お、俺と……」
ちょっと待てよ?
妹と付き合うのってありなのか?捕まらないか?法律に違反しないか?
シスコンだから!で、通用する国なのか?日本って。
「いや、叶美!ちょ、ちょっと待ってくれないか??」
「え?う、うんいいよ」
このためのスマホだろ!
グーグル先輩!教えてくださいな。


ふむふむ…大丈夫そうだな。
「叶美!」
「は、はい?」
妹は少し顔を赤くしている。
「おおおお…俺とつ……」
ダァン!!!
妹の部屋が、壊れてもおかしくないくらいの威力で開けられた。
そこに立っていたのは…。
「な、那月!? 何やってんだよ!」
「や、やぁ浩ちゃん!元気かなって!はぁはぁ…」
息切れすげーなこいつ…
「なんでこのタイミングで来たんだよ!」
俺の一世一代の告白に、水差しやがって!
「ふふん!なんでだと思う?」
「知らないから聞いてるんじゃないか!」
「まぁまぁ。固いことは抜きにして、お茶にしましょ!」
今7時ですけど?
ちょっと待ってくれ…。この状況って、美少女の妹と幼馴染が夜に一つの部屋にいるってことじゃないか。
俺の理性が持つはずがないだろ!
俺は童貞だああああ!!
「君たち、俺が童…」
「なんで!!!!!」
俺の言葉を遮り、大声を出したのは叶美だった。
近所迷惑すぎるボリュームに、俺も那月も呆気にとられていた。
「なんで那月さんが来てるの!? 兄さん、どういう事!!」
えぇ…?それ俺に問いかける?
「叶美ちゃんのお兄ちゃんは関係ないよ?」
「私の兄さんを…気安くお兄ちゃんなんて呼ぶなあああ!!」
え、えぇぇぇ!!?
どういう状況ですか?これ。
まさかのモテ期到来!?
来ましたよ〜俺の時代が!
「別にお兄ちゃんって呼ぶくらいいいでしょ」
「良くない!」
どっちが陰キャラで、どっちが陽キャラかわかんないな。
いきなり大声なんか出して、叶美どうしちゃったんだろう…
「叶美ちゃんより私との方が浩ちゃんは過ごしてる時間長いよ?」
流石に言い過ぎだろ。
叶美とは一緒の家に住んでるんだぞ?昔は仲良かったわけだし。
「そんな訳ないじゃん!」
「バレたか〜」
なんだこいつら。
喧嘩したいのかしたくないのかわかんねーな。
出来ればしないでほしいんですが?
「もう帰って!!」
はい、でました。お馴染みパターン。
「またすぐそんなこと言ってー。こんな美女と同じ空間にいたら、お兄ちゃん取られちゃうかもしれないもんね!」
ん?何言ってんの?
確かに、那月に揺らぐことは多々あるさ。しかし、叶美にはなんのメンタルのダメージもないはずだ。
珍しく那月が失敗したな。
「ば、馬鹿な事言わないで/////」
あーあーあー。叶美顔真っ赤じゃないか。
「叶美、興奮しすぎると体に悪いぞ。とりあえず休んどけ」
「興奮なんてしてないけど…」
「え?顔真っ赤だぞ?」
「そ、それは…」
んー…どうも変だ。
なんなんだろう、この違和感。
「なんで顔赤いか教えてあげようか?」
あ、那月が静かだったからだわ。
「なんで那月が答えるんだ?」
ごく普通の質問。
だが、重要だとも思っている。
「答えを知ってるからよ。答えは、お兄ちゃんがす…」
「帰って!!!!!」
「「痛いんですけど!!」」
帰ってって…ここ家なんですけど?
「那月も帰れよ」
「うん!そうする!また明日ね!」
「ああそうだな」
色々あり、もう十時だ。適当にご飯済ませて寝るか。



いつも通りの朝。何もなく、普通に高校に行った。
「うぃーす」
「浩介、最近挨拶かっこいいじゃん…ププッ!」
こいつウザ!朝一でウザイ!
「こらー志賀、高梨うるさいぞ」
「「すみませーん」」
ったく、なぜ俺まで…。
「今日は転校生の紹介だ」
あ、昨日言ってたやつか。
ガラッとドアの開く音がした。そこから転校生が入ってきた。
多分みんな思っただろう。
『可愛い』と。
ハーフ系美少女か。素敵だ…。
身長は170位のでかい女子だ。モデルみたいだな…。那月もなかなかだが、この娘もなかなかいいぞ。
「じゃあ名前を言って」
うわ〜気になるわ!このハーフさんはなんて名前なんだろう!
「はい!うちの名前は『山田・カトリーヌ・ドゥクシ』です!よろしくお願いします!」
え…?な、なんかすごい名前の子が来てしまったようだ…。


          

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