世界を渡る私のストーリー

鬼怒川 ますず

羽根の生えた騎士7

ツヅリと私の旅はそれから始まった。
想い人を探す為に、私は彼女を抱えて空を飛ぶ。

こうやって人を連れて飛ばすのは幼少の頃以来だったので、何とも言い難い懐かしさを感じた。
しかし、何度もやっていくうちに私も慣れていった。

私にはなんの苦もない。
私の力はツヅリに比べれば非力であるが、この世界で二番目に強いと思う。
何度も気軽に飛び 、何度も遠方へと連れていく。


私は遠くへと飛んだ。
遠くへと、遠くへと。


私の土地勘でもわからない場所にも行った。
広大な大陸へと移ったこともあった。
七つの海を渡ったこともあった。
天界にも足を向けた。


多くの出会いと別れ、私でも味わったことのない危険と冒険があった。
私の事を知っても顔色一つ変えず接してくれた人もいた。
もちろん、私の存在を忌み嫌う魔の存在もいた。
抗えない敵も出てきた。
ツヅリはそんな彼らを誰一人殺さずに倒してから、すぐに傷の手当てをしてから想い人とやらの情報を聞いて回った。
まだ忌み嫌ってる者も、拗ねて口を開かない者も、その姿をずっと見ていくうちに心を開き、彼女に断片的な情報を聞かせる。
彼女はこうして本当か嘘かも分からない情報通りに目的の地に足を運び、そして多くの苦難に見舞われる。



私は途方も無いこの度に途中苦しくなり、心が折れそうにもなった。
だが、横で気丈に振る舞う彼女を見て自分の弱い心に鞭打つ。
後ろを歩かずに、彼女の横を並んで歩く。
少しでも彼女が抱える強者の苦痛を知りたくて。
それに負けないように、私は頑張った。




それから2年で、私達は『世界』を全て廻った。

彼女がいうに、あと10年はかかった旅だったそうだ。私の翼のおかげで短縮できたと喜んでくれた。
その顔を見ながら、私は口元が緩む。


彼女の想い人がこの世界で見つからなかったという結果に絶望しながら。

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