神様の日記

Togemoti

入り混じる異常

 昔とある魔法使いがいました。
 魔法使いは黒髪の少女と共に世界の危機を何度も救い。
 人の滅びを何度も見届けた。
 魔法使いは人がもう二度と滅びの道を歩まぬよう魔法使いは八人の弟子を取りました。
 そして魔法使いは弟子たち一人一人に杖を与えました。
 弟子たちは魔法使いに誓います。
 人を良い方向に導くと。
 魔法使いは安心しました。
 それから魔法使いは最後にある一冊の本を少女に託します。
 魔法使いは言います「その本だけは人間には渡してはいけない。人がその本を手に入れてしまえば神になることが可能なほどの力を手に入れることができるだろうだけどその人間は破綻してしまう。そしてまたその本を手に入れようと別の人間がまた生まれてしまう。酷い悪循環が生まれる。だから人間には決して渡してはいけない。だけどこの世界に必要になる事象が絶対におきる。その時だけ本を開きなさい。きっと君の役にたつはずだ。」と。
 そう言い残し魔法使いは弟子たちと少女を残し姿を消します。
  魔法使いが去りしばらくすると戦争が始まりました。
 魔法使いの残した遺産をめぐり。
 八人の弟子のうち五人が遺産を使い人を導くべきだと。
 三人の弟子は言葉を守るべきだと。
 その光景を見た少女は魔法使いに訴えるように一言つぶやきました。
 
  「変わらなかったよ。あなたの信じた人間達はなにひとつなんにも・・・・・・・変わらなかったよ」

 少女は魔法使いが残した本を開きます。
 
 その時少女の髪は黒から銀に変わったのです。



 きずくと希はベッドの上にいた。
 ぼんやりとした目で時計を見る。
 時計は10月29日10時39分を示していた。
 「嘘だろ、大寝坊じゃないか。」
 体をなんとか布団から抜け出そうとする。
 しかし、体が重く抜け出せない。
 体の特に腰あたりが重い。
 何か抱きついてる感覚があった。
 「なんだ?」
 布団の中を見る。
 そこに銀髪の少女が抱きついて寝ていた。
 「おわああああ!」
  希は逃げ出すようにベッドから抜け出す。
 「ん〜〜、もう朝?」
 寝ぼけながら少女は言う。
 「な、」
 絶句した。
 なにをしたんだと自問自答をする。
 「そうだ、昨日」
 眠気が覚め徐々に昨日のことを思い出す。
 「ア、アリスか?」
 「ええ、アリスよ」
  何事も無いように返事を返した。
  頭が混乱した。
  なんせ目の前に銀髪の美少女が自分のベッドの上にいるのだから。
  周りから見たら完全に犯罪である。
  「はぁ、」
  眼鏡を掛け直し立ち上がる。
  「コーヒーいるか?」
  「お茶でお願いコーヒーは苦手なの」
  希は顔を洗いコーヒーとお茶を淹れる。
  お茶を淹れながら希は思う。
  (夢であってほしかったな)
  そんな不安な顔をお茶が映し出す。
  明らかに疲れきっていた。
  テーブルの上にコーヒーとお茶を置く。
  「お茶でいいんだな」
  「うん、ありがとう」
  少女と向かい合いコーヒーを飲み一息つく。
  「 なぁ昨日の」
  「聞きたいのは昨日のことでしょ」
 アリスは読んでいたとばかりに言い返す。
  「そうか、やっぱり昨日起きたことは夢じゃないんだな」
 ため息をつく。
  「夢であって欲しい気持ちはなんとなくわかるけどね、でも現実よ」
 アリスは真っ直ぐ希を見て言う。
  「わかった、じゃあ契約者ってなんだあの死神とか俺のあの力はいったい?」
 アリスはお茶を飲み、口を開く。
  「そうね、まず希が置かれている状況を説明した方が早いか、まあ率直に言えば希は厄介かつ面倒くさいものに巻き込まれたわけ」
  アリスは茶化すように言う。
  「おい、さっぱり理解できないぞ」
 くつろぐアリスに抗議する。
  「この頃殺人事件とか物騒なこととか起きてなかった?」
  「そういえば、学校の近くでも起きていたような」
  希は諒が言っていたことを思い出す。
   「おいまさか、全部あの死神がやったてのか!」
  昨日の悪夢を思い出す。
  火が人を包みこんでいくあの恐ろしい光景を。
 死神のあの目を。
  「まぁ、半分くらいはそうだろうけどあいつだけじゃないこの白神の町では何人いや何十人といる可能性があるの。希が巻き込まれたあの時も死神の他にも魔術師や契約者がいた実際希以外の人達は全員殺されている。」
  希は自分の目の前で死んだ男が脳裏をよぎる。
  「ハ、ハハ、なんかもうわからないな。」
 体が震えているのがわかる。
 コーヒーカップの取っ手すら上手く掴めなかった。
  「だけど希あんた運が良かったわね、私と契約できてあのままだと死んでたわよ」
  「そうだ契約者っていったい、あの力が契約者の力なのか?」
  アリスはお茶を飲み干す。
  「 あっつ!んん!!」
 希は少し呆れたそんな熱いものを一気に飲むからと。
  「全く大丈夫か?」
 ハンカチを差し出す。
  「ありがとう、あちち」
 少し落ち着くとアリスは話を元に戻す。
  「そうね、傷を回復させたの以外はそうなんだけど。」
  「傷を回復させたの以外?じゃあ炎の壁を作ったあれが能力ということになるのか。」
  アリスは少し唸っていた。
  「実際そうなんだけど、ちょっと違うのよねー。希の能力は錬金に近いものだと思うんだけど。」
  「錬金?でも火をだしとよな俺、それにあの気分が悪くなるやつとか。」
  希は納得できなかった。
  死神を追い払った炎の壁のことやヘッドホンのことでどうにも腑に落ちない。
   「希は手が触れている物質から何かを生み出す能力だと思うけど実際私自身わからないこともあるのよね、ヘッドホンのあれは目にしているもの全ての情報を得ることができる。ただし、脳への負担は半端ないし便利だけど1分以上は保証できないわよ。」
   「保証できないって、でも自分が何ができるかぐらい少し理解しないといけないか。」
 希はアリスの話をなんとか飲み込もうとする。
 そんな希を見てアリスは不安げに希に言う。
  「ただし希はまだ能力を完全に使えるわけじゃない、いい?希の能力は話だけ聴くと便利そうだけど何かを生み出すさい頭の中で生み出す物体の性質をイメージしなきゃいけない。」
  「性質?例えば耐久性とか?」
  「それだけじゃない、形、大きさ、機能いわゆる設計図を頭の中でイメージするそしてようやく錬成できるってわけ、勿論今後次第では銃とか剣とか作れるようになるだろうけど、今は四角い柱ぐらいしか作れないと思うけどね。」
 アリスの話を聞いた希は青ざめた顔していた。
   「てことは、今のままだと襲われても対処することが・・・」
  「まぁ、戦闘になったら確実に死ぬでしょうね。」 
 さらっとアリスは言った。
   「おい、どうしたいいんだよ!これから死神みたいなやつらと戦わなきゃいけないんだろ。」
   希はアリスに言う。
   「大丈夫よ、戦闘になったらだから最初は遠目から偵察するくらいでいいんだって。」
 なだめるようにアリスは言った。
 「それならまだいいが、そのうちやらなきゃいけない時が来るんだろ。それになんで契約者とか魔術師はこの町で争っているんだよ。」
 「それは、」
 ピリリと、希の携帯が鳴り響く。
 「なんだ?メールって今は授業中のはずだが。」
 涼のいたずらだろうと希はメールを見る。
 「な、なんだこれ?」
 希はうろたえているところを見てアリスは尋ねる。
 「どうしたの?詐欺のメールでもきた?」
 そんな冗談も返す余裕がなかった。
 「呼び出されているみたいだぞ。」
 希はアリスにメールを見せる。
 アリスも目を見開く。
 「希、戦闘になることを覚悟しておいた方がいいかも。」
 そのメールはこう書かれいた。


  ハロー新人君!
       君に聞きたいことがあるんだ。
    悪いんだけど夜の九時くらいに君の高校のグランドに来てくれないかな。

       ps:もし来なかったらあの恐ろしい死神ちゃんに君の居場所を教えちゃうよ。


       by 素敵なシスターさんより

 「どうする?」
 希はアリスに不安げに聞く。
 「行くしかないでしょ。」
 空気を入れ替えようと窓を開ける。
 外を見た希は今が夕方だと知る。
 「契約者か・・・」
 希は一言つぶやいた。
 
 
 

 
 
 
 
 


 

 
 
 
  
 
 
 
 

   

コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品