世界を渡る私のストーリー
英雄紛いの偽物19
『あーもしもし、聞こえていますか?』
『…なんだこの声は、敵か?』
『て、敵ではないです。私は女神オステ、この世界を統べる者です。ツヅリさん、ミレーナさん、この度は、私の世界にお越しくださりありがとうございます』
『女神だと?』
オステが2人に向けていつも通りの挨拶をかける。
しかし、ツヅリだけは違う。
『…なんか変ね、あなた本当に神様なの?』
『な、なんですか急に」
『私たちの名前を把握して、私たちが世界を渡る存在だって理解している』
『そりゃ知ってますよ、神様なら当然です』
『へーこんな世界を治めているのに?』
画面の中でツヅリはそう言うと、短い呪文を唱えて真っ暗闇の世界を明るく灯す。
明かりに灯された暗い空間は、所々に亀裂やヒビが入っていた。
地面も数メートル先は無くなっており、まるで崩壊が始まったかのようだった。
『…世界の維持が出来てない、こんな空間1つもまともに作れてないで神様とか、今まで出会った神を侮辱しているのかしら?』
ギクリと、オステはツヅリの行為と言動が当たっていることに驚く。
そう、あのバグはここまで支障を来すまで成長してしまっていた。
今まであった女神の力も、今では微々たるものでしかない。
だから見せかけでも部屋を用意してきた。
それで大抵の人間は騙せてきたから。しかし、そんなペテンは今呆気なく破れた。
『ま、待ってください!それには訳があっってこれからお話しします!』
オステは必死に敵意がない事を証明しようとする。
『信じられぬな、今お前は私たちを騙そうとした。女神などと偽って」
『早くここから出してくれない、さもないと強制的に壊すわよ』
しかし、ツヅリとミレーナは取り合おうともしない。
どうしようかオステは悩むが、ツヅリは問答無用で空間を引き裂こうと魔法の発動の準備を整え始めた。
焦るオステ。
どうしようか悩む。
『わー!わー!分かりました全部言います!!だからこれ以上無駄な破壊はやめてーー!!』
懇願するようにお願いすると、画面にいたツヅリも魔法を一旦やめて、声に答える。
『…本当の説明だけしなさい、嘘だったら女神でも張り倒すわよ』
『神に仕える者だが、ツヅリがやるなら私は誰が相手でも容赦はしない』
『あ、ありがとうございます…、実は…』
私は与えられたチャンスで全て語る。
この世界のバグについて。
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