神様の日記

Togemoti

契約

 「ここは?」
 希は体を起こそうとする。
 体に激痛が走る。
 「いっ!」 
  上半身が焼けているようだった。
 「そうか俺切られたのか。」
 けど、なんで教室にいるんだ?
 確か廊下にいた気がしたんだが。
 「私が転移させたのなけなしの魔力を使ってね。」
 ため息混じりに少女は言う。
  

 「ねぇ ここで人生を終了するか私と契約してこの場を乗り切るかどっちか選びなさい。」


  その少女は唐突に、死にかけの希に問いかけてきた。
  ・・・はあ、塾の見学に行っただけでなんでこんな目にあっているんだと呆れ果てる。

 「なぁ、あんたの名前なんて・・・いうんだ?」
 少女は呆れ果てたように少女は希を見上げる。
 「ふーん、名前を聞く余裕はあるんだ。」
 「死ぬ前に美少女の名前を聞くのも悪くない。」
 そんな冗談を言って見たが正直もう息をするのもきつい。
 少女はため息をつきながらもう一度希に問いかける。
 
 「はぁ、だから生きるのか死ぬのか聞いてるじゃない契約すれば傷を回復させてあげるんだから。」
 呆れた顔でこちらを見上げている。
 「で、どうするの答えは1つだと思うけど。答えるのがきついなら頷くだけでもいいから。」
 
 生きれるのか・・・。

 なら生きたい。
 希は少女をまっすぐに見つめ頷く。
 
 急に周囲が光り始める。
 
 「なんだまだ生きる気があるみたいね。よーし!あなたを契約者として認めましょう。」
 少女は希に笑顔を向ける。
 
 「そうそう、名乗るのを忘れていたわね。私はアリスあなたは?」
 少女は希に手を出す。
 体に痛みがないことにきずく。
「今井希だ。」
 
 いつのまにか体から傷がなくなっていた。

 「希・・・、いい名前ね。立てる?」

 希は無言で差し伸べられた手を取り立ち上がった

 希は少しよろける。
  「う、」
 傷がないのはいいが体がどことなく重い。
 「契約酔いね最初はそんなもんよ。それより早くこんな場所から逃げるわよ。今、契約者と戦うのは非常にまずい。」
 アリスと名乗る少女から聞いたことがない単語ばかり出てくる。契約酔い?契約者?戦う?状況を飲み込めてない希をほっといてアリスは話を進める。
 「ねぇ、話ちゃんと聞いてる?あなたもどうやってここから脱出するか、、、」
 「ちょっと待ってくれ、まず状況が理解できないわかりやすく教えてくれ。」
 「周りを見てまだわかってないの?」
 改めて周りを見渡す、部屋のあちこちが壊れ部屋の外は火の海だ。
 ・・・ちょっと待てどうやってここからでるんだ。
 「なあ、どうやってここからでる?」
 「だからそれを一緒に考えて言ってるでしょ!」
 そんなこと言われてもと希は表情で訴える。
 「なんでこんな奴と契約しちゃったのかなぁ・・・、希!」
  悪態ついていたと思ったら急に希に向かって叫ぶ。その瞬間俺に紅い刃が俺を襲う。
 「おわ!」
 ギリギリで希はその刃を避ける。
 「思ったよりもくるのが早すぎる。」
 アリスは歯噛みしていた。
 「あら避けられちゃった。まさかまだ生きてるなんて。」
 刀の持ち主が、希に目を向ける。
 じりじりと俺とアリスは後ろに下がる。
 アリスは希に小声で言う。
 「ねえ、今から私の言う言葉を手を握りながら言って。」
  希は言われるがままアリスに従う。
  握った手は震えていた。不安がひしひし手から伝わってくる。
 「アリス・・。」
 こいつ内心すごい怖がっているはずなのに表情には一切恐怖が見られない。
 「握ったわね、I will contract 合図をしたらそう言って。」
 今はアリスを信じるしかない。
 「わかった。今はそれしかないんだな。」
 アリスは頷く。
 「話し合いは終わり?」
 女は冷たい笑みをこぼす。
 「二人仲良く殺してあ・げ・る。」
 女は刀を向ける。
 その姿は、まさに死神を連想した。
 たじろぐと希の手を震えた手でアリスは強く握り返す。
 「いくよ・・希!」
 
 「いくぞ!l will コントラクトおおおおおおおおおお!」

 その瞬間、希の体とアリスの体が溶け合い混じる感覚に陥る。深く熱く混じり合い1つとなる。
 「あ、あ、ああああああ!」
 視界には暗い空間に光が流れる光景が見える。希はその光に呑まれそうになる。誰かが希に手を伸ばす、あれはアリス?
 希はすがるように手を伸ばす。
 
 気ずくと希は元の場所に戻っていた。
 「あなたアリスと契約をしたの?」
 女は俺を睨む。
 「まぁ、契約者だろうと対して変わらないわね。殺してアリスを奪えばいいしじゃあ死になさい!」
 一瞬で間合い詰め刀を振り下ろす。
 本来ならそれで希は体を斬られ死んでいたはずだった。
 「死んで、たまるかーー!」
 希はやけくそに拳を振る。
 そこに倒れたのは、死神だった。
 
 「え?」
 
 それをしたのが自分だと理解するのに少し時間がかかった。
 
 

 
 
 

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