四獣神

狗井 ケモケモ

第9話 転移者たちの合同訓練

会議から6日がたち、目の前に各国の勇者、聖女、賢者、魔剣聖と智幸たちの20人がレインフォレストの獣神の間に集まっている。ガヤガヤうるさいとは思うものの、彼らとて勝手に召喚された子どもだ。...そう仕方ないとはいえこれはどうかと思う。

「おい!まだかよ獣神とやらは!」
「そうだよな!呼び出しといて自分たちが遅れるってどうかと思うぜ」
「まず第一我々を呼ぶならそれ相応のもてなしがあってもおかしくないと思うんだが」
「「「そうよ!そうよ!」」」
賢者たち本読んでスルー
他のやつは模擬戦中

(よし文句言った奴らしばいたろ)

そう思った朱雀の行動は早かった。まず念話で一足早く検定試験を始めると伝え、転移魔法でそれぞれの場所へ送り、自分も転移で会場へと移動する。



「よぉガキども、お待ちかねの獣神様だぞ?ありがたいと思って一変死んでみようか」

そう言うと同時に智幸たちに使った最初の魔法、火炎の箱フレアボックスを発動させる。智幸たちは見慣れてるおかげか危なげなく避けるが、勇者、聖女、賢者、魔剣聖は呑み込まれる。少ししたあとピシッという音とともに火炎の箱が割れ、消えた。

「何すんだよ!聖盾が間に合わなかったら死んでたぞ!」

そう言ってきた勇者に対して朱雀は胸ポケットに手を入れると風魔法で録音した声を聞かせる。その内容とは先ほどまで自分たちが言ってたことが聞こえてきた
それを聞いた勇者たちは震えていた

「で?俺ら獣神をなめたわけだけど、まだ文句でも勇者?」
「いえ何もありません!」
「おい!何で勇者が誰よりも先に心折れてるんだよ!」
「だったらお前が行けよ。あの方に面と向かって文句言えよ」
「いいだろうやってやんよ」

そう言って魔剣聖は此方に向かって歩きだし、突然ムーンサルトを繰り出し、着地したと同時に土下座をする。...そう、かの有名な【ムーンサルト土下座】である。

「生意気なこと言ってすいませんでした!」

そしてこれを見た勇者一行大好きクラブの奴らは思うだろう。
"どうしていきなり土下座をしたのかを"
例えるなら、野生の動物の危機感知能力が鋭いと言ったところか。それと同じで勇者と魔剣聖は先ほどの魔法で悟ったのだろう、こいつには勝てないと。

「よろしい、では改めて検定試験を開始とする。第一の試験としては今から俺がだす攻撃魔法をひたすら避けること、避ける方法は何でもいい。結界で防いでもいいし、相殺するのも1つの手だ。第二の試験は筆記試験だ。主に魔物の弱点や薬草などのものだ。第三の試験は俺のHPを8割まで減らせれたら試験終了だ。ちなみに智幸たちは一度受けた試験だからやらなくていいぞ。死なないように頑張って生きてね?」     パチンッ

朱雀が言い終わると同時に指を鳴らす。朱雀の背後に魔方陣が浮かび上がる。その様子を見た勇者たちは素早く行動する

"勇者たちは逃げ出した"
"しかし結界で逃げられなかった"
"朱雀は風衝撃ウィンドブラストを勇者と魔剣聖に10発放った"
"勇者と魔剣聖は走って逃げた"

「朱雀さん、これ明らかに私怨入ってるとおもうんだけど」
「気のせいだ、それとお喋りしてる暇があるならお前に追尾魔法をプレゼントしよう」
「止めてください即退場してしまいます」

追尾魔法を発動させようとしたら土下座されたので仕方なく地味魔法を発動する。効果がランダムなので発動するまでわからないが今回は無性に背中が痒くなる(ギリギリ手が届かないところ)のようだった

「なっ!?宗雪殿!土下座してる場合じゃないでござる!さっさと避けないとヤバイでござるよ」
「あぁ、そうなんだが無性に背中が痒くなったから掻いてくれない?」
「後でいくらでも掻くでござるから逃げるでござる」

...ついでに勇者にもかけよ

チョットマッテ、ムショウニセナカガカユクナッテキタ!
ダイジョウブカ!



第一、第二試験が終わり、朱雀は答案用紙の丸つけ中

「勇者たちは実戦をしてるから弱点とか全部あってるけど情報を収集しなさすぎだな。薬草とかの問題もステータスup系しかあってない。...薬草関係の知識を教えることが重要かもしれんな。それに比べて智幸たちは全部とまではいかないけど8割以上当たってるからさすがは本職といったところか、戦闘に関してはまだまだだからそこくらいか注意するのは」

そうやって評価をつけていると後ろから足音が聞こえてきた。朱雀は一旦丸つけを中止し、後ろをみる

「どうしたんだ白、みんなと遊んでるじゃなかったのか?」
「...」
「...はぁ、わざわざ白に化けなくても入っていいって言ったろレヴィア」

そう言うと白がドロッと溶けレヴィアになり

「貴方がそう言っても他の人が許さないでしょ」

と言ってきた。大丈夫だって伝えたんだけどな~。まぁ茶番はここまでにして

「で?何か俺に用があったんじゃないのか?お前の母については言わないぞ」
「はぁ、もうそれはいいわよ。母と貴方に何があったのかは、私が聞きたいのはなぜ貴方たち獣神が倒さないのかということよ」
「そりゃ俺たちが神だからだよ。俺らは基本傍観者だからな、生活に関わるってんならやるけど。まぁ、簡単にまとめると『強大な敵?力を貸してほしい?嫌だね。誰かに頼るんじゃなく自分たちで乗り越えろ!』というわけだ」
「それで今鍛えてるってわけね、そうなると復活まで近いのかしら?」
「そうだな~、大体20年後くらいかな復活するのは」
「そんなに近いん...今なんて言ったの?」
「20年後」
「全然遠いじゃないの!『氷河の嘆きフロストブラッシュ』」
「甘いなレヴィア!『業火の隻腕』」

氷と炎がせめぎあっているなか、レヴィアは追撃として氷龍爆激を朱雀がいるであろう場所に放つ。対象に当たった魔法によって辺り一面に煙が漂う。
しばらくして煙が晴れると朱雀はおらず、変わりに1枚の紙が置いてあった。

『スカッ!』
「...」

レヴィアは無言でその紙を細切れにし、ひどく疲れた様子で部屋からでる



「よぉ、テストの結果は合格だが知識に片寄りがあったから気をつけるように」

テスト用紙を返し、ちょっとした説明をしたあと、朱雀は手を鳴らし話を聞く姿勢にさせる。若干2名聞く気が無かったのでしっかりと(物理)聞く姿勢にさせ

「それでは最後の試験を開始とする。死ぬ気がかかってこい!」

その言葉がかかると同時にデバフと魔法が飛んでくるが、朱雀は右手を前にだし「ヌンッ!」と言い魔法を消す・・。魔法を消すと前後に勇者と魔剣聖が既におり、連携して傷をつけてくる。さすがに二人同時には無理だが、人間とばっか試合をしてるせいかやや格式張ってるから対処しやすい。魔法に関しても連激が途切れるときにしかこないため回避も削除もやりやすい。

「うーん、久しぶりに爆裂機関エクスカドラいっちゃいますか」

前回智幸たちに使った魔法ではあるが今回はそれに雷の精霊が追加されたことにより、【爆発+電磁加速+麻痺】の効果があり1つでもあたったら死ぬという鬼畜仕様に進化していた。
そして、それを見ていた智幸たちの心境はまだあれ強くなるの!?だった。
一方勇者たちは

「霞!盾の準備しといてくれ!」
「分かったわ、20秒かかるからその間任せるわよ」
「私もいるんだからね!『氷河の盾フロストシールド』」
「ナイッス志織!」

氷で盾を作り、弾幕を防いでくれたが5秒ほどでパリンッという音とともに割れる。その間に武具へのエンチャント、武技を発動させて勇者と魔剣聖は弾幕へと突っ込み弾を斬ったり、逸らしたりして盾の発動までの時間稼ごうとするが、現実はそう簡単にいくわけもなく

「「やっぱり無理!思考加速持ってないし、なにより弾幕が濃すぎる!」」
「頑張りなさいよ!それでも男か!」

そう言うと賢者...志織は二枚目の盾をだすが、今度は弾幕の前ではなく味方の前に造り出す

「盾張ったんだからささっと逝ってこい」
「「Sir,   Yes,   Sir!」」

二人は再び弾幕へと飛び込み、無我夢中で剣を振るった。そのおかげで10秒は防ぎきってくれたが、二人はぼろぼろになり霞より後方へと吹き飛ばされる。先ほど喋っていたのを合わせて18秒ほどだが、魔法完成までまだ足りない。しかし、思わぬ幸運が勇者たちに訪れる

「あっ、弾切れしちまった。...落ち込んでもしょうがないからこれいってみよう!」

堕天の鎖イットトールケィムチェーチディト

朱雀の頭上で空間が歪んだかと思うとそこから黒色に染まった鎖が12本顕れる。
鎖は3本ずつ彼らに向かって飛んでゆく。上から、下から、真ん中からジグザグに進んで行き、勇者たちへと襲いかかる。
勇者と魔剣聖は鎖を断ち切ろうと剣を振り下ろしたが鎖はひょいっと避け、逆に剣に絡み付き、ぽいっと朱雀の方へ投げ渡した。得物を盗られて呆けた顔をした二人だったが此方に向かってきてる鎖を見てすぐさま避け予備の剣をだす。そんな二人だったが後ろから鎖が迫って来ていることには気づいていなかったが

万象の守り手トゥエリートルカエリ

ギリギリ間に合った盾の魔法で鎖を弾く。
ガインッと耳障りな音を響かせながら鎖は消滅していく。

「おぉ!防御系の消滅イレイザーか、珍しい魔法を覚えてるな。まぁ、消滅させた分のMPは持ってかれるから戦力的には低くなるから序盤に使わない方が得策だぞ」

どうせ使うならMPがきれる寸前にやると効果的だ。ついでにMPも増加するから一石二鳥だ。

「そういや10分のハンデやるの忘れてたな。お詫びとして2分追加するから許してくれよ?」

勇者達からしたら何のことだ?と思ったが、朱雀が全身の力を抜いてダラーっとしているから攻撃をするチャンスだと思い、攻撃を仕掛ける。



勇者達の全力攻撃は結果的にいうと効いてはいた。そう効いてはいたが、6割は避けられてあたえれたダメージは90000ぐらいだった。最後の方に宗幸が使った混血殺傷と似たようなもので結構削れた。その勇者達の現状というと、MP切れで死にかけが二人とスタミナ切れで倒れている。結界だけは張ったようで攻撃はできない。
...いや一応あるけどこれ使うとあいつらの心がパリーンと割れてしまう。というか、試験の最中で休んじゃだめだろ。やっぱり使うか。

「結界殺しレベル5発動!」

朱雀がそう言うと、半球状の結界がひび割れ、壊れていく。結界の中にいた勇者たちはポカーンとしていたが、すぐに攻撃に対応するための準備を始める。しかし、そんな隙を逃すはずのない朱雀は火球を放ちながら血壊魔法ブラッドマジックを詠唱する。ギュペと音を鳴らしながら朱雀は詠うように詠唱する

我が望むは召喚なり 我が血肉を代償に  顕れたまえへ  異界の地にて  その姿を見せよ 召喚サモン 異界の使徒アリウム・セ・アポストロ

一筋の黒い雷が降り砂が舞い上がり、舞い上がった砂で辺りは覆われる。志織が追撃を恐れ、風魔法の風の衝撃ウィンドブラストで砂煙を追い払う。そして、砂煙を起こした魔物が姿を現す!

「...あの~、これ大丈夫ですか?主に見た目が」
「大丈夫だ問題ない」
「いやそのセリフもアウトな気がするんですけど」
「ただのメタルs「あ"あ"あ"ぁ"ぁ"ぁ"!」うるさッ!」
「それ以上言わないでください!」
「分かったから叫ぶな」

メタルなスライムが顕れたことによって勇者達から名前を言うなとものすごい目付きで朱雀を睨む。さすがに悪い気がしたのか朱雀はメタルなスライムに命令する

「俺に変身しろ『メタルなスライム』」

プルルンとスライムは震え、虚空から青い帽子を取り出し、もう一度震えると、徐々に朱雀に変身する。...しかし、色が銀色なので気持ち悪く見える。SAN値が減ったのか聖女は若干足を引いた。しかし、そんなことなど気にしないスライムは勇者達に巨大な火の玉を発射する。ついでに火柱で逃げ道を塞ぐのも怠らずにキラキラと輝やいているなにかも発射する。

○○●○●○○●○●○○●○●○○●○●

~メタルなスライム~

HP100
MP5000

スキル
硬化  分裂  吸収  巨大化  変身
魔法
メ○  メ○ミ  メ○ゾーマ  メ○ガイアー  ビ○グバン  マダ○テ  メガ○テ
加護
メタル族の怨み  自爆強化
装備
真不思議な帽子+99

●○●●○●○●●○●○●●○●○●●○

賢者がとっさに魔力障壁マナシールドを張り、火の玉は防ぐがパリンッと魔力障壁は割れる。火の玉が消えたあと、すぐさまキラキラと輝やいているなにかが突撃してくるがSAN値がやや回復した聖女の聖盾により無効化される。しかし、音だけは無効化できなかったのかグルワーンと銅鑼の音を大音量で響かせる。
勇者達が耳をおさえてこらえていると、勇者の肩をトントンと誰かが叩く。何かと思い、耳をおさえながら見ると銀色の朱雀が淡藤色の光を放ちながら言う

「ピキーー!(マダン○!)」

直後、銀色の朱雀を中心に魔力爆発がおき、再度辺りは砂煙に覆われる。
さすがに死んだんじゃね?大丈夫?と言いたげな目で朱雀を見る宗雪達を朱雀はスルーして更に追い討ちをかけようとスライムにメガン○を命令した朱雀の背後から・・・・跳び蹴りをする勇者と魔剣聖により

「「チェストーー!」」
「えっ!ちょまっ!」
「ピキーー!(メ○ンテ!)」

スライムのところまで蹴飛ばされ○ガンテをくらう。そして、もはやおなじみとなった砂煙が辺りを覆う。
しばらくして、砂煙がはれると大の字になって倒れている朱雀が勇者達に向かって言う

「試験は合格だ、おめでとうといきたいが、お前ら俺が立てるようになったら覚えてろよ?」

と死刑宣告にも似た言葉を言う。しかし、先ほども言ったが、大の字になって倒れているので非常に格好がつかない。宗雪達は笑わないように口をおさえプイッと顔を横に向けるが肩が震えてるので笑っているのが傍から見て丸わかりだということに気づかない。
一方、勇者達はというと、声を大にして高らかに笑っていた。賢者の志織など

「ねぇねぇ今どんな気持ち?確実に倒れた相手からの不意討ちで死にかけるのってどんな気持ち?」
「「NDK!  NDK!」」

完璧なる煽りフラッピングパーフェクションを発動させた勇者、魔剣聖、賢者の三人は後にこう語る

『『『あの時、煽らなければ特大唐揚げスペシャルが2個食えたのに』』』



転移の魔法を発動させ、最初に集まった獣神の間に移動する。
転移のときにおきる光がおさまると、すでに終わっていた白虎組、玄武組、青龍組が皿やグラス、ワイン等を運んでいる途中だった。転移してきた朱雀に気づいた白虎が

「お疲れ様です朱雀さん。はいタオルです」
「おー、ありがとうな」
「珍しいですね、僕たちよりも試験が遅れるって」
「いや~、ミスってHP4割以下までなったから回復してた。「大丈夫でs」大丈夫だからさっさと席に座れ飯作るから」
「Yes,Sir!」

シュバッ!という音を残し、席に座る白虎。後ろの従者にヤレヤレダゼという風に首を振られているとも知らずに。

「じゃあ作りますか」
「早めにお願いします」
「貴女の尻尾で後ろに衝撃波が起きてるから大人しくしましょうね白虎?」
「...はい」

青龍に窘められて、ショボーンとする白虎を見て玄武がカッカッカッ!と楽しそうに笑う。

宗雪達や勇者達は自分の試験はこうだったとか、ここがキツかったなど話に華を咲かせる。しかし、彼らの表情は始終笑顔だった。

余談だが、聖女と賢者の一部と響、モノリンが朱雀の作る料理を横から勉強していた。

30分後、朱雀の作ったご飯やおかずをお腹を空かした猛獣達が猛烈な勢いで食べていき、朱雀は

『やべぇよ、原因俺だけど、どれだけ作っても数が足りないってなに?!俺はいつになったら食べられるんだ!』

台所で1人嘆いていた。



最近、FGOにはまった狗井 ケモケモです。
いやぁ、始めたばかりなのにフレンドになってくれる人がいるんだなと、人の優しさを目の当たりにしました。名前はクレアでやっています。見かけたら『あっ、狗井 ケモケモだ』とでも思ってください。
さてと、FGOの話はここまでにして、次回予告(番外編)にいきましょう。
朱雀と暮らすことになったアイラは家事の手伝いをしながら冒険者登録をし、職業を決めるべく、転職の魔導書通称『テングリ』を使う。しかし、表れた職業は誰も知らない職業だった!
次回《蒼の魔導師始動!》
また次回にお会いしましょう。それではバイバイ
追記、次回が番外編ですみません。

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