世界を渡る私のストーリー

鬼怒川 ますず

無力な私が愛した支配者8

無力だった私は彼の横暴をただ見ていることしかできない。
側近として、ただ執務をこなすだけしかできない。
そんな彼の狂気が災いしたのか、天候も狂い始めて世界中で不作が続いた。
多くの民が飢え、貧困が酷くなる。
そのための政策もなんの成果もあげられなかった。
私はそんな現状に嫌気が指した。
マイナスの要因がマイナスを呼び、人々は国から離れて滅んだ異種族の住んでいた地へと移住し始める。
いろんな人が去った。
商人も武人も身分を問わず全て。

私は一心に祈った。
この国が救われることを。
もう、終わりに向かうだろうこの国を。
ただただ、祈り続けるしかなかった。

そうした中、彼女たちは現れた。
異世界から渡ってきた旅人として、この国の城に、彼と謁見を申し込んだ。
謁見した理由は当然「どうしてこんなことをしたのか」だ。
彼女らがどのような人物かは話していないので詳しくは分からないが、遠くで聞く限りだと彼のやっていることに不満を持っていることだけは伝わった。
そして、その盗み聞きしていた会話の内容で私は真実を知る。

この世界を治める神は多くの異世界の住人を呼び出し、その苦しむ様を楽しんでいること。
神は意図的に戦争を起こし、異種族の戦争を継続させたこと。
神がいる限り、この世界に平穏は戻らない。
その為に彼は神の思い通りにならないように、人間以外の種族を全て殺した。

真実はこのようなものだったが、私にはそれが到底信じられるものではなく、彼女達が城から去った後もなんとも言えない虚無感に襲われる。

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