世界を渡る私のストーリー

鬼怒川 ますず

英雄紛いの偽物2

私は夢を見た。
過去の私の夢を。

「おいリアン!テメーまた盗みに失敗したのか!!」

バシバシと顔や体を叩かれ、ガタイが良いだけの中身が無い盗賊団の団長は私にキツイ叱責を浴びせる。
打たれる私は泣きながら黙って団長の気が済むまで叩かれるのを我慢する。

私は生まれた頃から親も無しで、この盗賊団の幹部の人に育てられた。
私自身盗みの才能があるわけでもない。
盗みをしなければ生きていけない毎日を過ごしているだけで、ただ必要なだけの事だった。

盗賊団は毎日のようにたくさんの村や商人を襲う。そこに例外はなく殺人も含みながら。
私は嫌々それをやらされてきた。
何人もの人を殺してきた。
同年代の子供まで殺した時もあった。
そんなことがあった日の夜は決まって寝所でボロ布に包まり、こんな毎日が終わることを祈るしかない。
そして、その祈りは届く。
あの出会いで。

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