星の降る街

ゆるむら

-011- 2996年6月24日 AM 09:14

色々書き続けてたんですがここだけは先に投稿しようと思いました、出来次第順番にあげるのと纏めてあげるのはどっちがいいかなぁ・・・

あとPM13 とか意味わかんない事になってますが、形的にこっちいのがいいかなと!この時代はこういう表記だという事で!素で間違ったわけではないですよ?(白目)






-キリエリア領-
サンライト管轄区
キリエリア護国塔 上層







ここ、キリエリア護国塔はキリエリア領の中心に立ち、対隕石用シールドを展開する機能も兼ね備えたこの地の主人の住まう塔だ。

その効果と居住性を両立する為にかなり太い柱のようになっているが、どこから見ても同じようにように見える屋敷は珍しいらしく、知れ渡っているわけでは無いが、観光の一部として旅行者が訪れる者も多い、一階と二階は常時解放している。

3階以上はメイドや執事やシェフなどの居住区画やその他多目的な部屋を多く含んでおり、一般人の侵入は固く禁じられている。

そんな塔の上層階、では国家機密の会議が開かれていた。


「そんな…人体実験だなんて…。」

「現に様々な物的証拠も出てきております、そちらの領内でその様な事が行われていたのは事実です。」

「あれは…あれは只のビジネスビルだと…人体実験の話などが出てこようものならその時点で止めて…」

ムーンライトは実験施設の存在の否認を続けた。

「申し訳ありません、我々の監督不届きが今回の事件の発端です。」

「サンちゃん!!」

「にいちゃんは黙って。ですが、この件が公になるのは我々にとって今は好ましくありません。代わりと言っては何ですが、こちらから今回の事件の首謀者である無人機の残骸、および内部データに関してはそちらに譲渡いたしますので。今回の件はご内密にお願いできませんか?」

サンライトは無人機を渡す代わりに今回の件は誰にも漏らすなと口止めを要求してきた。

「元々無人機は無所属で、それを鹵獲したのは我々です、そちらの所有物では無い為に返還の義務は発生いたしませんし、今回の件はわたくしのみでは判断出来兼ねます、一度本部への確認を取らせていただきたい。」

無人機は誰の所有物でもないし、返還というのもおかしな話である。
更には虚偽の報告など真面目シズキは望まず、可能な限りは避けたい。

「先程も申し上げた通り、こちらの監督不届きにより我が領地内での無人機の開発、暴走を事前に抑える事が出来ませんでした。
故に我が領での調査解析を進め損害に対する賠償をする義務があります、無論無人機は今回の事件の犯人なので尚更調査をしなければならない貴重なサンプルです。
いかに協力して頂いた方々と言えども無断で我が領地の重要機密を持ち出されるのは容認出来兼ねます。」

サンライトは今回の責任は全てキリエリア領にあると明言し、無人機の所属もキリエリア領だと主張した。
サンライトは無表情で、シズキは苦い顔た。

「………どうしてそこまで?今回の事件はあなた方も被害者の立場である筈、わざわざ全てを抱え込まなくても外部との協力という形にすればそちらのダメージも少なく…」

「責任逃れの為にわざと虚偽の発言をして情を煽れ、と。そう申し上げるのですか…?そんな事をすれば我が領民達からの信頼も失い、あちこちで治安に対する不信から暴動が始まりここは地獄と化すでしょう。」

「………。」

サンライトはしてやったりと言った顔でシズキへ言葉を返す。

「虚偽の報告という事なら私とて同じですし、領民への情報を規制すれば問題は解決でき…」

「我が領は国民を中心とした民主主義を掲げております。民の命を預かる身である我々の失態は雲に隠し、怒りの矛先を謎の組織になすりつけろ、と?それこそ領民と他領からの信頼を失い兼ねません。
それに我々は責任を負いたくないと言っているのではありません。今はまだその時ではないと申しているのです。」

またしてもサンライトは食い気味にシズキの言葉を遮り言葉を続けた。

「それに、今回の依頼内容は。「我が領内での無人機暴走事件発生、救援を求む。」という事。

正確にはまだ無人機暴走事件は解決しておりません。ですがこれ以上は時間がかかりすぎる為あなた達は撤退、最終的な結果が出ていない為報告は出来なかった。ですが戦闘をした途中経過の報告は出来ると言う事です。

あなたは虚偽の報告をする訳ではありません。」

「………。」

シズキは元々政治的な話や駆け引きなど口喧嘩の類は苦手なタイプで、本職の人間を相手に本部への連絡をしない時点でもう詰みであった。
シズキは溜息を大きく吐きながら疲れたような表情で疑問を投げかける。

「はぁ………どうしてそこまであの無人機に関わるの?」

「それはこちらも同じ、元々我々の物をどうしてそこまで?」

「………。」

「魔女様に宿題を託されたからですよね?」

「知ってたの………。」

「魔女様が「それを餌にすれば一方的に交渉を出来る」って。」

「はぁ〜………それは交渉とは言わないわよ。」

シズキは昨日の事を思い出す、次会うまでの宿題、出来ていなかったらお仕置き。
理不尽にも一方的に押し付けられた宿題は、例の地下施設の子供達や無人機に移植された子の事も考えればやらなければならないしあんな化け物のお仕置きなど想像も出来ない、万が一を考えれば大人しく従った方がいい。

しかも面倒な事に、魔女本人に宿題として出された上に今の会議で他言も出来ず、自らでコソコソと調査しなくてはならなくなってしまった。
まさに性悪の魔女の手の中と言う感じで大変不愉快だ。

「…ひとつ聞いてもよろしいですか?」

「もう公的なお話は終わった筈、気軽に話してくれて構わない。」

「…そう、じゃぁ聞かせてもらうけど、あの魔女ってなんなのかしら?よくあんな化け物を飼い馴らせてるわね。」

サンライトは空気を砕けたものに変えて紅茶とお菓子に手を伸ばしていた。
張り詰めた空気が四散したのを感じたムーンライトも紅茶に口をつけ始めた。

「魔女様は私達の守護者の様なもの、決して飼い慣らしている訳じゃない。」

「守護者?じゃぁここは魔女が裏で支配してるって事?」

「いや、魔女様は別に支配してる訳じゃ無いんです、魔女様が住むこの地に僕達が住み着いたって感じで。」

ムーンライトは申し訳なさそうな笑顔でそう言う。
そしてムーンライトはこの地に伝わる魔女の昔話をシズキへ語り聞かせた。

「そして魔女様に交渉を持ち掛けたのは僕達のお祖母様なんです、それからお祖母様は僕らのお母様へ、お母様から僕達にと言い伝えられて、領主が交代する時には魔女様に必ず挨拶に行くのですが昔からあの容姿のままだと。」

シズキは胡散臭そうな物を見る目で話を大人しく聞いていた。

「………もしかしてクローン技術…?にしてもあれ程の強さの秘密が分からない…」

「魔女様はクローンなんかじゃ無いですってば!昔から生きてる本物の魔女なんですから!!」

ムーンライトは怒ってますよと言わんばかりに頬を膨らませていた。

「だからこそ魔女様に守ってもらってばかりで失望されない様に僕らは頑張らないといけないのです!今回の事件で色んな方面に迷惑掛けちゃいましたし…魔女様の名に恥じぬ様に!…」

「あ、にいちゃんは各方面に謝罪に行ったらそのまま領主辞めてもらうから。」

「えっ!?」

サンライトの言葉でムーンライトは決意に満ちた表情から困惑に満ちた表情へ変わる。

「なっ…何でだい?にいちゃんはさっき言った様にこれから頑張らないと…」

「今回の事件の大元の場所、誰の管轄下?」

「……僕の…。」

「じゃぁにいちゃんが責任取るのは当然でしょ?」

「だからってそんな…」

ムーンライトは言葉を交わすたびにサンライトへ言い負かされ落ち込んで行く。
それを見たサンライトは溜息を吐きムーンライトへ、

「その為の2人なんだよ?」

「へ…?」

「だからその為の2人」

「…どういう事?」

ムーンライトは意味が分からないと言った表情でサンライトを見やる。

「トカゲの尻尾切り、どっちかが取り返しの付かないミスをしてもどっちかが持ち直すための2人、そのあとは表舞台から離れた片方が残った方を支えこの地を収める。って魔女様が言外にそう言ってた。」

「言っては無いんだね………そっか…そうだよね、僕の信用は低いしこれからだなんて言われてもね…。」

「だからにいちゃんは外で女遊びしたり子供を孕ませたりしても問題は無いんだよ?」

「なっ…問題大アリだよ!しないよそんな事!」

ムーンライトは妹の言葉で落ち込んだ表情から一気に顔を真っ赤にさせた、それを見て少し安心した様な表情でサンライトは言葉を続ける。

「もう領主の地位じゃ無いから、自由恋愛も出来るって事。私は忙しくなってそんな余裕も無くなるから。」

「サンちゃんが忙しいんなら尚更そんな事する訳ないだろ!雑用でも何でも手伝うよ!」

「じゃぁ私と子供作る?」

「うん!………うん?」

サンライトの爆弾発言にムーンライトは理解が追い付かない、2人には忘れてられているかもしれないがシズキも驚いた表情だ。

「唯一の領主である私は忙し過ぎて子孫を作れないかもしれない、元領主は子供を作る時間はあるけど領主の地位は無い。なら2人で作る方が簡単確…」

「実じゃ無いよ!!何言ってんのさ!!ダメだよ兄妹でそんな…せめてにいちゃんが相応しい男を探して…」

「にいちゃんは私を他の男に抱かせるのが趣味?」

「ちがうッ!ダメだよそんな!!いや違うってそういう意味じゃ無くってぇッ!!」

ムーンライトは顔を赤くしながらあたふたとしている、その様子を見て満足そうな表情になったサンライトは真面目な顔になり兄を落ち着ける。

「魔女様も可能性はゼロじゃ無いだけで、それはその時になったら考えればいいって言ってた。」

「…言外に?」

「ううん、本当に。」

「……そっか。…よし!サンちゃんを支える為にも頑張らないと!」

「じゃぁ私は最後の怠惰だを楽しんでくるからあとよろしくね?」

「えっ?」

サンライトは言うが早いか立ち上がり会議室の出入り口へと向かう、シズキは無言でそれを見送りムーンライトはあたふたとし始める、とサンライトは思い出したように足を止めて振り返り。

「にいちゃん、浮気はダメだよ?」

「うっ…浮気って何のさ!大体僕達はまだ…」

「私は浮気は良くない事って言っただけだよ?それとその人は私達の内部事情を事細かに聞いていた部外者だからね。」

それだけを言ってサンライトは本当に部屋を出て行ってしまった、顔を赤くしながらドアを開け睨む様に見つめていたムーンライトへシズキは一言。

「それで?わたくしはもう帰ってもよろしくて?」

ムーンライトは思い出した様に慌てて席に着き、恥ずかしそうに謝罪する。

「あっ…すみせん、お見苦しいところを…」

「重要な会議の場でカップルの乳繰り合いを見せ付けられるとは思いませんでした。」

「カップルなんかじゃ…!!まぁとにかくその事は置いておいて下さい。」

どの口が言うのかと突っ込んでやりたいが今は誰も突っ込める人が居ない。
ムーンライトも顔を赤くしながら話を進める。

「えっと、今回の件はとりあえず他言無用にして頂けたら幸いです、とにかく自分達で解決をしたいんです。今後のキリエリア領に住む人たちの為にも、今僕らが頑張らないといけないんです、どうかお願いします。」

シズキはどこからどこまで?と言う意地悪を言おうとも思ったが、そこまで真摯にお願いをされては無下にしづらい。これもサンライトの計画通りなのか魔女の計画通りなのか、大変不服ではあるがシズキとはそう言う人間だった。

「ええ、暴走した無人機の鎮圧に関しての報告はしますが、例の施設の件は報告を差し止めさせて頂きます。これでよろしいかしら?」

「あ、……ありがとうございます!!」

ムーンライトは大袈裟なほど頭を下げた、シズキもむずがゆくなり紅茶を飲み干すと席を立つ。

「あっ、シズキさん!よれけばご連絡先とか教えて頂けませんか?」

ムーンライトは目をキラキラとさせてシズキへと連絡先の交換を申し出て来た、それを聞いたシズキはムーンライトをからかう様に。

「…浮気はダメだと言われだばかりでは?」

「えっ?…ぁ…うっ浮気じゃない!違います!今後事件の情報とか、分かった事があればシズキさんにもお知らせしようと!」

「成る程、そうでしたか。では携帯無線の連絡先でよろしいですか?」

「はい!ありがとうございます!」

「それと私は同棲して結婚も予定している相手がおりますので。」

「そんなんじゃ無いですってば!!」

シズキはムーンライトをからかい満足すると塔を出て、部隊員と共に自領へ帰還した。




サン「にいちゃんLOVE」

ムーン「サンちゃんLO・・・LIKE」

作者(ここがノクターンじゃない事に感謝しろ・・・!!)

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