世界を渡る私のストーリー
英雄紛いの偽物18
小さなバグは世界を壊す。
あと数回勇者を殺されてしまえば、完全にオステが創った世界は無くなる。
女神にこれを解決できる術はない。
理を冒してまで無駄だった、だからこそ女神は泣くしかない。
世界の終わりは、女神自身の死でもある。
勇者を召喚しなければ、魔王が全てを滅ぼすかもしれない。
それどころか、創造神のオステすらもあの魔剣の餌食になりかねない。
八方塞がり、どう足掻いてもただゲームを楽しむ感覚で世界を廻していた女神には良い考えなど浮かぶはずもない。
オステは絶望し、呆然と部屋の天井を眺める。
と、その時上から突然2枚の紙が舞い落ちてきた。
目の前にゆっくりと落ちたその紙は、異世界の人間の情報が書かれたものだ。
いつもならフォルダから自然に発生しれ挟まれているはずだが、そのフォルダが壁際でページを開かせたまま落ちているからだと分かり、おかしな事ではないことに気づく。
見慣れた用紙を、女神は手に取らずに目で読む。
いつもの人間の情報。
どういった死因か、どういったものか、それが全て書かれたくだらない、履歴の……。
「…え?」
女神は読みながら目を丸くする。
それどころか素早くその2枚の用紙を掴みあげて、そこに書かれた情報を目を見開いて読み始めた。
「あ……あは、はははは…!嘘でしょ?こんなの人間どころか神も軽く超えてるじゃん! こんなすげぇ人間が、こんな世界に次に来るって!?」
女神は用紙を掴み上げてはしゃぐように喜ぶ。
それは女神というより、まるで野球の中継で9回表で何点も点差をつけて逆転をした球団を見て喜ぶような、そんな喜び方をしている。
喜んでいたのも束の間、オステは急いで2枚の用紙をディスプレイに差し込む。
映像が切り替わり、いつも見慣れた白黒の砂嵐の後に彼女たちが映る。
『…あれ?なにこの世界』
『…どうやら、閉鎖された世界のようだが。ツヅリはこんな世界は初めてか?』
『いや、前の世界が賑やかすぎたから逆に驚いちゃうというか、それでも出だし真っ暗は初めてだな』
『安心しろツヅリ、私はお前を必ず守るから』
『全く心配性ね、私がそんなヤワに思われるのもそうだけど…ミレーナは心配しすぎなのよ』
『だが嫌ではないだろ?ツヅリはそういう人だからな』
『はぁ…本当にミレーナってばそういう事を平気で言うんだから、他の世界の男性が惚れていくのも納得だなぁ』
『私はツヅリしか見ていない。他の奴など知らん』
『それもどうかと思うわよ…』
2人の女性が真っ暗闇の中で、一切狼狽えることもなく会話を続ける。
その姿は女神には新鮮で、それと同時に大きな信頼も生まれる。
彼女たちならできる、と。
あと数回勇者を殺されてしまえば、完全にオステが創った世界は無くなる。
女神にこれを解決できる術はない。
理を冒してまで無駄だった、だからこそ女神は泣くしかない。
世界の終わりは、女神自身の死でもある。
勇者を召喚しなければ、魔王が全てを滅ぼすかもしれない。
それどころか、創造神のオステすらもあの魔剣の餌食になりかねない。
八方塞がり、どう足掻いてもただゲームを楽しむ感覚で世界を廻していた女神には良い考えなど浮かぶはずもない。
オステは絶望し、呆然と部屋の天井を眺める。
と、その時上から突然2枚の紙が舞い落ちてきた。
目の前にゆっくりと落ちたその紙は、異世界の人間の情報が書かれたものだ。
いつもならフォルダから自然に発生しれ挟まれているはずだが、そのフォルダが壁際でページを開かせたまま落ちているからだと分かり、おかしな事ではないことに気づく。
見慣れた用紙を、女神は手に取らずに目で読む。
いつもの人間の情報。
どういった死因か、どういったものか、それが全て書かれたくだらない、履歴の……。
「…え?」
女神は読みながら目を丸くする。
それどころか素早くその2枚の用紙を掴みあげて、そこに書かれた情報を目を見開いて読み始めた。
「あ……あは、はははは…!嘘でしょ?こんなの人間どころか神も軽く超えてるじゃん! こんなすげぇ人間が、こんな世界に次に来るって!?」
女神は用紙を掴み上げてはしゃぐように喜ぶ。
それは女神というより、まるで野球の中継で9回表で何点も点差をつけて逆転をした球団を見て喜ぶような、そんな喜び方をしている。
喜んでいたのも束の間、オステは急いで2枚の用紙をディスプレイに差し込む。
映像が切り替わり、いつも見慣れた白黒の砂嵐の後に彼女たちが映る。
『…あれ?なにこの世界』
『…どうやら、閉鎖された世界のようだが。ツヅリはこんな世界は初めてか?』
『いや、前の世界が賑やかすぎたから逆に驚いちゃうというか、それでも出だし真っ暗は初めてだな』
『安心しろツヅリ、私はお前を必ず守るから』
『全く心配性ね、私がそんなヤワに思われるのもそうだけど…ミレーナは心配しすぎなのよ』
『だが嫌ではないだろ?ツヅリはそういう人だからな』
『はぁ…本当にミレーナってばそういう事を平気で言うんだから、他の世界の男性が惚れていくのも納得だなぁ』
『私はツヅリしか見ていない。他の奴など知らん』
『それもどうかと思うわよ…』
2人の女性が真っ暗闇の中で、一切狼狽えることもなく会話を続ける。
その姿は女神には新鮮で、それと同時に大きな信頼も生まれる。
彼女たちならできる、と。
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