朝起きたら女の子になってた。
旅行 part5
姉貴と紗香の卓球の試合が引き分けに終わった。報酬に関しては、両方勝ちか両方負けになるかを俺抜きで勝手に2人で決められた。結果は両方勝ちになり、今日の夜が姉貴で、明日の夜が紗香になった。1日だけだと腹を括っていた俺はこの時、不意打ちを受けたのだった……。
そして現在は午後6時半頃、俺達は泊まる部屋に戻ってきていた。
「母さん、明日の予定だけど、姉貴がリンゴ狩り行こうだって」
「良いんじゃないかしら、紗香はそれで良い?」
「うん、『パティシエのりんごスティック』美味しいからね」
「分かったわ、それじゃあ明日の予定は決まりね」
正式にりんご狩りに行く事が決まりました。あと紗香さん?それ宣伝ですかね?
「さて、そろそろ行きましょうか」
「どこにだ?」
「「バイキング」」
母さんと姉貴がハモった。それに何故か違う意味に聞こえてきたんだけど。おっかしいな〜。
「もしかして、昼飯食ベに行かなかったのはこの為か?」
「そうよ、食べ放題のお金払っといて、「全然食えませんでした」なんて勿体無いと思わない?」
「そうだな」
という事で、俺達はバイキング会場にやって来ました。部屋からバイキング会場までの移動で起きた出来事は何も無かったのでカット!
そして、バイキング会場にいた客層は家族連れで来てる人達もいたり、憎っくきリア充共もいた。だが、俺達がそのバイキング会場に着いた時、賑やかだった声が静まり返った。主に野郎共が。
まぁ、仕方ないな。母さんも美人な方だし、姉貴も茶髪に染めた髪のショートカット。高校生の時までは黒髪ロングで美人系だったけど、それ以降はかっこいい美人って感じが醸し出されているんだよね。
紗香は天使。あ、間違えた。可愛い系です。背中ほどまであるサラサラと流れている漆黒の髪にパッチリとした目元。今の俺もこれだと思う。髪は肩ぐらいまでしかなかったけど大分伸びて紗香と同じくらいになった。違うところを言えば目元。俺はくりっとしている目元だから少し違う。
今思えば、男の俺がこの集団に混じってたら嫉妬の目や怨嗟の声が飛び交って、最終的に後ろからぶっ刺されてBAD ENDだったわ。俺は不可視の死亡フラグさえ回避していたんだね。
さて、話を戻してバイキング会場に着いた俺達は、空いている席を探していると、女性の店員がやってきた。
「何名様でしょうか?」
「4人で」
「では、こちらの席へどうぞ」
俺達はエスコートされて席まで案内された。その場所は何故か中央辺りで目立つ場所だったけど、気のせいだよね。
席の場所が分かり、「さぁ、何か美味しい物探そう」と考え、席から離れようとしたが、母さんがいきなり姉貴と紗香に命令口調で言い放った。
「沙耶!貴女はWest、紗香はEast!」
「「了解!」」
姉貴と紗香は返事をすると共に左右に分かれて突撃しに行った。
(!? 何が起こっているんだ?)
「母さん、何してるんだ?」
「沙雪、ここは戦場よ?自分で考えなさい」
(戦場?意味分からんわ。仕方ない、適当に取りに行くか)
そうして俺がゆっくりと動き出すと、母さんが俺の元まで駆け寄ってきて耳打ちしてきた。
「ねぇ沙雪?何しているの?」
「何って、適当に取りに行こうかと」
「適当?信じられないわ、良い?戦場では常に危険と隣り合わせなの。それを適当だなんて……、ショックだわ!」
「!?」
「仕方ないから、説明してあげるわ。戦場では迅速な判断が大事になってくるのよ。だから、より精密により早く、これを目標に動きなさい!」
「は、はい!いや、Yes,Ma'am!」
「よろしい」
(やべぇ、全く言ってた事が頭に入って来なかったわ)
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