星の降る街

ゆるむら

-020- 2996年11月3日 PM 15:16

最近は工場兵器を作るゲームを始めて色々作るのに苦戦しております。
今は飛行機を作っているのですが、姿勢制御のシステムがうまく作れず苦戦しております。
思想としては大型のロケットエンジンを無理やり乗せた飛行機なのですが、出力と機体重量などの関係かうまく飛ばせません。
私は力押しが好きなので、いつかは超大型ロケットを作りたいです。

それでは星の降る街20話をよろしくお願い致します。










-ヤマト領-
行政区
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「それで?どんな感じなんだ?」

薄暗い部屋の中、マコトが連絡用端末で誰かと会話している音だけが響く。

「あぁ…。いや……そうだよ、悪いか。…………チッ、そんな事より早くしろよ、こっちはこっそりやってるんだ、あんまり時間がない。…………はぁ、やっぱりか。………あぁ、分かった。あんまりあいつの耳には入れないようしてくれ、引っ掻き回されたくない。……あぁ、頼む。」

マコトは端末の電源を切って近くの机の上に寝転ぶ。

「はぁ……シズキ、俺について来てくれるかな。」

マコトは天井に向かって胸の内を少しだけ吐露する。







シズキはアンジュを自分のバイクの後ろに乗せて、キコの入院している治療棟まで来ていた。

アンジュ宅を襲撃した男の1人は無人機にて運ばせて、シズキ達に追随する様に飛行してる。

「失礼、犯罪者の怪我人を治療させたいの、窓口はどちらかしら?」

シズキは受け付けにてそんな事を口走り受付を困らせるが、奥からキャリアを積んでいそうな女性がやって来て裏口に回る様言われる。

裏口には無人機だけを向かわせシズキとアンジュは普通にキコのいる病室へと向かった。







うるさい看護婦の診察が終わって、すっかりキコの目が覚めてしまった頃。

静かな病室でキコは外の景色を眺めていた、未だ指先は痺れて足は思うよう様に動けない状態の為、こころの休息だと思ってのんびりしていた。
だがガタガタとやかましく扉を開ける音がした。

この失礼な奴はアンジュか?

そうキコが思って振り向くと、

そこには黒のロングコートにつばの広い黒の帽子を被った、全身黒尽くめの男が立っていた。

「…ぇ……だ…れ?……。」

未だ声が掠れながらも相手へ誰何する。
だが男はその問いに答えることはせず、無言でキコのベッドへと近付いてくる。

全身を虫酸が走る様な気持ち悪さを感じたが、キコは未だ満足に動くこともできずにベットの上で身を抱くしか無かった。

「…ぃ…やぁ………。」

男の手は革手袋で包まれて、人のぬくもりを感じさせない手で、その手がキコの肩に触れようとした瞬間。


その男の肩に手が置かれた。










男の肩に手を置き、振り向こうとしたと同時に膝裏を蹴って腕を引きバランスを崩す。

だが男は予想よりもかなり早く体制を立て直し、物凄い力でこちらの腕を振りほどいた。

「とんでもない馬鹿力ね、キコは大丈夫?」

「…ぁ……シツ……。」

「大丈夫そうです。」

運が良いのか悪いのか、キコの病室へ向かう途中に先ほど見かけた黒尽くめの男と同じ格好の男が病室に入っていくのが見えた。

病室の扉が物音一つしないのにこれほど感謝したことはなかった、無音で扉を開けて様子を伺うと怯えた表情のキコとそれに手を伸ばす黒尽くめの男。
事情聴取の為に軽く無力化しようとしたが、相手が思いの外強い。

「あなた、キコの知り合い?どの様な用件でここへ?」

だが男は立ち上がり構えもとらずにただこちらを真正面に見据えたまま、言葉など発しなかった。

「そう。」

そう言うと同時に一気に踏み込み男の鳩尾に掌底を放つ、
だが相手の動きもはやく、その腕を掴まれそうになるがすぐに身を引き躱す、再び掌底、蹴り、回し蹴りと攻め立ててキコの側から男を引き離すのには成功した。
あとは全力でブチのめすだけ。

シズキはベットのシーツを掴み、男へと投げる。
それと同時に全力で踏み込みんで飛び蹴りで相手を壁に叩きつける、筈だったが男はそれを見切っていたかの様にシーツをいち早く振りはらい、シズキの足を掴んでその勢いのまま背中から壁に叩きつけられる。

「ぁぐっ!?」

この男は思いの外、かなり強い。
シズキは直ぐに起き上がり、男を睨む様に見据えるとシーツが帽子に引っかかり、その素顔を晒した。

「成る程、そりゃ強い訳だ…。」

男の顔は機械で出来ていた。

鋭いフォルムに黒色のフェイスガードバイザー、目と思われる部分が赤く光り機械的な明滅を繰り返していた。
顔から下も人の身体ではない作り、おそらくサイボーグか何かだろう。

シズキは人相手にはある程度加減をするが、今回は手加減をせずに全力で蹴りや拳を打ちはなつ。
だが相手のもいる上手く攻撃を躱し、防御して反撃を繰り出そうするが、それをシズキは腕を引き込み、捻り、関節を逆向に折ろうとするも尽くをその怪力に任せて振りほどかれる。

その様子を見ていたアンジュは直ぐに端末を操作しながらキコのそばまで走り寄りキコをベットへ押し倒した。

「へっ!?………にかん…てっ」

その言葉を遮る様に窓ガラスとついでに壁を少し破壊して白色の騎士型無人機が病室に飛び込んで来た。

騎士型はそのままアンジュを飛び越えてベットと敵サイボーグの間に着地する。

「あいつを無力化しろ。」

無人機は返事の代わりにビームペリースを起動して高速振動ブレードを抜き放つ。

「「「うっ!!」」」

人間には耐え難い超高音が轟き、身内の動きを封じてしまい、サイボーグがこれ幸いとシズキを仕留めようとするが。
当然騎士型はこれを阻止する、ビームペリースの出力を上げてサイボーグとシズキの間に壁を作る。

僅かにサイボーグがそれに触れたが、革手袋の指先が灰になった瞬間身を引いてペリースから距離を取る。

ペリースの出力を制限しながら室内を焼かないよう振り回し、出来た隙へ的確に右手のブレードを差し込みに行くが、機械特有の恐ろしいほどの反応速度と運動性により何度も避けられる。

逆にペリースの無い右側へと回り込みながら蹴りを放って来たり、騎士型の自慢の装甲が凹んで来ている。

だが騎士型はペリースをソードモードに変えて、高速振動ブレードと高出力のビームソードによる嵐のような乱舞で敵を追い詰める。
サイボーグも全てを躱し切れず、片腕を切り落とされた、だがそれと同時に背を向けて全力で逃げ出した。

騎士型も病室の入り口までは追ったが、敵サイボーグは既に廊下を破壊して治療棟の外に逃げ出していた。

「追わなくていい!」

アンジュがそう叫ぶと騎士型は少しして武装を解除して病室入り口横で待機状態に入った。









「はぁ……特等席で見ると凄い迫力ね。生きた心地がしなかったわよ。」

シズキは若干アンジュを憎めしそうに見る。

「シズキ先輩も危なかったじゃ無いですか、感謝して下さい。」

「してない訳じゃ無いけど、キコ以外にも気を配りなさいよ。」

アンジュはそんな言葉を無視して、キコの掛け布団を外で払い、再びキコへと掛け直す。
そして騎士型の無人機の方へとスタスタと歩いて行ってしまった。

「はぁ、そういうとこよね全く。」

「し…き……ぁり…とぅ。」

「あら、だんだん声出て来たじゃない。ただお見舞いに来るつもりだったのにあんたは…運がいいんだか悪いんだか全く。」

キコは声が出ない為にいつものような大声で笑う事は出来ずに、クスクスとお淑やかに笑った。

「あんた、黙ってりゃお淑やかで可愛いのに…。」

シズキが呆れながらに感想を漏らすとキコは笑いながら枕に身を預けて手でシッシッ!と追い払うようなジェスチャーをした。

「何かいるものある?窓ガラスに関しては病院に相談してね。」

「み…ず…。」

「医者からオッケー出てるの?一応腹刺されてんのよ?」

キコは口をへの字にして抗議するが、シズキはそんな顔をしてもダメだとその異議を受け入れない。

そんな親友を見ると観念したのか、新しい言い訳か、口を閉じたまま頰を膨らませてしぼませてを繰り返した。

「ん〜?ゆすぐだけよ?」

キコはニコリと笑顔で頷いた。
シズキはいつもコレならもっとモテるのにと思ったのは内緒だ。

病室を出る時にアンジュに一声かけて、キコのそばにいるようにとしっかり念を押した。



病室を出てエレベーターに乗ろうと、角を曲がったらそこには大勢の医者や看護婦がたむろしていた。

「あぁ!先程の破砕音!何事ですか!?」
「テロですか!?病棟内でなんて困ります!」
「もう安全は確保されたんですか!?」

一気に不安が爆発したかのようなパニックになった医者やヒステリックを起こした看護婦達から質問責めに合う。

(こりゃ水買えなさそうだなぁ…。)

シズキは顔を引きつらせながらもしっかりと状況説明をして落ち着かせて行く。








「先輩、どこか調子が悪かったりしますか?医者を呼んで来ますよ。」

キコは不機嫌そうにアンジュを睨んだ。

「…たし…り…ロ……トの……た…せつ…の?」

「あいつが動かなかったら誰が先輩を守るんですか。」

「……あん…たが……もって…くれ…ら。」

「僕は戦闘員じゃ無いんですよ?どうやったら役に立つんでしょう?」

アンジュはいつもと変わらぬ調子で話し続ける、キコは面白く無いと行った表情でアンジュを手招きする。
それに従いアンジュはキコのそばの椅子へ腰掛けた、するとキコは手のひらを上にするようにこちらに差し出して来る。

「…?なんです?」

「て……さい。」

手を出せと言われたので取り敢えずアンジュは手を出すと、キコはその手を握る。

「………なんですか?」

「あ…た…手…つめ…い。」

「まぁ、僕がいうのもなんですが、風通しがいいですからね、ここは。」

病室は窓ガラスとついでに壁が砕けて少々冷たい風が入り込んで来ていた。
アンジュはキコを気遣い布団に潜るように言うがキコはそれを無視してアンジュの手と自分の手を、

キコの太ももの下に敷いた。

「…冷た…。」

「……それさっきも確認しましたよね。」

キコの太ももは熱いほどだと感じた。
布団の中にずっと潜っていたと言うのと、自分の手が冷たかった所為だと理解しているが。

流石のアンジュも人の子であり男だ、それに不能でも無い。
すぐに手を抜いたのだがキコが手首を捕まえた。

「…たし、…ちおう…怪我に…よ?…から…も…ごかな…し。…たしを、あ…しんさせ…よ。」

アンジュは動けなかった、だがそのままでは体制がきついので、ほんの少しだけ、椅子をキコへと近付けた。










おとなしい静かなキコちゃんかわいい。
騒がしいキコちゃんも嫌いじゃないけどね?
個人的にほっぺぷくぷくする所がツボ。

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