世界を渡る私のストーリー

鬼怒川 ますず

山と海の悲哀1

 俺は最低最悪の男だ。
 あぁ、自分語りしなくても本当に分かっている。
 俺は最悪だ。
 今まさに、その両手と身体を憎い連中の体液で真っ赤に濡らしてるんだ。
 体液の中には子供も女のものもある。
 おそらく、俺は歴史の中でも最悪の部類の悪党だろう。
 それでも、俺はさらに新しい紅をもって手を汚す。
 かつて愛した彼女の為、信じようとしていた彼女を不死だの不老だのと言った理由で無残に殺し、その身体をバラバラにして血肉を高値で売買し、嗜好品だとかで愛用している気持ちの悪い人間であふれた世界を滅ぼすためだけに。
 優しかった彼女は絶対喜ばないだろう。
 誰かが苦しむ顔が見たくなて必ず助けに向かっていた正義感の強い彼女。
 恐らく、あの世とやらで泣いているだろう。
 そう思ってしまうだけで手を止めてしまう。
 後悔している、これが正しいことではないと理解している。
 それでも、それでも、それでも…。


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