世界を渡る私のストーリー
60話記念 始まりの物語
私は自ら命を絶って異世界で転生した。
元の世界は金と権力、テレビやネットで毎日のようにどこかの議員の汚職事件や世界中の悲惨な事件を報道していたような世界だった。
戦争が起きたら泣き。
貧困がひどければ革命が起き。
全員がいがみ合う、とてもとても酷く汚い世界だった。
これを言っている私も、金貸しの父と投資家の母を持つ家庭で生まれ育った。
彼らはいつも金の話をし、私の事など目も向けてはくれなかった。
いつも寂しく1人で過ごし。
夕食も1人で作り。
洗濯物も1人でやり。
高校生で死ぬまで私の半生はずっと孤独のままだった。
学校も無機質に感じ、灰色の世界に映る同級生に親から譲り受けた愛想笑いを浮かべてつまらない関係を築き上げていった。
授業だって好成績を出せば、私の嫌う先生から褒められてうんざりだった。
つまらない人生だった。
そのはずだ。
でもここは違う。
私は死んでから目の前が暗転し、気付いたら何処かの森で起きたのだ。
見たこともない植物。
綺麗なまでに照りつける太陽。
そして……森を抜けた先に見たこともないほどに広大な大地。
私も最初混乱した。
だが親切な旅商人が迷っていた私を見つけて、ある国に連れて行ってくれた。
そこは私の嫌いなものがありながら、でも大半は自分の人生に満足しているかのように生活しており、私は目から鱗が落ちてしまった。
素敵で綺麗だ。
ここには下手くそな愛想笑いを浮かべる者も少なく、腹の底から笑う者ばかりだ。
旅商人のおじいさんにお願いをして、そのツテを使って私は国の貴族のお屋敷で使用人として働かせてもらった。
お屋敷に住む貴族の当主は優しく、私の諸事情を言ったら信じてくれて喋っている言葉は同じなのに違う言語を、懇切丁寧に教えてくれた。
お屋敷には他にも色んな人がおり、その全てが優しく私にこの世界について教えてくれて、困ったときも助けてくれた。
元の世界でも高嶺の花と噂されていた美貌を持つ私だからなのだろうか、本当に良くしてくれた。
4年も住み込みで働き、貯まってきたお給金と十分に身についたこの世界の知識を携えて私はお屋敷から出た。
辞めたのだ。
今までの厚意と恩を当主に感謝し、私は屋敷を出る。
屋敷の外には買い出しなどで何回も出ていたが、私はある目的を持って今までを過ごしていた。
あれは、自分が命を絶つ前……。
私が自分の人生のレールに乗ってつまらない未来を想像していた時。
放課後に私に告白した君がいた。
君は、私だけが覚えていると思っていた。
小学校の時仲良く、私が密かに恋心を持っていた相手だった。
でも高学年になるにつれて喋る機会も無くなり、いつしか君が私から離れてしまったと思っていた。
中学、高校と同じ学校で。君はいつも違うクラスで私だけが君を見ていた。
視界の端に君が映ると、私の無機質な人生が一瞬だけ色がつき。
すれ違うだけでこの時が止まってと思った。
そんな私に、君はずっと前から同じように好きだったのだ。
私は初めて人前で泣いた。
寂しくて泣いていた時とは違う。
ほおを流れる際に暖める嬉しい涙だ。
「ダメ……かな」
「……いいえ、ありがとう……」
私の返事を聞いて、君も涙を流してくれた。
それからは色のある人生だった。
君と一緒に下校すると、今までなんとも思わなかった夕陽が綺麗に思え。そのオレンジ色の陽に当たって笑う君の顔が心を温め。
雨の日も君との相合傘で、濡れた足靴下以上に君と接触するだけでほおが熱かった。
休日は一緒に過ごし、新しい思い出を作っていった。
そこからは意味のある人生だった。
今まで自分の将来について考えていなかったが、君とのおかげで目指してみたいものが見つかった。
親とも面と向かって話してみた。
怒られたが、私は諦めずに親を説得した。
親は折れて私の夢について口を出さなくなった。
私は、初めて自分が変われるんだって君に泣きながら言ったらきみは。
「高校卒業したら一緒に暮らさないか……夢を追ってさ……」
君のその一言で私は今後の人生をどう生きていくか決めた。
お互いに寄り添いながら私たちは頑張った。
君が挫けそうになるときは励まして。
私が挫けそうな時はいつも温かく包んでくれた。
幸せだった。
君が死ぬまでは。
高校3年の夏、君と歩きながら勉強会から帰る最中に通り魔に襲われた。
君は私を守るために突き飛ばして、自分が代わりに刺さった。
それが致命傷で君は死んだ。
私も、必死で通り魔を岩で殴り殺した。
気がついたら、私は警察官に捕縛されながら2人の頭の原型もない死体と君の動かなくなった遺体を眺めていた。
そこから私は、どうでも良くなった。
一週間後に仮釈放され、その際にビルに入って屋上から飛び降りて、死んだ。
生きていても意味がなかった。
また無機質な世界になった。
 親から人殺しと罵られた。
もう、限界だった。
そして私はやり直す。
転生した世界で、私は君を探す。
私が来たのだから、君だってこの世界に来ているはず。
君が好きだ。
好きで好きで愛している。
たとえ、世界が変わって、時間も流れて、年老いたとしても。
私は君を探しだす。
さぁ、始めよう。
---------異世界で転生した第二の物語を---------
どうも、この作品は主人公ツヅリの前日譚というもので、彼女が恋い焦がれる君…彼を求める最初の旅する世界です。
今回は60話記念と何となくこの話を掲載したいと思い、不躾ながらまだ続いている物語の間にいれることにしました。
まだまだ続く物語ですが、今後もよろしくお願いします。
元の世界は金と権力、テレビやネットで毎日のようにどこかの議員の汚職事件や世界中の悲惨な事件を報道していたような世界だった。
戦争が起きたら泣き。
貧困がひどければ革命が起き。
全員がいがみ合う、とてもとても酷く汚い世界だった。
これを言っている私も、金貸しの父と投資家の母を持つ家庭で生まれ育った。
彼らはいつも金の話をし、私の事など目も向けてはくれなかった。
いつも寂しく1人で過ごし。
夕食も1人で作り。
洗濯物も1人でやり。
高校生で死ぬまで私の半生はずっと孤独のままだった。
学校も無機質に感じ、灰色の世界に映る同級生に親から譲り受けた愛想笑いを浮かべてつまらない関係を築き上げていった。
授業だって好成績を出せば、私の嫌う先生から褒められてうんざりだった。
つまらない人生だった。
そのはずだ。
でもここは違う。
私は死んでから目の前が暗転し、気付いたら何処かの森で起きたのだ。
見たこともない植物。
綺麗なまでに照りつける太陽。
そして……森を抜けた先に見たこともないほどに広大な大地。
私も最初混乱した。
だが親切な旅商人が迷っていた私を見つけて、ある国に連れて行ってくれた。
そこは私の嫌いなものがありながら、でも大半は自分の人生に満足しているかのように生活しており、私は目から鱗が落ちてしまった。
素敵で綺麗だ。
ここには下手くそな愛想笑いを浮かべる者も少なく、腹の底から笑う者ばかりだ。
旅商人のおじいさんにお願いをして、そのツテを使って私は国の貴族のお屋敷で使用人として働かせてもらった。
お屋敷に住む貴族の当主は優しく、私の諸事情を言ったら信じてくれて喋っている言葉は同じなのに違う言語を、懇切丁寧に教えてくれた。
お屋敷には他にも色んな人がおり、その全てが優しく私にこの世界について教えてくれて、困ったときも助けてくれた。
元の世界でも高嶺の花と噂されていた美貌を持つ私だからなのだろうか、本当に良くしてくれた。
4年も住み込みで働き、貯まってきたお給金と十分に身についたこの世界の知識を携えて私はお屋敷から出た。
辞めたのだ。
今までの厚意と恩を当主に感謝し、私は屋敷を出る。
屋敷の外には買い出しなどで何回も出ていたが、私はある目的を持って今までを過ごしていた。
あれは、自分が命を絶つ前……。
私が自分の人生のレールに乗ってつまらない未来を想像していた時。
放課後に私に告白した君がいた。
君は、私だけが覚えていると思っていた。
小学校の時仲良く、私が密かに恋心を持っていた相手だった。
でも高学年になるにつれて喋る機会も無くなり、いつしか君が私から離れてしまったと思っていた。
中学、高校と同じ学校で。君はいつも違うクラスで私だけが君を見ていた。
視界の端に君が映ると、私の無機質な人生が一瞬だけ色がつき。
すれ違うだけでこの時が止まってと思った。
そんな私に、君はずっと前から同じように好きだったのだ。
私は初めて人前で泣いた。
寂しくて泣いていた時とは違う。
ほおを流れる際に暖める嬉しい涙だ。
「ダメ……かな」
「……いいえ、ありがとう……」
私の返事を聞いて、君も涙を流してくれた。
それからは色のある人生だった。
君と一緒に下校すると、今までなんとも思わなかった夕陽が綺麗に思え。そのオレンジ色の陽に当たって笑う君の顔が心を温め。
雨の日も君との相合傘で、濡れた足靴下以上に君と接触するだけでほおが熱かった。
休日は一緒に過ごし、新しい思い出を作っていった。
そこからは意味のある人生だった。
今まで自分の将来について考えていなかったが、君とのおかげで目指してみたいものが見つかった。
親とも面と向かって話してみた。
怒られたが、私は諦めずに親を説得した。
親は折れて私の夢について口を出さなくなった。
私は、初めて自分が変われるんだって君に泣きながら言ったらきみは。
「高校卒業したら一緒に暮らさないか……夢を追ってさ……」
君のその一言で私は今後の人生をどう生きていくか決めた。
お互いに寄り添いながら私たちは頑張った。
君が挫けそうになるときは励まして。
私が挫けそうな時はいつも温かく包んでくれた。
幸せだった。
君が死ぬまでは。
高校3年の夏、君と歩きながら勉強会から帰る最中に通り魔に襲われた。
君は私を守るために突き飛ばして、自分が代わりに刺さった。
それが致命傷で君は死んだ。
私も、必死で通り魔を岩で殴り殺した。
気がついたら、私は警察官に捕縛されながら2人の頭の原型もない死体と君の動かなくなった遺体を眺めていた。
そこから私は、どうでも良くなった。
一週間後に仮釈放され、その際にビルに入って屋上から飛び降りて、死んだ。
生きていても意味がなかった。
また無機質な世界になった。
 親から人殺しと罵られた。
もう、限界だった。
そして私はやり直す。
転生した世界で、私は君を探す。
私が来たのだから、君だってこの世界に来ているはず。
君が好きだ。
好きで好きで愛している。
たとえ、世界が変わって、時間も流れて、年老いたとしても。
私は君を探しだす。
さぁ、始めよう。
---------異世界で転生した第二の物語を---------
どうも、この作品は主人公ツヅリの前日譚というもので、彼女が恋い焦がれる君…彼を求める最初の旅する世界です。
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