世界を渡る私のストーリー

鬼怒川 ますず

英雄紛いの偽物23

彼女らはあの女から全てを聞くだろう。
魔剣の事やワシのことも、無論それこそ彼奴のことも。
ワシにはそれが面白くて、カカカと同時にほほほと笑ってしまう。

嗚呼ァ可笑しい、可笑しくて一度死んでしまいたくなる。
しかし、ワシは死なん。死なないは多少変な表現ではあるが、死とは何かそもそもそれすら忘れたから仕方あるまい。
命の危機に怯えることなどないワシは、黙った彼女らを観察する。

いくら全ての術や武を修めても、あれにワシは見えるはずもない。

「…と思うておくと、必ず世界は常識破りを起こす。あの娘は第六感でワシに気づくかもしれんし、ワシは一旦ここから離れた方が良かろう」

コトの露見など恐るるに足らん。しかし人間はかくも強き生き物であり、誑かしてきたワシにすればその強さはいつも何かを覆すのも分かっている。
おそらく今回も、世界は救われてしまうだろう。

だからこそ離れてしまうのだ。
世界が救われてしまえば、我が神の邪魔にもなろう廃棄物が調子付いてしまう。

カカカカカ、カカカカカカカーーー!!
ほほほほほ、ほほほほほほほ!

バッドエンドこそ、本来の世界にふさわしいもの。

「な、何よあなた!一体どうやってここに!?」

滅ぶ姿がどんなに美しくとも、全て失われ無に還ればそれがどんな終わりだろうと悲劇で最悪なものに変わる。

「如何して何も効かないの!?女神の力よ!?創造神の力よ!?世界は元どおりになったってのに!?」

それがワシの今までの人生で得た教訓。

「…え、ちょっと待って!貴方まさか×××!!? 嘘よ、だって貴方達は、神様達が消したって…!!」

無限を繰り返す見た目も醜く矮小な小物が、よもや世界を何千と滅ぼしたなど誰も思うまい。

救われた世界など、ワシの介入があった時点で無いも同然。
余興も絡めればワシに敵う者などおるまい。

「ヤダやめて食べないでお願いなんでもするからだからやめて嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ死にたくない!!!」

そう思いながら、ワシは奴の首根っこを掴み、大口を開けてヤツを入れた。

「や、やだ…なんで、なんで救われたのに……わ、私がこんな事に……やめて、やめてよ…」

ワシの口からまだ頭を出していた女神オステは、弱々しく絶望の表情でそう呟く。
その顔がワシの心を余計に昂ぶらせてくれた。

「カカ、女神が助かりたいと、救われたいと思うとは、世界とはなんと広大でまだ見ぬもので溢れワシを楽しませてくれるか。しかし、元人間の感情などではやはり物足りぬな」

「な、なん…」

「ではさらば」

女神が何か言おうとしたが、ワシはワシの楽しみとしてわざと聞かずに無視して女神を飲み込む。
ゴクリ、と。


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