世界を渡る私のストーリー

鬼怒川 ますず

語り部が語る、世界を渡り何かをするという行為の代償1

さて、ここからは綴とその仲間達が向かったこの世界の定義を話そうか。
…ん?私が誰かって?
私は語り部だよ。
面白くもない神話やくだらない設定が次々と世の中に誕生し、それが史実に残らずに闇に埋没されるのを見たくない一心で物語を語る語り部さ。
仏だねもはや。
キャハッ☆

「……」

おっと、大人だとしてもこれぐらい茶目っ気のある紹介で怒ってはいけないよ。
私としてもこう真面目に物語を語るのは好きではないんだ。
私はいつどの異界でも道化でいたいからね。

「道化の御託は良い、さっさと語れ」

はいはい、美人さんはいつだって性格が厳しく私は苦手だよ。
さてと…では語ろう。


世界の定義は様々だが、主に生命がいて初めて世界という言葉が定着する。私の中では生命どころか土台の星がなくても世界というものが存在するが、統治する神だけの世界など地獄よりも無機質で忌み嫌っているがね。
でだ、ここでこの定義に照らし合わせて今度は神を語ろう。
神というのは生命の何層も上の位の存在で、本来なら人前に出ることなどない特別な者たちだ。彼らは其々特別な役職を持っており、陰と陽のように互いの領分に従って干渉しない世界に必要不可欠な存在もいる。
一つの世界に何千の神、例外もあって一つの世界に1人や2人のところもある。
ま、神の定義と世界の定義は一緒でいいと思うよ。どうせそんな繊細な事情は君にはどうでもいいだろうし。

で、話を戻すと綴…なんか別に呼び捨てじゃなくてもいいかな、ちゃん付けで読んじゃおっと。

「…あまり我の気に入った者を愚弄するなよ道化」

失礼、でもちゃんで呼ぶね。
あの子の容姿は娘にそっくりだし、なんかそう呼びたいんだ。

「…ッチ、まぁ説明が堅苦しいとお前が嫌だろうし仕方ない。今回だけちゃ…呼称を付けて呼ぶが良い」

ありがとう…ではコホン、綴ちゃんが次に来た世界は誕生して間もない世界。
そこで新人の神と世界から発生した闇との対決が行われているわけだ。
この物語の結末は知ってはいるが、問題は闇の発生か。

「ふむ…詳しくは知らぬがあの世界に現れた影は世界の悲劇の欠けらの集合体らしい。そもそも、なぜ悲劇が闇に変わり多くの魔獣を発生出来るのだ?」

そこだ。
そんな君の疑問を解決するために私はここに来た。
まぁ、面倒な次元を超えて私に聞きに来るのは良いことだけど、首根っこ掴んでここに連れて行く必要はないと思うけどね。あれはもう誘拐だと思うね私は。

「黙れ、ここに呼ばれるのも分かっていたのなら何故その時カステラを食べようとしていたこの間抜けめ」

あれは3時のおやつだからだよ!
私の1日の楽しみは高級なお菓子を頬張ることなんだ!

「無駄話はそこまでにしておけよ人間」

はいはい、まったく…でだ、そんな悲劇の集まりがどうしてあそこまで闇濃くなったのか。
それは単に異世界へ続く道が広がり、転生者や転移者の影響が濃くなった世界から排外されたからだ。

…意味分かんないって顔をしないでほしい。私も理屈や理論を言葉にするのは難しい時だってあるんだ。
ようは、世界を渡る者が増えてしまったのが原因だ。
私のいる会社や学校のあるノーファンタジーの世界を中心とし、そこから吐き出される様に魔法や神秘に満ち溢れた世界に飛ばされる転移者達は、其々違う世界に飛ばされながらも様々な人生を歩む。
勇者になり魔王を倒す者。
王様となり世界を統べる者。
はたまた神になってしまう者。
商売人や騎士や魔法使い、職人になって色々な要職につき、楽しみながら過ごして行く。

しかし、そんな夢物語にも例外がある。
モンスターに生まれ変わる者。
魔王になった者。
邪神となって邪魔な者を消して行く者。
多様な目的がある転移者、転生者やの中でも正しい考えを持った人間が必ずいるわけがない。
そんな人間は世界の秩序を乱す者になる。
まぁ、否定はしないけどね

「……」

神を殺して魔王になった勇者だっているんだ、それ以上の悪逆を犯している者も私は見たよ。
大魔王ミズキさん、今回のお話はそんな貴女にも関係する悲劇だ。




「世界を渡る私のストーリー」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く