世界を渡る私のストーリー

鬼怒川 ますず

無力な私が愛した支配者7


しかし、19年の間に異種族との溝が深まった彼ら人間がそれを喜ぶことはできなかった。

「どうしてこんなことをするのですか」

私が聞くと彼は以前とは違ってやる気のない眼で言った。

「全てが分かったからだ」と。

それから2年の間、彼は以前とは違って人間に対して横暴な政治を始めた。
反対意見を述べた重鎮の抹殺。
彼の前で少しでもミスを犯した者は全員首をもぎ取られて殺され、そのせいで多くの部下が私の前から消えた。
私も反対意見を言ったが、彼は聞く耳を持たないのに私にだけは何もしてこなかった。

そうしてただ玉座に座りながら、適当な指示を出す日々。
その時の彼の姿は見るに耐えないもので、あまりにも弱く感じた。
あれだけ野心に満ちた筈なのに。

私では救えないのか。

私は無力だ。
本当に何も、あの時の彼を助けられずに殺した無力な女だ。

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