朝起きたら女の子になってた。

スライム3世

旅行 part13



「起きろ〜沙雪」
「んぁ?」
「飯食べに行くぞ」
「飯か」

(よく寝たぜ。姉貴に起こされたが、何も言われなかった。良かった良かった)

よし、朝飯食べに行くか。

カット!


*****


朝飯を食べ終わり、部屋に戻ってきた。

今は、着替える為にバッグを漁っているのだが……

ズボンがない……たしかに俺は行きの時、ズボンを1枚入れた。だけど、荷物を漁ってもロングスカートはあるのにズボンは無かった。代わりに白いワンピースが入っていた……。

「誰や、俺の荷物のところからズボン抜き取った奴!」
「は〜い、わったし〜」
「紗香か!それに、何でそんなに生き生きしてるんだよ」
「今日は沙雪の初めてのりんご狩り。その広場には白い天使が舞い降りた。純白のワンピースに麦わら帽子を被っている黒髪の笑顔が似合う美少女。その少女の麦わら帽子は風に吹かれて飛んで行ってしまった。吹き荒れる風に髪とワンピースを抑えながらも、麦わら帽子を取りに行こうとする。しかし、その麦わら帽子を掴んで渡してくれた人がいた。その人に沙雪は最高級の笑顔を……」
「いちいち長いな!それに何だ、そのベタな展開は?」
「だから、それ着て?」
「話が全く通じてないぞ。それに着るとしても、寒過ぎるぞ!誰が青森の風に吹かれてワンピースと麦わら帽子を抑えるんだよ!そんな状況だったら縮こむわ」
「しょうがない、カーディガンも付けるから許して?」
「あ、あぁ、ありがとってちげえよ!そういう問題じゃないんだよ」
「じゃあ、何?カーディガンの他にもコートも?」
「はぁ……もう良いよ……俺の負けだ」

負けを認めて俺は浴衣を脱いで、ブラを着け、キャミソールを着てから純白のワンピースを着ようとしたのだが……

問題が発生した。

「これどうやって着るんだ?紐ないけど?」
「ベアワンピね。沙雪には無理かな?ズレちゃうから」
「じゃあ、何で渡したん?」
「テヘペロ」

舌を出してきたので、バカにしている様に見える。

(ちょっと、今のはムカつくなぁ……)

「そうか、なら紗香が着ろ」
「やだよ、何で私が肩出してる服着ないといけないの?それにサイズ合わないし」
「どうせ、まだ持ってるんやろ!俺がそのバッグから出してやる」
「あ、待って!」

紗香の逼迫した声を無視して、紗香のバッグを漁っていく。

(やっぱりあった)

紗香が着れるサイズのベアワンピがあった。その他にも肩紐がある純白のワンピース、俺が持ってきていたズボン、そして……

「何や、このデジカメは?」
「待って、中身は!」

俺はその中身という言葉が気になり、紗香が奪い返そうとしたので逃げながら、デジカメを起動してフォルダを見ていく。

だが、俺は名前からして確信した。

「何だこの名前は?『沙雪 天使』、『沙雪 隠し撮り』、『沙雪 カワイイ』他にも一杯あるぞ」

俺がその名前を暴露しながら逃げていると、後ろから忍び寄ってきた母さんにデジカメを取られた。

「か、母さん、返してくれ。俺はその悪魔の所業の成果をこの世から抹消するという使命が!」
「よく撮れてるわよ?こんなに綺麗に撮れてる写真を消すなんて勿体ないと思うわ」

そう言って、母さんは俺にデジカメに映っている一枚の写真を見せてきた。

それは、青森の空港内のところで、いつの間にか撮っていたか分からないが、家族4人が映っている写真だった。おそらく、紗香は誰かに渡して撮らせていたのだろう。

「分かったよ」

俺は気が逸れてしまって、抹消はいいやと思い諦めたのだった。

紗香が母さんに向かって、ガッツポーズをしているのを知らずに……


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