世界を渡る私のストーリー

鬼怒川 ますず

無力な万能を持つ支配者16


20年ほど昔、突如として現れた万能を持つ男。
男はその力を持って15いる種族で行なわれた千年も続く戦争に終止符をつけようとした。
男のやり方は凄惨なもので、人間を総べていた王や貴族を処刑し皇帝の地位に就き、戦場に自ら出て必ずと言って良いほど敵を1人も残さずに殺し、降伏した種族は全て隷属として人間のために働かせていた。
とにかく、人間第一主義のようだった。
彼がやった事は、とにかくひどいものばかりだった。
しかし最初は千年もの戦争の怨恨を晴らしていた人間だったが、次第に彼らの中でお互いを理解するものや、共に営みを築こうとする者が現れた。
それが意味するのは、戦争が終わり本当の平和がこの世界にもたらされると言う事。

それは種族も関係なく、みんなが望んでいた願いだった

しかし、2年前のある時を境に男は狂気に囚われたように支配した地域の種族を滅ぼし始めた。
その頃は至る所で反乱が起き、絶えることのない反発が起きていた。
そのせいで、おかしくなったのだろうと彼らは言った。

最初はまだ敵だった魔族と竜人族、そして次々と支配した種族の町や首都を襲う。
彼らの村にも例外なく皇帝が入り、海棲種の妻と子供を持っていた男の家に入り込むと、間髪入れずに殺したと言う。
同様な事が人間の住む場所で大量に行なわれた。

皇帝が動きを止めて、城に戻ったときには既にこの世界に人間以外の種族はおらず、ただ死体のみが転がっていたらしい。
それから皇帝から人間が支配している町以外では死体はそのままにせよと言う命令が下された。
もちろん、納得はしていなかった。
しかし、彼に意見したもの達は全員彼1人の力で殺された。

誰も逆らえない。
圧倒的力の前では。


「人口が一気に減って、友好国だったエルフからの輸入も無くなって、いざ畑を耕しても天候が悪くなっちまう。不作なもんで金も僅かで街に行って買い物も出来ねぇからこうやって滅んだ種族の街に出向いて金品を漁っているわけだ」

「…」

黙って聞いていた私は、その彼に怒りを抱く。
急に力を持って彼らの前に現れた。それが本当なら彼はあるカテゴリーに入る人物かもしれない。

異世界転生者、他の世界からきた者。

経験からだろうか、多くの同じ境遇の人々に出会ったこともあったからか、私は彼がその1人だと確信した。
理由としてはあまりにも大雑把なものだが、私は彼に一度会わないといけないと思った。
会って1発ぶん殴って、きつい一言を言ってあげなければいけない。
おそらく、彼は苦しんでいるから。
その苦しみの正体を私は知っている。

「世界を渡る私のストーリー」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く