世界を渡る私のストーリー

鬼怒川 ますず

幾億もの旅

私は光を求める。
多くの人が望む光を、私は手に入れたい。
また私はそう思って次の世界に進む。

その足に迷いはない。
幾千、幾億の人々と交わした他愛のない言葉が私に力をくれる。
大切で、大切で仕方がない彼を探す旅。
世界を渡る際の一歩に込めた想いは誰よりも大きい。

 異世界転生ーーと言ってもいいのか。

 この行いは、そも転生した世界から次の世界に渡るただの禁止行為(タブー)。
 本来ならあり得てはならない、神の気紛れが犯した仇なす者の逃避行。

 あの世界の私は、大切な彼と交わした夢を叶える為だけに世界を渡っている。

 多くの悲劇を見た。
 多くの惨劇を見過ごした。
 多くの狂気に身を震わせた。
 多くの人間の汚さに吐き気を催した。

 何よりも、彼の姿がどこにもなかった。


 なんども諦めた。
 何十年もその世界に滞在して諦めかけていた。
 大魔導やら剣聖などと呼ばれるまで一つの事を極めた。

 大切な彼を探すのも忘れるほど没頭していた。

 苦しくて、苦しくて仕方がない。
 救いがない永遠とも思える行為。
 その行為の中において一時の救いが諦めだった。

 でも、渡る世界には最低一つは救いがあった。

 その世界の愛の姿。
 純粋な姿の恋を見た。
 現実に押しつぶされ、それでも諦めずに非情な運命に逆らった二人を見た。
 様々な形で、悲劇以上の神秘を纏ったものをみた。

 その美しさを目撃し、その情景を背にし、私は次の世界へと続く道を開いて進む。
進む。
 止まらずに、ただ前だけを見据えて進む。

 

苦難が幾つもあろうが、それでも私は進む。


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