世界を渡る私のストーリー

鬼怒川 ますず

無力な万能を持つ支配者17

ミレーナの翼を使ってこの世界の王城に向かった。
教えてくれた彼らには、私からお礼としてこの世界の悲劇を止めると約束した。
言葉の意味が分からない彼らはそれには曖昧な返事を返すが、私がミレーナに掴まり共に空へと羽ばたくとその姿を見て追いかけるように応援の言葉をかけてくれた。

「…それで、会ってどうするんだ?相手が異世界転生者だとして、ツヅリが会って何か言ったところで改心したところでこの世界は変わらないと思うぞ」

ミレーナが飛びながら私に言ってくれた。
確かにその通りだ。
今更すべてが元に戻るわけではない。
滅ぼした種族が元に戻ると言うわけでもない。
無かったことになど、普通なら出来ない。
多くの世界を渡り、多くの悲劇を目の当たりにしたからこそ、私はそれが必然であると分かっている。
しかし、一部の世界では『諦めない』人達もいた。
彼らは起きた悲劇を回避しようと、何度も時間を逆行する。私以上では無かったにしろ、その孤独の決行はどんな人よりも輝いていた。
そして少しでも挫折しそうなものなら、いつだって守るべき誰かに励まされ、何度も立ち上がった。
今回はケースが違うが、本質は同じだ。
彼が求めているものがあるはずだ。
それを少しでも促せられるのなら、私は彼にキツイのをお見舞いしないといけない。

それこそ、永遠の暗中模索を繰り返してきた先輩から後輩へと送る応援歌のように。

「そうね、この世界が元に戻ることはなくても…彼が世界を変えたのならその逆もいけるかな…て」

「ようは相手の考えを改めさせて世界の復興に向けさせるのか。しかし、そんなことが出来るのか?さっきの者達から聞いた話では、意見した者は全員殺されたそうだが」

「私がその皇帝よりも弱いと?」

「無粋な質問だったな、確かにツヅリならいけるかもな」

私の冗談にミレーナは笑う。
飛ぶ風に流れる私達の会話は、ある場所を境に途切れる。
何かの中に入ったかのような感覚。
その重圧を私は肌で感じ、同じようにミレーナも警戒心を高める。

皇帝がいる首都に着いた。

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