召喚してきた魔術王とか吸収してドッペルゲンガーやってます
21.ドッペルゲンガーは掻い潜る
避ける、弾く、たまに吸収する……そんな動作を繰り返して、既に小一時間ほどは経過しただろうか。
呆れを通り越して感嘆してしまう量のトラップ(術者の好みなのだろうか、その大半が地雷系と射撃系であった)を全て退けながら進むドッペルゲンガーの顔には、少々の疲労が見て取れた。
森を切り裂きひたすら一直線に続くその道は、堅牢な城壁が生易しく思える程に来る者を拒絶する。
進めば罠、退いても罠、道を外れようとしても罠……ついでに言うと、既に森が深くなり過ぎて道を外れることも出来なくなっている。
この谷の木々の密度は異常だ。
その外縁部ですら日が射さぬ程深い森であったが、中央に近付いた今ではほとんど木の間に隙間がない。
更におかしいのは、その植生にも異常が出ている点だ。
見覚えのない種類の木が増えている。そして、季節を無視するかのように花を咲かせ、果実を実らせたものが多いのだ。
その果実のひとつに、魔人の中の愚王は見覚えがあった。
昔南方の異国より献上された種を苦労して特注の温室で育て上げ、ようやく実ったと一度だけ晩餐に出たのだ。
なんだか甘ったるい香りとねっとりとした食感が不快で、結局一口しか食べなかったが……栄養が豊富であるのなら焼き菓子にでもせよ、と言った……ような。
何故か、どうにも食べ物に関する記憶が薄い。というか、王は食事というものに興味がなかった。
ならばと他の二人の記憶も参照してみるものの、騎士の記憶は要約すると「量があって小石が混じってなければ何でも良い」という感じであり、詐欺師に至っては「毒耐性のスキル取得に向けた強化メニュー」で占められていたため、何の参考にもならなかった。
まぁ、ドッペルゲンガーは食事を必要としないため……それは非常にどうでも良い情報であったが。
とにかく、この森の木は気候と季節を無視しありえない密度で繁っているのだ。
故に道以外は進むことが出来ず……それにおそらく、木の上も駄目だろうとドッペルゲンガーは感じていた。
……おそらくずっと、見られている。
《気配察知》にも反応のない無数の視線……それがずっと絡み付いている。
スキルを身につける程に周囲の状況に敏感なアシエの感性と、常に敵陣中央に身を置く暮らしを送っていたモリオンの経験……それが合わさって、まるで高度な演算のようにその確信を得ていたのだ。
そもそも、これだけの罠に見舞われるだけの状況がおかしい。
村の連中は「数年前までは何度か物資を届けていた」と言っていた。当然、この道を歩いて赴いただろう。
もしその時罠が発動していれば村人が生きて帰れるはずもないし、それにこの数の罠はほんの数年で用意出来るとは思えない。
それに、この数を老人一人でメンテナンス出来るはずもない。……つまり、この罠を管理する者が他にいるはず……そう、考えた。
そして、その者は必ずこの状況を陰から見ているであろうとも。
ふと、暗く見通しの利かない道の向こうから、小さな硬い足音が聞こえた。
しかし《気配察知》にはなんの反応もない。足音が聞こえる距離であれば、確実にスキルの有効範囲のはずであるのに、だ。
木靴を鳴らすようなその足音は徐々に近付き……そしてほどなく、ソレはドッペルゲンガーの目の前へと現れた。
あけましておめでとうございます。叶うことならクリスマスや新年っぽい番外編を書きたかった作者です。
しかし圧倒的な時間不足と、何より今の段階で使えるネタがなかったという。
もう少し……あと少し話が進めば、あるいは何とかなったのかも知れませんが。
登場人物欲しいです。出来れば女の子がいいです。何故この先のプロットには爺さんがいるのか意味が分かりません。
一日も早くはっちゃけた展開が書けるよう、愚直に筆を進めて参りますので……よろしくお願いします。
呆れを通り越して感嘆してしまう量のトラップ(術者の好みなのだろうか、その大半が地雷系と射撃系であった)を全て退けながら進むドッペルゲンガーの顔には、少々の疲労が見て取れた。
森を切り裂きひたすら一直線に続くその道は、堅牢な城壁が生易しく思える程に来る者を拒絶する。
進めば罠、退いても罠、道を外れようとしても罠……ついでに言うと、既に森が深くなり過ぎて道を外れることも出来なくなっている。
この谷の木々の密度は異常だ。
その外縁部ですら日が射さぬ程深い森であったが、中央に近付いた今ではほとんど木の間に隙間がない。
更におかしいのは、その植生にも異常が出ている点だ。
見覚えのない種類の木が増えている。そして、季節を無視するかのように花を咲かせ、果実を実らせたものが多いのだ。
その果実のひとつに、魔人の中の愚王は見覚えがあった。
昔南方の異国より献上された種を苦労して特注の温室で育て上げ、ようやく実ったと一度だけ晩餐に出たのだ。
なんだか甘ったるい香りとねっとりとした食感が不快で、結局一口しか食べなかったが……栄養が豊富であるのなら焼き菓子にでもせよ、と言った……ような。
何故か、どうにも食べ物に関する記憶が薄い。というか、王は食事というものに興味がなかった。
ならばと他の二人の記憶も参照してみるものの、騎士の記憶は要約すると「量があって小石が混じってなければ何でも良い」という感じであり、詐欺師に至っては「毒耐性のスキル取得に向けた強化メニュー」で占められていたため、何の参考にもならなかった。
まぁ、ドッペルゲンガーは食事を必要としないため……それは非常にどうでも良い情報であったが。
とにかく、この森の木は気候と季節を無視しありえない密度で繁っているのだ。
故に道以外は進むことが出来ず……それにおそらく、木の上も駄目だろうとドッペルゲンガーは感じていた。
……おそらくずっと、見られている。
《気配察知》にも反応のない無数の視線……それがずっと絡み付いている。
スキルを身につける程に周囲の状況に敏感なアシエの感性と、常に敵陣中央に身を置く暮らしを送っていたモリオンの経験……それが合わさって、まるで高度な演算のようにその確信を得ていたのだ。
そもそも、これだけの罠に見舞われるだけの状況がおかしい。
村の連中は「数年前までは何度か物資を届けていた」と言っていた。当然、この道を歩いて赴いただろう。
もしその時罠が発動していれば村人が生きて帰れるはずもないし、それにこの数の罠はほんの数年で用意出来るとは思えない。
それに、この数を老人一人でメンテナンス出来るはずもない。……つまり、この罠を管理する者が他にいるはず……そう、考えた。
そして、その者は必ずこの状況を陰から見ているであろうとも。
ふと、暗く見通しの利かない道の向こうから、小さな硬い足音が聞こえた。
しかし《気配察知》にはなんの反応もない。足音が聞こえる距離であれば、確実にスキルの有効範囲のはずであるのに、だ。
木靴を鳴らすようなその足音は徐々に近付き……そしてほどなく、ソレはドッペルゲンガーの目の前へと現れた。
あけましておめでとうございます。叶うことならクリスマスや新年っぽい番外編を書きたかった作者です。
しかし圧倒的な時間不足と、何より今の段階で使えるネタがなかったという。
もう少し……あと少し話が進めば、あるいは何とかなったのかも知れませんが。
登場人物欲しいです。出来れば女の子がいいです。何故この先のプロットには爺さんがいるのか意味が分かりません。
一日も早くはっちゃけた展開が書けるよう、愚直に筆を進めて参りますので……よろしくお願いします。
「ファンタジー」の人気作品
書籍化作品
-
-
52
-
-
3
-
-
337
-
-
4
-
-
124
-
-
55
-
-
768
-
-
2
-
-
159
コメント