黒衣の虹姫

陸奥ユウト

Ep10

  アールス王国王都アトモス。そこは王国の中心にある。レヴィアント帝国の王都と並ぶ人族2大都市の1つであり、世界で最も多くの種族が集まる。様々な店や屋台があり、もちろん冒険者ギルドもある。

  そして、ティアが王都で最初に訪れたのは冒険者ギルド………ではなく鍛冶屋だった。

「らっしゃい、お嬢ちゃん」

  鍛冶屋の店主は背が低く、丈夫な体つきが特徴の『ドワーフ』だった。

「すみません、ここに軽鎧ってありますか?」

「軽鎧か?安いやつからだと2000リル、3000リル5000リルつったところだな」

「3000リルのはどれですか?」

「あそこの手前にあるのだ。新米冒険者用だから性能はそれほどよくないがな、……試着するか?」

「いいんですか?」

「ああ」

軽鎧を装備してみる。特にきつい所はなく、サイズも丁度だった。

「どうだい?」

「サイズはピッタリ、動きづらくもないですね。……これ、買います」

「あいよっ、3000リルだ。軽鎧を買うってことはお嬢ちゃんは冒険者か」

「ええ、今日王都に来たのでこの後登録に行くんです。あっ、銀貨3枚です」

「なるほどな、っと、丁度だな。俺はガストンだ、これからもここを利用してくれると嬉しいな」

「ティアレスです。ではまた利用させてもらいますね」

「おう」










「ここが冒険者ギルドか……」

軽鎧を買った後、道を聞いたりして冒険者ギルドにたどり着いた。他の建物と比べると大きく、頑丈に作られていることがよく分かる建物だった。

「んじゃ、入りますか」

中に入れるとそこには椅子に座って話してる者、依頼を探している者がいた。

(人族だけじゃなくて獣人族とかも結構いるんだね)

  そう思いながら受付カウンターに向かって歩いた。

「こんにちは、新規登録の方ですか?」

茶色のポニーテールの20歳ほどの受付嬢が尋ねてくる。

「はい、登録をお願いします」

「ではこの書類に記入をお願いします。500リルで代筆できますがどうしますか?」

「自分で記入します。

                      ……出来ました」

「はい、ではこれが貴方のギルドカードです。紛失しますと再発行に10000リルが必要となるので注意して下さいね。何か質問はありますか?」

「それじゃあ、ギルドのことについて説明をお願いします」

「分かりました。まずギルドとは……」


ギルドのことについて要約するとこんな感じだ。

・冒険者ランクがあり、F,E,D~S,SS,SSSとなっていて、SSSランクが最高である。また、SSSランクの人物は現在、世界に3人しかいない。

・ランクは基本的に依頼をこなしていくことで上がっていくが、Cランクからは昇格試験を受けて、合格する必要がある。

・ギルドカードがあると、世界各地に存在する迷宮ダンジョンに挑戦することができる。しかし、強力なダンジョンはランク制限を行っている場所もある。

・各国の関所で、身分証として使える。


……と言ったところだ。

「……とまあ、こんな感じです」

「分かりました、ありがとうございます。あと、オススメの宿屋ってありますか?」

「それでしたら『不死鳥の止まり木』という所がオススメです。ギルドの左側の大通りの2つ目を右に行くとありますよ」

「分かりました、ありがとうございます」

そう言ってギルドを後にしようとすると

「おいおい、ここはお前みたいなガキの来るところじゃないぜ」

……何故か筋肉マッチョのオッサンにからまれた。

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