世界を渡る私のストーリー
羽根の生えた騎士4
   唐突な願いに私は理解出来ず、ただ呆れたように口を開閉する。
「冗談じゃない、どうして私がお前なんかの翼に!…いたた…」
「良いじゃない、私が治せば恩ができるしさ」
「だからと言って良いわけない! 大体何故急にそんな話になる!?お前のようなヤツならこんな翼無くともどこにでも行けるはずだろ!」
   私が言うと、女は照れて頰を掻く。
  何なんだこいつは。
  私以上の存在のはずだろ。
     それがどうして、こんな私の翼を欲するんだ。
      理解が出来ない私に女は私の横に同じように寝転がり、私の方を見ずに上を向いた。
「私さ、この世界に来たのつい最近なの。だから道案内を兼ねてお願いしようかなって」
「…お前の今の言い方だと違う世界とやらから来たような言い方だな。私の父と同じ天界から来たのか?」
「違うよ、私はすべて異なって全部が違う世界、何億もの個々の世界を渡って来たの」
「…なんだと?」
 私は驚いて横で転がる女の横顔を見た。
 女は私が驚いているのも気にも留めず、相も変わらず多くの星が輝く夜空を眺める。
 その横顔は、星以外の何かを見つめていたようだった。
「あなたにとっては嘘みたいだけど、私はもう何億回もこんな体験してる。その世界の人を見つけて、話して、笑われたり馬鹿にされたり、慣れちゃうよこんなの。本当に馬鹿みたいな話だよね」
「…いいや、さっきの力を見せられてはそれも頷けてしまう。私を倒したのはお前が初めてだったからな。なるほど、他の世界の者だったのか」
「…貴方みたいに自分がこの世界で最強と思い込んでた人もいたから大丈夫よ、これは4万以上から数えてないわ」
「……」
 そう言われて、私の他にも自分が最強と思っていた思い上がりが大勢いたのかと思うのと同時に、そう言った者達と同列されて少し悔しかった。
 
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