黒衣の虹姫
Ep27
「それじゃあ、いきますよ」
  そう言って魔力を集めるティア。
「まずは手始めに……『氷剣』 」
  空中に二本の氷の剣を生成し、生成された二本はまるで意思を持っているかのようにイズナに何度も斬りかかる。
  ……が、イズナはそれを最小限の動きだけでかわす。
「ほれほれ、そんな攻撃では当たらんぞ」
「だったら……『バーニングインパクト』 」
『氷剣』を消し、一メートル程の大きさの火球を放つ。
「火か、ならば──『天烈掌』」
「なっ!」
  ティアが放った火球はイズナの掌底で霧散させられてしまい、掌底一回で防がれるとは思っていなかったティアは思わず声を上げた。
「ふむ、威力、込められている魔力共に中々高い。現状の実力はSランク辺りと同等と言ったところじゃな」
(魔法を放つだけじゃダメージは入らない。なら、接近戦で)
「『纏化:紫電』」
 雷で身体能力を強化して、一気に接近し、剣を振るう。
(これでも当たらない。それなら──)
  一度『紫電』を解除し、普通の身体強化に切り換えてイズナから離れる。
「『轟雷旋風』 」
「む、複属性魔法か」
  雷魔法と風魔法を合わせた稲妻を伴う竜巻を起こす。イズナは避けきれずにその場で防御する。
  その間もティアは攻撃の手を緩めない。
「『ダークウィップ』」
  竜巻の中にいるイズナに向けて闇の鞭を叩き付ける。
  ……が、闇の鞭が叩いたのはイズナではなく地面だった。
(いない いつの間に。一体どこに──)
「後ろじゃよ」
「なっ!「遅いぞ」がっ」
  振り向いたときにはもう遅く、防御出来ずにティアの腹に膝蹴りが入り、数メートル吹き飛んだ。
「竜巻に呑まれてたはず。どうやって脱出を……」
「簡単じゃよ。最初だけ防いで竜巻で見えずらくなったら『縮地』でお主の死角に移動しただけじゃが……簡単に騙されたのう」
「初めての対人戦がSSSランクだった人なんているんですか」
「儂の知る限りお主が初めてじゃな、良かったのう」
「全然良くない 『大海の大渦』」
「こっちもいくぞい、『魔壊拳』」
  先程と同じ様に広範囲の魔法でダメージを与えようとしたが、イズナの拳が大渦に触れた瞬間、形成していた魔力が消滅し、ただの水となった。
「嘘……」
「どうした?この程度では無いじゃろう」
  どうやら出し惜しみは出来ないみたいだ。
「なら、今の最大の技でいきます 」
「ほう、まだあったか。よろしい、全力で来るがいい」
  そう言って魔力を集めるティア。
「まずは手始めに……『氷剣』 」
  空中に二本の氷の剣を生成し、生成された二本はまるで意思を持っているかのようにイズナに何度も斬りかかる。
  ……が、イズナはそれを最小限の動きだけでかわす。
「ほれほれ、そんな攻撃では当たらんぞ」
「だったら……『バーニングインパクト』 」
『氷剣』を消し、一メートル程の大きさの火球を放つ。
「火か、ならば──『天烈掌』」
「なっ!」
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「ふむ、威力、込められている魔力共に中々高い。現状の実力はSランク辺りと同等と言ったところじゃな」
(魔法を放つだけじゃダメージは入らない。なら、接近戦で)
「『纏化:紫電』」
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(これでも当たらない。それなら──)
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「『轟雷旋風』 」
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  その間もティアは攻撃の手を緩めない。
「『ダークウィップ』」
  竜巻の中にいるイズナに向けて闇の鞭を叩き付ける。
  ……が、闇の鞭が叩いたのはイズナではなく地面だった。
(いない いつの間に。一体どこに──)
「後ろじゃよ」
「なっ!「遅いぞ」がっ」
  振り向いたときにはもう遅く、防御出来ずにティアの腹に膝蹴りが入り、数メートル吹き飛んだ。
「竜巻に呑まれてたはず。どうやって脱出を……」
「簡単じゃよ。最初だけ防いで竜巻で見えずらくなったら『縮地』でお主の死角に移動しただけじゃが……簡単に騙されたのう」
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「嘘……」
「どうした?この程度では無いじゃろう」
  どうやら出し惜しみは出来ないみたいだ。
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