世界を渡る私のストーリー

鬼怒川 ますず

カードの館の人形姫6

ひどく賑やかな世界に来た。

巨大な門をくぐった先には煌びやかで目が痛くなるほどの装飾と、格式の高い服を着た貴族が闊歩している。

…いや、格式の高い者以外も普通に歩いている。
それはみすぼらしくても、普通でも、少しおかしくても、全員が全員楽しそうにその館を闊歩する。



館…この表現が合わないほどの幾つもの国や山も覆えるほどに巨大な建造物。
巨大な門も、城が二つほどすっぽりと枠に入るほどに巨大なものだった。
そして館の中にあるもの全てがゲーム関連の物ばかりだった。


賭け事を主にし、カードゲームからボードゲーム、体験型のゲームまであった。
体験型のゲームが私、世界を渡るツヅリの元いた世界のテレビ番組の内容だったのもあり、この国数個分の館を建設した誰かが私と同じ異世界転生者なのも分かった。

私は同行者のミレーナと共にこの館で遊びつつも大切な想い人を探す。
その時得た情報で、この館が1700年前に建設されたものだと知った。


そして伝説を知った。



当主は女の形をした人形だが、人形は誰よりもゲームが強く未だに不敗。
挑んだ者たちの中には何故か勇者が多かったが、彼女に負けると罵詈雑言を吐いてこの館を後にする。
真剣勝負なのでその場面は誰も目にしていないが、どうやら女主人にキツイことを言われているようだった。
館を後にした勇者は当代の魔王を倒し、その勇者が消えると魔王が発生しそれを倒す勇者がまた現れてこの館に足を運び負ける。
それが1700年も続く循環している。

魔王の進行は一時期は人間界を侵食するほどだったが、カードの館と呼ばれるここには誰も攻め入ろうとはしなかった。

理由としては女主人が強すぎた。
彼女はゲームで勝敗を決める絶対主義者であり、もしそれ以外の方法で何かをするのならそれを徹底的に潰しにかかる。








一度、度々馬鹿そうな事を口にしていた魔王が

「ウケる〜wwwww人形がチート能力受け取った俺っちに勝てるわけないじゃんwwwww神の力なめんな木偶の坊wwwww」

と言いながらカードの館に大量の魔物を向かわせた。

ところが、その門前でたった3体の魔導人形に全員殺された。

それに怒った魔王は

「は?なんか勘違いしてね?今の本気なわけないじゃんwwwww必死乙wwwwwバーカwwwwwしゃーねーから俺が直々に行ってやるよw」

と幹部に告げると魔王軍を率いて攻め入った。


衝突によって生じたのは激戦などではなく、ただの虐殺だった。
数億の魔王軍が数千体の人形に蹂躙され、魔王は女主人の手によって直々に殺された。
最後は魔王も泣いて許しを乞うたそうだが、女主人はそれを無視し、強力な結界魔術を破壊してその四肢をバラバラにして殺した。






それ以来、誰一人も…隣国も誰もカードの館に攻めようとはしない。
それどころかカードの館に国を明け渡し、保護してもらう王族も出てきた。
事実、従業員として働く魔導人形は不正もしなければそれを見逃すこともない。
館内で非道な事件が起きれば魔導の推を集めた技術を持って犯人を捕まえ、厳罰をもって矯正させる。
魔王が攻めてきても、館には手を出せない。

兵士や警邏…勇者以上に完璧な存在だった。

そもそも勇者1人の仕事も魔導人形一体で行えるかもしれなかった。
それほどまでに強力な存在がただの従業員。
安心してこの館に住む者も増える。
人が増えれば技術も発展する。
すればするほどゲームは面白くなる。

良好な循環の中でこのカードの館は大きくなっていった。
全てを執り持つ女主人、人形姫によって。

「世界を渡る私のストーリー」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く