星の降る街

ゆるむら

-000‐ 後

スマホのメモに書いてるとけっこうな量になったので0話を分けたのですが、意外と短いですね。。。
改行とかも調節した方がいいかな。







「ッ!?」

目標が爆ぜたと同時に弾丸が一斉に飛んでくるのが見えた、大柄の男が慌ててこちらに向いた瞬間なので当然の事なのだがそこまでは頭が回らなかった。

だが兵士たちは並外れた反射神経と更にそれを副次的に強化する手術も受け、飛んでくる鉛の弾を認識する程度は出来る様になっているが今回は暴発により通常の弾速よりも早い。
それが複数発同時に向かってくるが今回は運良く距離もあり遮蔽物もある、慌てて崖から離れる様に転がるとその瞬間、自分のいた場所の地面を砕きながら、あるいはその付近の空を裂き鉛の弾が飛び去って行く。

完全に男の置き土産を回避しきってから崖を覗き込み、目標を確認した。


「こちらS1、目標は完全に沈黙、このまま脱出を援護します。」

『了解。お前らッ!浮かれるのは早いぞ!お家に帰るまでが仕事だ!!』

『『『了解ッ!』』』

「脱出ルート上の金網を焼きます。」

『助かる!お前もさっきので居場所がバレてるだろう、それが終わり次第すぐにポイントを移動しろ、もう追っ手は向かい始めてると思え!』

「了解。」

短く通信を終えると目標の居た場所の後方にあるトンネル、その入り口の金網を新しいカートリッジに差し替え照射を開始した。

しっかりと金網を赤熱する程焼き、隊列を組んでも通れるほどの穴をしっかりと開けるよう溶かした所で隊が到着し金網を蹴り破る、それを確認すると。

「これ以上の援護は不可能な為、現ポイントを離脱します。」

『了解、御苦労だったな。帰ったらメシでも奢って…』

『敵接近!!敵接近!!』

「ッ!」

自分の後ろで大音量で警告音を鳴らし、いつもなら可愛いい顔が表示されているパネルに真っ赤な文字で[WARNING‼︎]と表示され、敵のおおよその位置が表示された。
だが相手は崖下の工場地帯を直線に進んで来くる。更に接近速度がかなり速い事がより一層焦燥感を感を煽る。

『どうした!?何があった!?』

『再度識別信号確認…該当ナシ!敵と判断!接近次第攻撃を開始します!』

通信の向こう側で隊長が焦った様に返信の催促をして来るが、正直それどころではない。

起き上がりながらライフルを照射モードから単発に、そのついでに通信を、

「敵と交戦をます、戦闘の回避はッ!?」

オートマトンがキュルキュルと機銃の銃身を回転させながら自分に照準を合わせていた。それを見た瞬時に身を屈めるとオートマトンの機銃が火を吹き金属同士が弾かれる様な音が響く。

背後に迫っていたであろう襲撃者を確認しようと目を向けるが既にそこには居ない、巻き上げられた砂埃から移動した方向を予測するが既にそこにも居ない、視界の端に何かの影が見えた為、反射的に身を引きながら上を見ると上段で二本の近接用武器を構えた襲撃者が物凄い勢いで落ちて来ていた、

銃を盾にする様にギリギリで自分と相手の間に割り込ませると同時に襲撃者の刃が到着した、オートマトンから伸びた強化ワイヤーチューブが工事用エネルギーカッターと言う見た目小型のチェーンソーを銃と相手の武器に合わせる様に添えられていた為一瞬で切り捨てられるという事は無かったのだが、相手の剣は相当な代物なのかビームを弾いていた。
相手は落ちて来た勢いを完全に殺された為銃ごとこちらを蹴り飛ばし跳ね上がった、そして距離を取るために跳ね上がった相手の着地する瞬間を狙いオートマトンが鉛玉を流し込む様に掃射する、だが相手は空間を足で押さえ込む様にこちらに足を向けると半透明の光の壁が出現し全てを防いだ。

「チッ…あいつまで…!」

苦虫を噛み潰した様に顔を歪めたが打開策も思い浮かばず、相手は光の壁を押しつける様に蹴り込むとその空間により一層濃い壁が出来上がり少しずつ薄れて行く、が、その間に相手は飛び上がり剣を投げ放つ、それは勢いよくオートマトンの中心に刺さり、オートマトンは跳んだ相手を追う様に上を向いたまま掃射し続ける。

相手は既に足元に出現した光の壁で天井を作り出し、それを蹴って地上に戻って来ているがそれでもなおオートマトンは発砲を続けてた。

「なっ!?」

それまでの一連の流れが一瞬過ぎて為すすべが無かった、
何をやったのか理解は出来たものの反応など出来る速さでは無かった。

オートマトンは意味の無い機械音を発しながらもあさっての方向に弾を撃ち続けていた、それを鬱陶しく思ったのか相手は手首辺りから伸びるワイヤーを引く、するとオートマトンに刺さった剣は相手に向かって飛んで行く。

いつの間にワイヤーを?、もしや最初から?どういう武器なのか?そんな事を考えていると相手は思いっきりワイヤーを引き込み、持ち主を通り過ぎたかと思うと振り回した。
半周分の距離しかないにもかかわらずグングンと勢いを増しながらワイヤーも伸ばし射程を広げながら、

「ゴッシャッンッッ!!!!」

と派手な音を立ててオートマトンはバラバラになりながら横へ吹き飛んでいった、やった事を理解は出来たがまたもや見えなかった。

オートマトンを吹き飛ばしたワイヤー付きの剣は今までと比べゆっくりと相手の手に戻って行く。
為すすべはない、倒すことも逃げる事も不可能だと悟ると体が動かなくなってしまう、彼女はただただライフルを抱きしめる事しか出来なかった。

手元のライフルを思い出した様に見るも先程の衝撃で銃身もへしゃげて使い物にならなかった、それでも相手はこちらへとゆっくりと歩いてくる。

相手の歩数に合わせこちらも後ろに下がるが…自分の後ろは崖だ、下がろうにもすぐに限界がくる、今はただ相手に距離を詰められる事しか出来ずにひたすら祈った、この時間がすぐに終わる様にと。

(ごめんねお婆ちゃん…やっぱり約束守れなさそう…。ごめんね………やっぱり私………怖いよ…。)

彼女は泣きそうになりながらもひたすらこの時間に耐える事しか出来なかった。

そんな時

「パヒュ〜〜〜ン……パーンッ!」

と気の抜ける様な音がすると相手は足を止め、自分ではなく自分の後ろの空を眺めていた、それに釣られて自分も振り返ると赤色の信号弾が空に浮かんでいた。

信号弾を見た相手は威圧感と両手の剣を鞘に仕舞う、両手の剣は反り返って芸術的な模様を宿している日本刀と呼ばれるもので、古い文献にて製造法を失伝したと伝わる古の武器であった。

相手が武器を収めるのを見ると安心しついその場に尻餅をつきそうになり…つけなかった。

「あっ…。」

世界が止まったかと思った、浮遊感に襲われ手を伸ばすが既に崖に手をかける事は出来ず、せっかく助かったと思ったのにこんな間抜けな死に方なんて…と思った時、手を掴まれた。

誰に?先程襲いかかって来た相手だ。
何故?疑問しかないと思っていると簡単に引き上げられ、そのまま崖から離れた所まで運ばれた。お姫様抱っこで。

「へっ?…なっ…なんで…?あれ…?」

彼女は混乱したままだったが相手の男は崖から離れた所で降ろし、そのまま崖の方へ歩いて行き…。

「えっ……あっ!ちょっと待ってそっちは!…ッ!!」

飛び降りた。

慌てて這って確認しに行くと彼は空中に足場を作りながら飛び跳ねながら彼方へと消えて行った。



色々と気が抜けて空を見上げると赤色の閃光弾とその更に遠くに、紅い流れ星が見えた。


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