星の降る街

ゆるむら

-022- 2996年11月3日 PM 22:12


長らくお待たせいたしました。
クリスマスの装飾デザインやら年末年始のデザインやらでこの時期は中々時間も取れないのに、さらに某モンスター狩りゲーや実況とるために動画編集の練習したり色々時間が取れませんでした...がしかし!
こまめに読み直して何とか読める程度には修正したのであげさせて頂きます。

年末年始には書き溜めてるぶんを多めに放出したいなと、考えてます。
そして友達からの評価も中々高かい新作も上げますのでよろしければそちらもよろしくお願いします。

それでは22話をよろしくお願いします。








-安全生活圏外-
廃墟










「やぁ!初めまして、僕はゲウィネンブルク所属のカインよろしく。」

「あ、初めまして、マコトの交際相手の東城静樹と申します。態々ゲウィネンブルクからいらしたんですか?」

シズキは余所行きの言葉遣いでカインに自己紹介した、
ゲウィネンブルクと言えば先日、アンジュの家を襲った黒尽くめの男達の出身国だった筈だ。
今回の騒動の発端とも言える国から態々来るとは普通なら警戒する所だが、マコトの友人ともなれば話は別、頭ではわかっているのだが警戒は一段階下げる。

その瞬間相手は一瞬で踏み込み、瞬きををした時には既に目の前にいた。

「なっ!?」

警戒を少しだけ解いてしまったのもあり、不意打ちに対して反応できずに手を掴まれる。

「うん、普通よりは早いぐらいの反応だね。」

「おい、あんまりシズキをからかうなよ。」

気付いた時にはマコトはカインの股間に足を当てていた。

「ははは!この鎧を着て来て正解だったよ!失礼シズキさん、キリアのお気に入りってのがどんな人か見てみたくてね!」

「……え?」

カインはシズキに跪き、捕まえたままのその手の甲に口付けをした。

「改めまして、カイン・ヨランと申します。以後お見知り置きを。」

「は…はぁ…。」

輝く笑顔でこちらの目を見つめて来るカインだが、シズキ的には先ほどの行動からして胡散臭さしか感じない。
そして無意識に手の甲を服で拭った。

「さて、忘れ物は無いかい?パイロットが腹を空かせてるから早めに仕事を終わらせたいんだけど。」

「パイロットには申し訳ないな…。追っ手が居たが、まぁ大丈夫だろ。行こうシズキ。」
「うん、あっ!ちょっと待って。」

シズキはバイクに付いたボタンを何やら操作した。

「起きて、ゆーちゃん。」

『………きどう!おはよう!』

バイクから可愛らしい音声が鳴り響く。

「…最近見ないと思ってたけど、それに移植されてたのか…。」
「うん、修理費が結構かかるから本体は治せなかったんだよねぇ〜…、あれ?マコトに見せた事あったっけ?」
「えっ?あぁ、うん。……一応。」
「そっか。」

最後の方はほぼ聞き取れなかったが大したことでは無いので作業を進める。

「戻って来る時ってまたここに来る?」

「あ〜状況次第だけど、俺たちは領内に気軽には入れないからね。多分ここになると思うよ。」

「そう。」

「……なぁ、マコト。怒らせちゃったかな?」

「そう思うなら謝ったらどうだ?」

シズキ的には普通に返事をしたつもりだったのだが、カインには機嫌が悪いと受け取られたようだ。

「……やめとくよ。」

「そうか。」

「………シズキちゃんは君に似たのかもな。」

マコト的にも普通に返事をしたつもりだった。



「ゆーちゃん、近辺の物陰で省エネ待機。呼んだら起動してここに来て。」

『りょーかい!』

ゆーちゃんを搭載したシズキの愛車はひとりでに走り出して闇へと消えて行く。

「不思議な絵面だなぁ…。」

「お待たせ!」
「うん、じゃ行こっか。」

シズキとマコトはバイクを眺めているカインを置いて先にヘリに乗り込む、
カインもそれに気づくと慌ててヘリに飛び乗って来たのだが、ヘリが若干沈んだ。

やはり見た目通りかなりの重さらしい。
これにはヘリのパイロットも声を上げた。

「おいカイン!ヘリには飛び乗るなっていっつも行ってんだろ!!」

「ははは!まぁ細かい事はいいじゃ無いか!」

「こいつが壊れたらお前がこのヘリごと運んで帰るんだぞ!!」

「まぁまぁまぁ!取り敢えず早く帰って飯でも食おう!」

「ったく…。」

パイロットがカインとの口喧嘩をやめるとエンジンを起動してプロペラを回転させ始めた。
それと同時にカインが指で2人にヘッドセットの場所を指差して、シズキとマコトもカインと同じようにヘッドセットを着けた。

『それでマコト君〜、愛しのシズキちゃんにはどこまで話したのかなぁ〜?』

カインはニヤニヤと腹立たしい顔でマコトの隣へと座りながら話を振った。

『昔の事の施設の事をちょっと、それと今追って来てるやつもその時の残党かもって所までだな。』

『ん〜?一目惚れの話はしてないのかい?』

『……それはまだ。』

『何ですかそれ?私も聞きたいです!』

『だってさ!』

カインはマコトは腕を組んでうんうんと唸りだしてしまう。
ちょうどその頃ヘリのプロペラも回転数が上がり離陸し始めた。

だが上昇の途中で大きな揺れが生じて上昇が止まる。

『ちょっとおっちゃん!流石にこんな所でぶつけるのは無いよ!?』

『うるせぇ!ぶつけちゃいねぇよ!下から何かに引っ張られてんだよ!』

『下から?』

カインとパイロットの言い合いを聞いてシズキが窓から下を見下ろすと黒尽くめの男達がワイヤーをヘリの足に絡めて引っ張っていた。

『ありゃ…マコト、つけられてるじゃん。』

『流石に居ないと思ったんだけどな…。』

『私があいつらを仕留めます!』

シズキが自分のハンドガンを手に取り立ち上がると、カインがヘリの奥からアサルトライフルを取り出して来てそれを渡された。
シズキは大体の武器は使えるが、その中でもアサルトライフルは一番苦手だったため、若干渋い顔をしつつもそれを受け取った。

マガジンの中身を確認してコッキングレバーを引き、チェンバーに弾薬を込めて狙いを定める。
ヘリは不規則に動いているが、バイクの上からでもこの距離なら外さないのだから余裕だ。
パイロットも気を利かせて男達を狙い撃てるよう機体を横に向けてくれた。

タタタンッ!タタタンッ!タタタンッ!タタタンッ!

三点バーストでしっかりと狙いをつけて行く。
シズキは、自分が引き金を引いた回数よりも多く、勝手に弾丸を連射するフルオートシステムが苦手で、同様の理由でサブマシンガンもハンドマシンガンも持たない。

だが家の前であと男達の顔面を蹴飛ばした時に感じたあの硬度、この距離ならやはり威力的にアサルトライフルを使うしかないので何とか操ってみせるが。

『2人撃ち漏らした!』

4人程は確実に仕留められたが2人ほど物陰に隠れてワイヤーを引っぱり続けて居た。

『マコト、久しぶりにウォーミングアップしてみる?』

『いえ!私がワイヤーを切ります!ヘリのコントロール失わないでくださいね!』

『あいよぉ、任せな!』

返事を聞くと建物の柱に擦れている男の持つワイヤーを狙う。
柱が削れて少し食い込んだワイヤーの一番安定した場所を狙い撃ち、見事に一本切断した。

『おぉ〜!この距離から凄いね!』

『もう一本!』

シズキは続けざまにもう片方に狙いをつけるが、ワイヤーを切る意図が読まれたらしく、男が建物の陰から飛び出してナイフを投擲する。
強靭な肉体から放たれたナイフは弾丸に勝るとも劣らない速さで向かって来たが、マコトがそれを手で掴み止める。

その様子があの男にも見えたのか唖然としていたため、しっかりと上半身と頭に一発ずつ撃ち込んだ。

『さっすがマコト夫妻、いい仕事するねぇ。』

カインに賞賛か煽りか分からない言葉を送られた、それにイラついたのかマコトがカインの足を軽く蹴飛ばした。

『ふぅ…こんな事ならスナイパーライフルを持って来ればよかった。』
『ごめんシズキ、俺もこんな予定じゃなかったから。』
『マコトが悪い訳じゃないよ!』

『はーいはい、イチャつく前に早く座って、高速起動に移るよ。』

カインがうっとおしげにそう言い放ち近くの椅子へ座る。
シズキとマコトも近くの椅子に手を繋いだまま座る。
カインはそれを見て呆れ顔だったが、上昇の仕切ったヘリがだんだんと速度を上げて行ったため近くの物に捕まった、シズキはマコトに捕まりマコトは手すりに捕まりシズキをしっかりと抱き寄せた。

『……お二人さん、移動中はイチャついてもいいけど、おっぱじめないでよ?』

『誰がお前の見てる前でやるかよ。』

『僕が見てなかったらやって当然見たいな言い方だね。そんな事よりあっちに着いたらどうするんだい?』

カインは今後の予定についてマコトに尋ねる、マコトはそうだな…、呟くと方針を決めた。

『まず寝床はお前の家だ。』

『…あまり汚さないでくれよ。』

『流石に人の家を汚したりなんかしない。』

『外はやめた方が…。』

『…しないって選択肢は無いのか?』
『えっ!?……あ、ううん、なんでもない。』
『………。』

一瞬上目遣いで、しないの?とがっかりした表情をしたシズキを見たマコトは心を激しく揺さぶられ思わず言葉に詰まる。

『…マコト。あんまり目立た無いでくれよ…。』

カインの横槍で我に帰り、恥ずかしさ紛れにキレた。

『うるさいなぁ!!寝床はお前の家だ!それとそのあと、俺は感覚を戻すためにトレーニングをする。手頃な相手を見繕ってくれ。』

『いいよ、ただどれくらい君が鈍ってるのか分からないんだけど。』

『前みたいな無茶は殆どやってないし、序列入りしてない奴で頼むよ。』

『ん〜昔に比べればレベルも落ちてるし、序列下位辺りでいいんじゃ無いかな?あのクローン達は相手にならないレベルだったろ?』

『アレがクローン?初耳だぞそれは。』

『あれ?言ってなかったっけ?』

マコトはカインを睨むがカインはまぁいいや!と肩を竦めた。

『詳しい事は帰ったら資料をあげるからそれを読んで。簡単に言うと兵力の簡単な補給って事。んで今の序列10位がそのクローン2人相手にギリギリ勝てるくらい。』

『……俺が言うのもアレだが、心配になるな…。』

『まぁ序列4位辺りから跳ね上がるからね、ちなみに君が抜けて以降も僕は不動の2位さ!』

『だろうな。』

『ちなみにマコトは昔ずっと3位だったよ。』

シズキには何となく大物感を出しているカインがマコトをディスった様に聞こえてカチンときた。
戦力を図る意図もあり、シズキは会話に割り込んで質問をして見る。

『へぇ〜、ちなみにカインさんはあのクローンは何体まで相手に出来るんです?』

『ふふん!あんな物は何百何千といようと僕に関係ないさ!いざという時は任せておいてくれよ!』

カインは胸を張り、いわゆるドヤ顔でそう言ってのける。
それが誠か否かは定かではないが警戒はやはりしておこうとシズキは決意した。

『お前が目立つと俺たちが困るから大人しくしていてくれよ。』

『…君に言われたくはないよ…。』

『何もしてないだろ!?』

『あー、盛り上がってるとこ悪いんだが。』

その時ヘリのパイロットから声がかかる。

『お客様だ、しかも中々足が速い、振り切るのは無理だ。』

『だってさ、次はマコトがウォーミングアップでもしたらどうだい?昔を思い出すだろ?』

カインはマコトへニヤリと笑みを浮かべて聞いてくる、マコトの方も、そうだなと言い席を立つ。
そしてカインが取り出して着たのは長さの違う二本の刀と靴?

『…俺しかロッカーのナンバーを知らない筈なんだけど。』

『キリアに頼んだら開けてくれたよ。』

『…ほんと何でもありだなアイツは…。』

マコトは素早くその靴に履き替えて、しっかりとベルトで止める。
刀を腰のベルトにしっかりと差し込んで固定し立ち上がる。

『はい。』

『おう。』

カインはゴーグルとマスクと籠手の様なものをマコトへ手渡し、マコトはそれをつけてヘリの扉の前まで移動した。

『えっ!?まって、マコト銃は?』

見た目には靴を動きやすいものに変えて刀を二本持っただけに見える。
何処かに隠し持っているのかと思ったのだが。

『いや、俺銃は苦手だからさ。』

そう言うと扉を開けてしまう。

『本当は俺からちゃんと話して起きたかったんだけど、ごめんね。』

『待って!』

マコトはヘッドセットを外してヘリを飛び降りた。









「それで?あっけなく逃したと?」

「はっ!申し訳ございません。」

仄暗い無機質な部屋で全身黒ずくめの男が2人、片方は椅子に座り、片方は地に片膝をついていた。

椅子に座っているのはコシュマールと言う名の、元ゲウィネンブルク戦闘部隊、更にその中の特殊な調査暗殺部隊と呼ばれる部署に所属していた男で、現在は除隊されたところをカラミタにスカウトされて、組織の実行部隊長として動いている。

「ふん…まぁいい。南の駐屯基地に何台か高速ヘリが有ったろう、それと重火器を持って行け、落としていい。」

「よろしいのですか?依頼は捕獲だった筈では?」

「構わん、アレを飼い慣らそうなど愚の骨頂よ…。」

コシュマールは眉間にシワを寄せながらそう呟いた。



コシュマールは昔、戦闘部隊現役の時に一度だけカイン、マコト、そしてキリエリアと同じ任務に出撃したことがある。

侵略してくる敵国の兵の横周りや撃ち漏らしを刈り取ると言う雑用の様な仕事だった為、当時のコシュマールは不満に思っていた。

その大戦力を相手にするのはどれほどの規模の部隊なのかと期待をしたが、前線にいるのはだったの3人。
カインとマコトとキリエリアだった。

コシュマールは正気を疑い、敵の主力とぶつかるのは自分達で、前線の男2人は何らかの意図があっての使い潰しだと確信し、気を引き締め直して戦意を高揚させた。


だが2度目の正気を疑う光景を見た。


1人が土煙を残して姿を消した。
1人が大きな剣で地を砕き、人波を押し退け、大きく移動して大軍を刈り取る。
そして1人は何もせずそこに立っていた。


1人の男は姿が見えないものの、大軍の中で、勝手に敵の首や手足が切り飛ばされ、時折人が空高く飛び上がるのを見るとしっかりと暴れまわっているのが分かった。

だが金髪の女はただ立っているだけでライフルの窓になりたいのかと思っていたのだが、無数の閃光が彼女目掛けて飛んでくるも全てが自ら女を避けて行く、確実にあたる軌道の物も途中で進路を変えるのだ。

コシュマールは夢でも見ているのかと思ったが、銃声と悲鳴と火薬と血の匂いは嘘をつかない。
正真正銘現実で起きていることだった。

大軍を押しのける様に暴れまわる男も十分にライフルの的にされているにもかかわらず全てを鎧で弾き、盾で押し込み大剣で斬り捨てる。

姿を消した男も今だ群れの中を暴れまわっていた。

だが流石に数が多過ぎて押し切られると思ったその瞬間、男2人が女の後ろまで一気に交代した。

疑問に思ったのは一瞬だけ。

女を中心に、敵の大軍の足元の地面を砕いた。


人間に出来る所業とは思えない異常事態と、更にそこからはその女が1人で大軍を相手にし始めたと思われる。

思われると表現したのもそう予測を立てるしかできなかったのだ。

女が地面を爆発させる程の踏み込みをしたと思った瞬間には大軍の中心を大きく削る様に人が居なくなり、代わりに肉塊の海が出来ていた。

それを何度か繰り返して物の数分で全てが片付いてしまった。



自分達に課された任務が本当にただの保険だったのだと理解し、あの者たちには手も足も出ないと脳裏に焼き付けられた。
自分にもあれ程の強さが欲しいと思った事もあるが、あれ程の力を振るう自分を想像が出来ない。

だが技術の発展と、カラミタによる非合法な技術により、あの頃のマコトやカインになら足元に手を掛けられる程の力を手に入れた。

だがそれでもまだまだ足りないし、何より今は魔女と呼ばれる彼女には世界中の生き物が敵になろうとも何の抵抗も許さず殺されると思える程の力量差がある。

あのカラミタの事だ、力の差を分かっていないあの男はあの2人の力を手に入れれば魔女に対抗出来ると思い込んでいる。
変に彼女を刺激したくはない。

だがマコトとカインを一気に葬ることが出来れば儲けものだ、あの2人は魔女と知り合いではありそうだが特別敵討ちをしそうな程の中でも無さそうだし、何より自分を除名した本国の戦力を削ぎ落とすことが出来る。

だがそう上手くいかない事も理解しているが一応空中で最低限の迎撃を部下へ命令した。







作者、時間が足らんとです。
PCデータの整理してたら昔書いてた星街の漫画データが出てきて、今より上手だなって・・・。

漫画は本当に時間がめちゃくちゃかかるんで、描けても挿絵とかイラストだけになりそう。
こっちではない方の小説の登場キャラはイラスト描いたりしてるんですけどね。

この物語の結末を知っている作者としては中々こっちが手につかず、向こう側に逃げてしまいそうになります。

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