世界を渡る私のストーリー
羽根の生えた騎士3
私が気を取り戻し起きたには既に日は落ち、すでに夜だった。
すぐに起き上がろうとして、腹部に激痛が走る。
痛くて声をあげて涙を流す。
痛い。
痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い。
本当に痛かった。
子供の頃転んだ時以上に痛かった。
「大丈夫?やりすぎちゃってごめんなさい」
その痛みに悶えていると聞こえたあの声。
これほどの痛みを与えた張本人。
目を開けて横を見る。
横たわった私にあの女が何故か心配そうな顔で介抱していた。
私はそれが憎くてすぐに剣を取ろうとするが、腰には剣はなく、鎧もない。
脱がされたようだ。
「ぐぅぅぅ…おのれ、この私に恥を…」
「いや、貴女が暴れようとしていたからでしょ。自分の力を急に振りかざせばいずれそうなるって分からなかったの?」
「しかしだな…」
「とにかく休んでなさい、貴女初めてなんでしょこの傷」
「…」
確かに初めてだった。
いや、それ以前に騎士団に入ってから怪我を負うのも初めてかもしれない。
あんなに戦火の渦中にいたのに。
そんな中でも傷がつかなかった私は素手で気絶させられた。
それが、何故かとても恥ずかしかった。
恥、初めてかいたかもしれない。
それが無性に悔しくて、女に背を向けてまた寝込む。
女は私の態度にため息をついて、焚き火に枯れ木を投げ入れる。
私はその焚き火の暖かさを受けながら、後ろの女び煮え切らない憎悪を抱いた。
私は絶対にこの女を殺す。
そう誓った。
「そうだ、もののついでだし頼んでみようかな」
独り言を言いだした女に私はなんだと思うが、その前に私が顔を向けている方に女が移動してきて私の顔を覗き込んだ。
端正できれいな顔と、結ってある黒髪に少し魅力を感じた。
微笑んだ女は私にある提案をかける。
「その痛み直してあげるから私の翼になってこの世界を案内してちょうだい」
「…は?」
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