クロス・アート・ファンタジア
01.邂逅
まだ夜も明けていない早朝。
砂浜に一人、少年が立っていた。
「さて、今日もやりますか。毎日恒例早朝特訓!」
ーーさて、みんな、俺の名前は関口朔也。毎日早朝に修行してる優等生だ!
というのは嘘であり(優等生の部分が)、緑山の島ファイター養成施設・通称アカデミーに通う生徒の一人である朔也は落ちこぼれだった。
ファイターの基礎とも言える魔力操術を全く身に付けられず必死に特訓しているのだが未だ身に付けられそうな兆しがない。
ーー佐々木の野郎、一話から辛口過ぎやしない!?
やはり有りのまま事実を伝えるのが作者の役目ではないだろうか。そう思う日々である。
夜も更けてくる。
朔也は肩で息をしながら砂浜に横たわっていた。
「後……腹筋百回、背筋二百回、スクワット百回……」
朔也はそう言い残し果てる。
ーーあぁ、アカデミー行かねぇと……
「ふあぁぁ~」
大きなあくびを一つ。
楽しそうに雑談を交わす同級生を後目に朔也は校舎へと歩いていった。
女子が一人駆けてきた。
ショートカットのその娘はおもいっきり朔也の背中を叩いた。
「おはよう、朔也!何湿気た面してんの?」
その衝撃で朔也は前に倒れる。
「え……?」
少女の顔が青ざめた。
「瞳~、朝から暴力しないで」
朔也がそう言って悪態をつく。
「朔也が軟弱なのがいけないのよ、全く」
あの後、朔也を倒した張本人である瞳が肩を借して朔也を教室まで運んだ。
「で、早朝特訓の成果は出てるの?」
「出てたらこんな顔しとらん」
「……だよね」
朔也の机の前に少年がやって来た。
「朔也、お前やる気あるのか?」
少年が低い声でそう詰め寄る。
「光、俺だって好きでこんなことやってるんじゃないぞ。本当なら俺は今ごろーー」
「やる気がないなら辞めてもいい。というか辞めろ。いい加減目障りだ。弱いやつなんかいらない」
光はそう言い残し去っていった。
「キー!何なんだ!あいつ!?」
朔也は怒りで狂ってしまったようだ。
「まあ、まあ。でもあんなに酷いこと言わなくても……」
朔也は横目で教科書に目を通している光を見る。
ーーまぁ、仕方ないと言えば……仕方ないんだが……
拳を強く握りしめた。
ーー俺だって……こんな所で足踏みしてる場合じゃねぇのはわかってるんだ……
翌朝、朔也は墓地に寄っていた。
朔也は三人の墓の前で止まる。
「また、光に怒られてしまった。ダメだなぁ、俺は」
拳を強く握る。
「やっぱ俺はファイターにむいてないのかもな……。ごめんな……俺がこんなこと……言っちゃいけないのに……」
涙が頬をつたう。
「でも……俺諦めねぇよ。お前が救ってくれた命……だからな。諦めねぇ……諦めないからさ……」
ーーどうしていいか……わからないんだ……
嗚咽が混じり始めた。
胸を押さえて両膝を地面につく。
「俺……諦めねぇから……絶対。待っててくれ……」
「よく……言った」
誰かが朔也に声をかけた。
思わず朔也は顔をあげた。
「救われた命……なんだろ?」
風に揺らめく銀髪。
透き通るような青い瞳。
眼鏡をかけた青年がそう語りかけた。
「諦めない……そうなんだろ?」
朔也はゆっくりと頷いた。
青年は優しく微笑みかける。
「君はどうしたい?関口朔也くん」
涙を拭う。そしてこう言い放った。
「なるんだよ、あいつらに胸をはれるファイターに!」
-ここからが彼の物語の本番だ-
砂浜に一人、少年が立っていた。
「さて、今日もやりますか。毎日恒例早朝特訓!」
ーーさて、みんな、俺の名前は関口朔也。毎日早朝に修行してる優等生だ!
というのは嘘であり(優等生の部分が)、緑山の島ファイター養成施設・通称アカデミーに通う生徒の一人である朔也は落ちこぼれだった。
ファイターの基礎とも言える魔力操術を全く身に付けられず必死に特訓しているのだが未だ身に付けられそうな兆しがない。
ーー佐々木の野郎、一話から辛口過ぎやしない!?
やはり有りのまま事実を伝えるのが作者の役目ではないだろうか。そう思う日々である。
夜も更けてくる。
朔也は肩で息をしながら砂浜に横たわっていた。
「後……腹筋百回、背筋二百回、スクワット百回……」
朔也はそう言い残し果てる。
ーーあぁ、アカデミー行かねぇと……
「ふあぁぁ~」
大きなあくびを一つ。
楽しそうに雑談を交わす同級生を後目に朔也は校舎へと歩いていった。
女子が一人駆けてきた。
ショートカットのその娘はおもいっきり朔也の背中を叩いた。
「おはよう、朔也!何湿気た面してんの?」
その衝撃で朔也は前に倒れる。
「え……?」
少女の顔が青ざめた。
「瞳~、朝から暴力しないで」
朔也がそう言って悪態をつく。
「朔也が軟弱なのがいけないのよ、全く」
あの後、朔也を倒した張本人である瞳が肩を借して朔也を教室まで運んだ。
「で、早朝特訓の成果は出てるの?」
「出てたらこんな顔しとらん」
「……だよね」
朔也の机の前に少年がやって来た。
「朔也、お前やる気あるのか?」
少年が低い声でそう詰め寄る。
「光、俺だって好きでこんなことやってるんじゃないぞ。本当なら俺は今ごろーー」
「やる気がないなら辞めてもいい。というか辞めろ。いい加減目障りだ。弱いやつなんかいらない」
光はそう言い残し去っていった。
「キー!何なんだ!あいつ!?」
朔也は怒りで狂ってしまったようだ。
「まあ、まあ。でもあんなに酷いこと言わなくても……」
朔也は横目で教科書に目を通している光を見る。
ーーまぁ、仕方ないと言えば……仕方ないんだが……
拳を強く握りしめた。
ーー俺だって……こんな所で足踏みしてる場合じゃねぇのはわかってるんだ……
翌朝、朔也は墓地に寄っていた。
朔也は三人の墓の前で止まる。
「また、光に怒られてしまった。ダメだなぁ、俺は」
拳を強く握る。
「やっぱ俺はファイターにむいてないのかもな……。ごめんな……俺がこんなこと……言っちゃいけないのに……」
涙が頬をつたう。
「でも……俺諦めねぇよ。お前が救ってくれた命……だからな。諦めねぇ……諦めないからさ……」
ーーどうしていいか……わからないんだ……
嗚咽が混じり始めた。
胸を押さえて両膝を地面につく。
「俺……諦めねぇから……絶対。待っててくれ……」
「よく……言った」
誰かが朔也に声をかけた。
思わず朔也は顔をあげた。
「救われた命……なんだろ?」
風に揺らめく銀髪。
透き通るような青い瞳。
眼鏡をかけた青年がそう語りかけた。
「諦めない……そうなんだろ?」
朔也はゆっくりと頷いた。
青年は優しく微笑みかける。
「君はどうしたい?関口朔也くん」
涙を拭う。そしてこう言い放った。
「なるんだよ、あいつらに胸をはれるファイターに!」
-ここからが彼の物語の本番だ-
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