朝起きたら女の子になってた。

スライム3世

旅行 part14



結局俺はあの後、純白のワンピースを着る事になった。俺は紗香から奪い返したズボンを履こうとしたんだけど、紗香が「沙雪がワンピース着てくれたら、私はベアワンピ着てあげる」って言ってきたんだよね。まぁ、幸いサイズはあったけど、どうしてそんな提案をしてきたのかは、最初は分からなかった。

その俺の反応に気づいた紗香は、むすっとしてた。そして何をトチ狂ったのか、紗香はベアワンピを持って洗面所に行ったんだよ。

戻ってきた時には、ベアワンピを着ていたんだよ。そして、俺のところまで来て前屈みになり「どう?」って囁かれたんだ。俺はその感想を言った方がいいと思って紗香を見たんだ。

そして思った、気づいた。

────紗香のお胸様が主張されてる!

それでね、紗香は基本着痩せするタイプなんだよ。そういうタイプの人がお胸様を主張してきたらどうなると思う?

うん、反則だよね。だから、俺が言いたいのは1つ。

チーターや!ルール違反や!

あ、2つだったね。

つまり、俺はそのチーターに負けたんや。勝負には勝って試合には負けたぐらいに悔しかったんだ。だから、俺は負けたからには全力で負けようと思ったんだ。

やべぇ、自分でも何言ってるか分からなくなってきたわ。

まぁ、とにかく俺はワンピースを着た。紗香の主張されているお胸様と曝け出されている肩を見るために。肌が綺麗だったし、それでご飯3杯はいけるよ。あ、ごめん、それは無理だった。今の俺じゃ、ご飯1杯と少々でお腹一杯になっちゃうから。


*****


俺達4人は、りんご狩りに必要な荷物をいくつか持って、観光バスでその舞台となる場所まで向かうのだが……

「あら?沙雪ちゃん、また会ったね。お姉さん嬉しい!」
「何が会っただよ!さっき俺達が乗るバス見た時、別のバスガイドと入れ替わってたよな?」

そう、俺達が乗った観光バスはこのバスガイドでは無かった。しかし、このバスガイドは何処からか俺達というか俺を見て、本来のバスガイドだった人に相談……いや脅して変わっていた。それを見ていた運転手は何も見ていないフリをしていた。このバス会社緩くないですかね。

「何のこと?それより、沙雪ちゃん白いワンピース着てるんだ。か〜わ〜い〜い〜。今日は何話す?どこ行く?」
「何で馴れ馴れしくしてくんだよ!」
「それは、私と沙雪ちゃんの……仲じゃない」
「いつ、親しくなった?俺の記憶では、只のバスガイドの筈だが?それにさっきの溜めは何だ?」
「ちっ」
「舌打ちした⁉︎」

そして俺達の会話を聞いていた前にいる人紗香は、こっちに顔を出してきた。

「おばさん、しつこいよ」
「お客様、運転中は危険ですので、お席をお立ちにならないで下さい」
「はぁ?」

(怖い怖い、女の人怖い)

「おばさん、私立ってないよ?膝立ちしてるだけですけど」
「膝立ちでも立ちは立ちでしょ?」
「それが何か?」
「「フフフフフ」」

こういう場面の時、アニメだったら火花とか散ってそうだよね。でもアニメじゃないから散らないんだよ。代わりに散るのは、俺のSAN値なんだよね。正確にはSanityという単語で正常って意味だよ。だから訳すと、正常値が危ないって意味になるんだ。つまり、慌てている状態の事を指すと思う。というか思ったけど、こうやって解説出来てるんだから、SAN値減ってなかったわ……。

*****


約1時間ほどバスに揺られて目的地に着いた。

紗香とバスガイドの戦闘は保留状態になり、いつか決着をつけるらしい。だけど青森から帰ったら会う機会無いと思うんだよね。

バスから降りると寒さが襲ってきた。

バスの中は快適な温度だったので、コートは脱いでいた。なので、俺がコートを羽織り直すと、

「沙雪、変態みたい」
「何だよ急に」
「だってその格好、コートしか着てない様に見える。それに黒のストッキングがそれを引き立ててる」

紗香にそう言われて確認すると、ワンピースがコートに隠れて、コートの下は何も着てない様に見える。

「マジだ。てか、こういうのは冬によく見るぞ。女子高生とか制服の上にコート着てるとこんな感じだし」
「ちっ」

(舌打ち⁉︎ 本日2度目なんだけど……)


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