世界を渡る私のストーリー
間違いはない、傲る気持ちも無ければただ謙虚にそうなって欲しいと願ったのだから。だが彼らは行動を間違えてしまった
世界を救った勇者がいた。
彼は魔王を殺し、自分が勇者を始めた国に戻って平穏に過ごした。
一緒に冒険してきた仲間を妻に持ち、世界を救った英雄として世界中の人々にその偉業を讃えられた。
しかし、それは平和ではない。
勇者である彼の前には毎日のように身なりの汚れた者が膝をついて勇者に頼む。
子供を助けてください。
お父さんを助けてください。
お母さんを助けてください。
おじいちゃんを助けてください。
おばあちゃんを助けてください。
おじさんを助けてください。
おばさんを助けてください。
姪を助けてください。
甥を助けてください。
助けてください助けてください助けてください助けてください助けてください助けてください助けてください助けてください助けてください助けてください助けてください助けてください助けてください助けてください助けてください助けてください助けてください助けてください助けてください助けてください助けてください助けてください助けてください助けてください助けてください助けてください助けてください助けてください助けてください助けてください助けてください助けてください助けてください助けてください助けてください助けてください助けてください助けてください助けてください助けてください助けてください助けてください助けてください助けてください助けてください助けてください助けてください助けてください助けてください助けてください助けてください。
どうにかして追い払っても次々とくる。
1人を助けたら今度は5人。
5人を助けたら次の日は15人。
その次は55人。どんどん増えてしまう。
彼はそのせいで少しずつおかしくなっていく。
「俺は世界を救った勇者なのに…次々と人が俺を求めてくる!勇者だから、俺は勇者だから人を助けてあげたいのに、でも全員を助けてあげられない!!俺はなんだ?俺は本当に勇者なのか!?」
違う世界で平凡な高校生だったが、この世界に来て勇者と呼ばれた男は、その後何十年も悩み続けながら慈善活動を行ってきた。
世界に未だに起きる悲劇を回避したくて。
でも、解決策はない。
神にも一度なったが、それでも生命を救うすべはない。
誰よりも優しい彼は、日に日に過去殺してきた魔物や魔王を思い出しては、苦悩を募らせた。
誰も悲しまない、それでも永遠が欲しいわけではない。
だからこそ、彼は理想の世界に想いを馳せた。
そして、ある事を行う。
世界中に記される事のなかった悲劇の記録を魔法で集め、圧縮させてこの世界以外の場所に渡そうと決める。
「この世界以外にも世界があるのなら、きっと世界中に広がる悲劇を打開する解決策がある世界に届くはずだ。この異世界への道は小さくて生命は通れないが、思念体なら通るだろう。もし次の世界でもダメなら、次に渡せるようにやり方も魔法も記した。これで俺の想いは尽きることはない」
そう言って人差し指に乗るほどに圧縮させた悲劇の塊を彼は異空間に落とす。
次の世界は職業チートの少女が駆る世界。
少女は思念体と出会い、悲劇を打開したい考えに賛同した。
でも、彼女1人ではその世界を完全に救える打開策は無かった。
「私の世界の悲劇を詰めて、次へ」
次は騎士として転成した男の元に。
彼は助けられなかった民が忘れられず、その考えに賛同したが同じように打開策はない。
世界の悲劇を詰めて次へと渡す。
「これが解決できる者へと届く事を祈ろう」
次はモンスターに生まれ変わった者。
「みんなと仲良く過ごせる世界を」
次はエルフとして転生した者。
「奴隷制なんて馬鹿げたもので死んだ者の報われる世界へ」
次はMP100000の魔法使いになった者。
「私でも知らない打開策がある世界に…」
次は邪神に生まれ変わった人間。
「世界が悪も正義もなく平和な世界になれると嬉しい」
次へ、次へ、次へ。
悲劇を内包させた思念体は世界を渡る。
一つの世界で人差し指に乗るほど小さく圧縮されたそれはどんどん大きくなっていく。
ゴルフボール
テニスボール
ボウリングボール
球状にどんどん降り積もっていく。
彼は魔王を殺し、自分が勇者を始めた国に戻って平穏に過ごした。
一緒に冒険してきた仲間を妻に持ち、世界を救った英雄として世界中の人々にその偉業を讃えられた。
しかし、それは平和ではない。
勇者である彼の前には毎日のように身なりの汚れた者が膝をついて勇者に頼む。
子供を助けてください。
お父さんを助けてください。
お母さんを助けてください。
おじいちゃんを助けてください。
おばあちゃんを助けてください。
おじさんを助けてください。
おばさんを助けてください。
姪を助けてください。
甥を助けてください。
助けてください助けてください助けてください助けてください助けてください助けてください助けてください助けてください助けてください助けてください助けてください助けてください助けてください助けてください助けてください助けてください助けてください助けてください助けてください助けてください助けてください助けてください助けてください助けてください助けてください助けてください助けてください助けてください助けてください助けてください助けてください助けてください助けてください助けてください助けてください助けてください助けてください助けてください助けてください助けてください助けてください助けてください助けてください助けてください助けてください助けてください助けてください助けてください助けてください助けてください助けてください。
どうにかして追い払っても次々とくる。
1人を助けたら今度は5人。
5人を助けたら次の日は15人。
その次は55人。どんどん増えてしまう。
彼はそのせいで少しずつおかしくなっていく。
「俺は世界を救った勇者なのに…次々と人が俺を求めてくる!勇者だから、俺は勇者だから人を助けてあげたいのに、でも全員を助けてあげられない!!俺はなんだ?俺は本当に勇者なのか!?」
違う世界で平凡な高校生だったが、この世界に来て勇者と呼ばれた男は、その後何十年も悩み続けながら慈善活動を行ってきた。
世界に未だに起きる悲劇を回避したくて。
でも、解決策はない。
神にも一度なったが、それでも生命を救うすべはない。
誰よりも優しい彼は、日に日に過去殺してきた魔物や魔王を思い出しては、苦悩を募らせた。
誰も悲しまない、それでも永遠が欲しいわけではない。
だからこそ、彼は理想の世界に想いを馳せた。
そして、ある事を行う。
世界中に記される事のなかった悲劇の記録を魔法で集め、圧縮させてこの世界以外の場所に渡そうと決める。
「この世界以外にも世界があるのなら、きっと世界中に広がる悲劇を打開する解決策がある世界に届くはずだ。この異世界への道は小さくて生命は通れないが、思念体なら通るだろう。もし次の世界でもダメなら、次に渡せるようにやり方も魔法も記した。これで俺の想いは尽きることはない」
そう言って人差し指に乗るほどに圧縮させた悲劇の塊を彼は異空間に落とす。
次の世界は職業チートの少女が駆る世界。
少女は思念体と出会い、悲劇を打開したい考えに賛同した。
でも、彼女1人ではその世界を完全に救える打開策は無かった。
「私の世界の悲劇を詰めて、次へ」
次は騎士として転成した男の元に。
彼は助けられなかった民が忘れられず、その考えに賛同したが同じように打開策はない。
世界の悲劇を詰めて次へと渡す。
「これが解決できる者へと届く事を祈ろう」
次はモンスターに生まれ変わった者。
「みんなと仲良く過ごせる世界を」
次はエルフとして転生した者。
「奴隷制なんて馬鹿げたもので死んだ者の報われる世界へ」
次はMP100000の魔法使いになった者。
「私でも知らない打開策がある世界に…」
次は邪神に生まれ変わった人間。
「世界が悪も正義もなく平和な世界になれると嬉しい」
次へ、次へ、次へ。
悲劇を内包させた思念体は世界を渡る。
一つの世界で人差し指に乗るほど小さく圧縮されたそれはどんどん大きくなっていく。
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球状にどんどん降り積もっていく。
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