朝起きたら女の子になってた。
目が醒めて…
「んぅ〜よく寝たぁ…」
いつ寝たか良く分からないけど寝てた。そして何故か教室の地面で寝てたぜ。きったね。
立ち上がって上着とスカートを叩いて埃を落としながら周りを見る。後ろの方を見ると女子達が数十人いて、俺を獲物を見る目で見てくる。前方の方では莉奈さん?が紗香を机に押し倒していた。
なんか、凄い時に起きたな…。
とりあえず、俺は関わらない様にして教室から出る為にドアの方に向かう。触らぬ神に祟りなしって言うしな。そして、俺が教室から出ようとすると紗香が話しかけてきた。
「ま、待って、沙雪、どこ行くの」
「いやー、お楽しみのところを邪魔したら悪いじゃん?だから、終わったら呼んでくれ。廊下にいるからさ」
「違うの、沙雪。私は…」
「大丈夫、分かってる。言わなくて良い、その人は紗香のコレなんだろ?」
俺は小指を立てながら言った。恋愛は自由だからね。
「じゃあ、ごゆっくり〜」
バタン
俺が教室から出てドアを閉めると、もう一つのドアの方からわらわらと女子達が出てきた。
「「「「私の本当の妹になりなさい」」」」
「は?」
さっきも見たけど何だ、この集団は?
「どちら様ですか?」
「「「「沙雪ちゃんのお姉ちゃんです」」」」
ダメだ、言ってる意味が理解できないぞ?
「俺は君達の妹になった覚えはないぞ」
「「「「え…?」」」」
何でそんなに驚いんてんだよ。俺が驚きたいわ。でも理由は聞いとくか。
「何で俺を妹扱いしたいんだ?」
「「「「可愛いし小ちゃいから」」」」
「俺を可愛いって言うな!」
「「「「かわいい…」」」」
マジで怖いわ。何を狙ってる?金か?残念だけど今は金欠だから渡せないんだよな…。
俺がそう思っていると、紗香も教室から出てきた。
「沙雪、大丈夫?」
「ん?紗香はもう良いのか?その、恋人とイチャイチャしてたところなんだろ?」
「恋人じゃない!」
「そうなのか?まぁ、どっちでも良いけど。それより、早くここから離れようぜ。さっきからあの集団が怖いんだよ」
「「「「そんな、酷い…。もう、良い。その体に私の妹だって分からせてあげる!」」」」
怖えぇ…。
「おい、紗香、逃げるぞ」
「うん」
俺は紗香の手を掴んでこの場から退散する事にした。
逃げながら紗香の方を見るとすごく不気味な笑いをしていた。だけど俺は見なかった事にして教室から離れる事に優先するのだった。
*****
俺と紗香が逃げた場所は1階の女子トイレの個室だった。少し入るのに戸惑ったが割り切った。てか女子トイレめっちゃ臭いな。血生臭いのとトイレ特有の匂いが鼻について臭すぎる。消臭力置いとけよ…。
「ところで紗香さん?」
「何、沙雪?」
「何で俺が紗香のションベンする音聞かないといけないんだ?」
先程から、便器の水がチョロチョロと音を奏でているんだよね。何かいけないことしてる感じになってくる。
「したくなっちゃったんだから仕方ないでしょ?」
「まぁ、いいけど。それよりも昔の事思い出したわ」
「すごく嫌な予感が…」
確かあれは、紗香が小学2年生の時だったかな…。
「小さい頃、夜に俺の部屋に来てこう言ったよな?「おにいちゃん、わたしこわいゆめみちゃったから、ひとりでおといれにいけない…いっしょにおといれきて…」って」
「何でそんな恥ずかしい事覚えてんの…」
「それでな、おれが紗香をおんぶしてトイレに運ぼうとしたら、「ちょっと、ゆらさないで!」って怒ってきたな」
「当たり前だよ。漏れたら大変だったんだからね」
「それでトイレに連れて行って、外で待ってるって言ったのに「ダメ!わたしをひとりにしないで」って俺に抱きつきながら言うから仕方なく一緒に入ったな」
「こんな風に?」
そう言って俺に抱きついてくる紗香。
「そうそう、そんな風にって、何で抱きついてくるんだよ。ションベンしてるんじゃないのか」
「もう終わったよ」
確かに紗香の言った通りに音は聞こえなくなっていた。
「ねぇ沙雪?」
「何だ?」
「好きだよ」
「何が?」
「沙雪の事が」
「そうか、俺も紗香の事が好きだぞ」
「はぁ…」
「何だよ、キモいってか?」
「違うよ、シスコンだなって」
「やめてくれ… その言葉は一生慣れそうにない…」
「それよりさ、早く行こ?今日は始業式だから、皆は体育館に行ってると思うからね」
「そうだな」
そこで会話を止めて、俺と紗香はトイレから出て体育館に向かうのであった。
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