魔力と魔力と魔力で自由に異世界を旅しよう

ノベルバユーザー122938

おはよう異世界、はじめまして神様

「ん...」
目を開いた。どうやら寝ていたようだ。
「ここは...」
知らない天井...などではなく、みんなよく知る青い空、白い雲、そして空を飛ぶツノの生えた大型の鳥。...ん?空??あの鳥は見間違えだろうが、空ってのはなんでだ?寝起きの割になぜかやたらと軽い体を起こして周りを見渡す。
「森だ」
間違いなく森だわ。って、俺制服着てるし、明らかにおかしいよな...
周りの状況がわかるほど混乱してきたぞ?いやいや落ち着け、こんな時こそ落ち着かないと。えーっと、まず自分の持ち物の確認でもするか。
「服はいつもの高校の制服で、ポケットの中はスマホ、ハンカチ、生徒手帳...ん?なんだコレ?」
胸ポケットに見覚えのない銀色のカードが入っていた。大きさはスマホとおなじくらいで、なんか変な模様が刻まれている。どこかの国の言語か...?
「うおっ!?」
模様が光ったかと思うと、頭の中に情報が流れ込んできた。これは...この言語の情報か?なるほど助かった、お陰で“この世界”でも生活しやすくなるだろう。ん?“この世界”ってどういう意味かって?これでも俺はラノベ好きなんだ、ここまで状況が揃ってて異世界だって言われない方がおかしい。突然出てきたガイドにアフリカですよとか言われた暁にはたぶん今世紀最大の右ストレートが飛んでいくと思う。
...まぁ、これでも異世界とか憧れてたしちょっとテンション上がってんだよ。まぁ元の世界の家族や友人、ペットと会えないのは寂しいんだがな。
『話が早くて助かるわい』
「!?」
突如辺りに、いや俺の頭の中に声が響いた。
『ちょっと眩しいから目をつぶってくれよ』
訳が分からないながらも目をぎゅっとつぶると、
「もう良いぞ」
さっきの声が目の前から聞こえてきた。
「ここは?あなたは?」
「お主ならなんとなく分かっておるのじゃろう?」
いや予想はできるけどさぁ...
「えっ...と、神...さま?ですか?」
「その通りじゃ」
目の前には綺麗な白髪と立派な白ひげをたくわえたお年寄り。うん。まぁテンプレだよな。もうここまで来たら常識とかかなぐり捨ててノった方が良さそうだ。
「では説明して頂けますか?」
「うむ、お主は剣と魔法の異世界へと転生することとなった。理由としては...」
「あなたのミスで死んだんですか?」
「いや、そうではない。他の世界の管理をしている神が1人亡くなってな。神というものには基本的には寿命はないのじゃが、中には例外もいるのじゃ。」
ニーチェの「神は死んだ」ってのが現実に起こるんだなー。
「で、それと俺が転移するのとどういう関係が?」
「神が死ぬと一時的に全ての世界が歪む。神という大きな存在が失われるためじゃな。いつもはちょっとした異常気象とかで済むのじゃが、今回のようにごく希に世界をトリップしてしまう者もいての。」
「なるほど、俺はそれに巻き込まれてしまったと。」
「その通りじゃ。そしてお主に詫びねばならん事もある...」そう言って神は気まずそうになった。
「えっと...元の世界に帰れない、とかですか?」
「そうなのだ、巻き込まれて転移することは初めてでな...」
「あれ?でもさっき“ごく希に”って言ってませんでした?前例があるんですよね?」
前例がないなら初めてだと言うはずだからな。
「あるにはあるのじゃが、今まで巻き込まれた者は皆次元に意識を引き裂かれて死んでしまってな、お主のように生きたまま転移してくるというのは初めてなのじゃよ。」
なるほど、その点では初めてだと。
「今まで巻き込まれた者は皆亡くなったので元の世界では突然死として遺体は元に戻して帰しておるのじゃが、生きたまま送るとなるとどんな反動があるかわからんのでの...。迂闊なことはできんのじゃよ。」
そう言って神は申し訳なさそうにする。
「いや、そんなに恐縮しないで下さい。話を聞く限り神様に責任はありませんし、僕も怒るつもりはありませんから。」
そういって神を取り成す。...一介の高校生が神様に謝られて慰めるってのもなぁ...
「そう言って貰えるとありがたいのぅ。重ね重ね申し訳ないのじゃが、転移してきた魂だからと言って勝手に成仏させることはできんのじゃ。」
まぁそうだろうな。成仏させていいならこうやって話し合う必要もないだろうし。
「ではこれから俺は異世界で生きていけばいいんですね?」
「そうじゃ。お詫びと言ってはなんじゃが身体能力を全体的に引き上げて、言語もわかるようにしておいた。あと一つくらいならなにか特別な力でも与えてやることができるが...なにか望みはあるか?」
あ、さっきやたらと体が軽かったのとかはコレか。てか来たよ来ちゃったよお約束!やばいテンション上がってきた、ここで下手な選択はできないぞ...?特別な力か...いざ決めろって言われるとなぁ。


...どのくらい悩んだだろうか。神様なんて待ちくたびれたのかグミ食ってる。神様の世界にもグミってあったんだな...。
「神様」
「ん、なんじゃやっと決まったか」
「いえ、決まらないのでオススメ教えてください」
神様が呆れた顔をした。仕方ないじゃないか!前世でラノベ読みすぎて色々浮かんでくるんだもん!!
「オススメのう...手っ取り早く莫大な魔力とかどうじゃ?」
なるほど、王道だ。そして素晴らしい。
「莫大ってどれくらいまで大きく出来るんですか?」
「そうじゃな、魔力の強化はさっき言った“身体能力を引き上げる”うちに含まれておるから、新しい能力を追加するよりも上げ幅は大きいの。向こうの世界の基準で言うと...いちばん大きい国の宮廷魔術師団10個分くらいが限界かの」
うわぁわかりやすいチートだ。うん。色々出来そうだしそれでいっか。ていうかそのレベルまで上げられるってこの神様、神の中でもかなり優秀なんじゃなかろうか...?まぁそんなことは気にしても仕方ないな、さっさと頼むことにしよう。
「ではそれでお願いします」
「うむ、ではその力を与えよう。向こうの世界のことは向こうの住人に聞くとよい。ほかに何が知りたいことはないか?」
「はい、大丈夫です」
「では、達者でな」


さぁ、魔力の使い方なんてものはわからないが、とにかくこれで楽しい異世界ライフが始まる...!

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