世界を渡る私のストーリー
英雄紛いの偽物26
だからこそ、ツヅリは手を差し伸べる。
「…もし良かったら、私と一緒に彼を探すのを手伝ってくれないかな?私は何億年も探しても見つけられなかったけど、あなたは出会えた。顔も彼の事も知っているあなたがいれば、きっとすぐにでも見つかるはずだから」
「…でも、私は何も出来ない…私は盗みとかそんなのしか出来ない。魔剣も無ければただの…弱い人間だ」
私は差し伸べられた手が怖くて、必死で言い訳を考えて口に出す。
私の弱気はその点だった。
今までの人生で人より上手いことなどそれぐらいしかなかったから、私はそれが恥ずかしいと思えた。
「あはは、なら私は最初は勉強だけで他はなーんにも出来なかった女だよ。最初から強いやつなんて、それこそいないんだから安心しなよ」
「…こほん」
笑いながら私の言い訳に答えてくれるツヅリ。
と、その発言に顔を赤くして顔を背けるミレーナと呼ばれた女性。
あ、この人は最初から自分が最強だと思っていたのか。
そう思うと自然と笑いそうになる。
失礼だとは思うが。
「良い笑顔、あなたのその笑顔は、あなたにしか出来ない貴重なものだよ」
私が笑いそうになるのを見たツヅリは不意に言った。
私は同じ事を前にも言われたことがあった。
『笑顔だよ、リアンはあの人と同じ見ていて嬉しくなる笑顔が一番だ』
それはあの告白の時。
悲しかったし悔しかったあの日に、彼が言ってくれた私の長所。
(あの人とこの人がお互いを探し続けているのも、きっとお互いの笑顔が好きだからなんだろうな…)
互いに惹かれあっている2人。
彼らの仲に入るのは無粋なことなのは分かっている。
でも、この人は私を拒まない。
あの人も拒まなかったように、この人も私という1人の人間を受け入れてくれる。
「…本当に似ているわね、あなたはあの人に…」
「何のことか分からないけど、栄一が褒めたのも笑顔なら、あなたも私と同じってことなのよきっと」
「…そうね、だったら私もここから立たないといけない」
差し伸べられた手を、私はつかめる。
「行くわ、私もここで何千年もやって来たんだ。あなた達と一緒に、もう一度あの人に会うために……!」
その手を掴めば、私は救われる。
無意識に私は差し出された手を私は握る。
ツヅリは微笑むように笑ってくれた。
その笑顔が、あの人と重なって私は嬉しかった。
あの数千年は無駄ではなかった。
「ーーーじゃが、これで此処は滅んだ。誰でもない勇者と魔王の対決により…お主は約束も違えてしまったか、残念なやつよ」
聞き覚えのある声が聞こえた。
ツヅリもミレーナも声が聞こえたらしく、声の聞こえる方に顔を向けた。
「…何だ、やつは…?」
「……あなたは」
「初めましてーーとはおかしいか、何せずっと観察しておったし、ワシ自身の趣味じゃからな」
私達の頭上、全壊してしまった城にかろうじて残っていた柱の上にあの人はいた。
「…もし良かったら、私と一緒に彼を探すのを手伝ってくれないかな?私は何億年も探しても見つけられなかったけど、あなたは出会えた。顔も彼の事も知っているあなたがいれば、きっとすぐにでも見つかるはずだから」
「…でも、私は何も出来ない…私は盗みとかそんなのしか出来ない。魔剣も無ければただの…弱い人間だ」
私は差し伸べられた手が怖くて、必死で言い訳を考えて口に出す。
私の弱気はその点だった。
今までの人生で人より上手いことなどそれぐらいしかなかったから、私はそれが恥ずかしいと思えた。
「あはは、なら私は最初は勉強だけで他はなーんにも出来なかった女だよ。最初から強いやつなんて、それこそいないんだから安心しなよ」
「…こほん」
笑いながら私の言い訳に答えてくれるツヅリ。
と、その発言に顔を赤くして顔を背けるミレーナと呼ばれた女性。
あ、この人は最初から自分が最強だと思っていたのか。
そう思うと自然と笑いそうになる。
失礼だとは思うが。
「良い笑顔、あなたのその笑顔は、あなたにしか出来ない貴重なものだよ」
私が笑いそうになるのを見たツヅリは不意に言った。
私は同じ事を前にも言われたことがあった。
『笑顔だよ、リアンはあの人と同じ見ていて嬉しくなる笑顔が一番だ』
それはあの告白の時。
悲しかったし悔しかったあの日に、彼が言ってくれた私の長所。
(あの人とこの人がお互いを探し続けているのも、きっとお互いの笑顔が好きだからなんだろうな…)
互いに惹かれあっている2人。
彼らの仲に入るのは無粋なことなのは分かっている。
でも、この人は私を拒まない。
あの人も拒まなかったように、この人も私という1人の人間を受け入れてくれる。
「…本当に似ているわね、あなたはあの人に…」
「何のことか分からないけど、栄一が褒めたのも笑顔なら、あなたも私と同じってことなのよきっと」
「…そうね、だったら私もここから立たないといけない」
差し伸べられた手を、私はつかめる。
「行くわ、私もここで何千年もやって来たんだ。あなた達と一緒に、もう一度あの人に会うために……!」
その手を掴めば、私は救われる。
無意識に私は差し出された手を私は握る。
ツヅリは微笑むように笑ってくれた。
その笑顔が、あの人と重なって私は嬉しかった。
あの数千年は無駄ではなかった。
「ーーーじゃが、これで此処は滅んだ。誰でもない勇者と魔王の対決により…お主は約束も違えてしまったか、残念なやつよ」
聞き覚えのある声が聞こえた。
ツヅリもミレーナも声が聞こえたらしく、声の聞こえる方に顔を向けた。
「…何だ、やつは…?」
「……あなたは」
「初めましてーーとはおかしいか、何せずっと観察しておったし、ワシ自身の趣味じゃからな」
私達の頭上、全壊してしまった城にかろうじて残っていた柱の上にあの人はいた。
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