超絶美少女の彼氏(凡人)は尽くされているが気苦労が絶えない

卿猫

突然の遭遇

「いや、まさか別の映画館を調べていたとはね…」

「うぅ、ごめんなさい…」

 ここは駅ビルの中に入っている喫茶店だ。そして今、白雪さんと軽い食事をしている。

 え、映画を見るんじゃなかったのか、だって?
 なんと驚いたことに白雪さんはこの駅ビルに入っている映画館ではなく他の映画館のサイトを見ていたのだ。なのでその映画まで時間が1時間くらい時間ができてしまった。
 やっぱりあれだね、天然だね、この子。
 まあ、可愛いから大体のことは許されるけどさ。

「じゃあこれからどこいく?何か買いに行く?」

 軽い気持ちで聞いたのだがなぜだか白雪さんが覚悟を決めたような眼差しでこちらを見てくる。

「わ、私、新しい水着が欲しいです!」

 み、みずぎぃぃ⁉︎
 まあ、たしかに夏休みが控えてますけれども!

「だめ、ですか?」

「いやー!いいね、水着!行こう行こう!」

 やっぱり俺は白雪さんにお願いされると断れないようだ。
 てか、普通に彼女と水着を買いに行くなんて男の夢じゃないか!
 しかもそれを美少女である白雪さんと買いに行けるなんて…

 そう思い白雪さんに目線を向けるがなぜだか彼女は顔を真っ赤にさせていた。

「ん?どうしたの、白雪さん」

「あ、あの、周りの人たちが…」

 そう言われて周りを見ると、他のお客さんたちがこちらを見ていた。
 どうやら声が大きかったらしい。ああ、恥ずかし、恥ずかし。

 ♢

 と、言うわけで同じ駅ビル内にある店の水着コーナーにあるわけだが…

「え、あれって白雪さんじゃない⁉︎」
「ってことはとなりにいるのが噂の彼氏?」
「え、あの噂って本当だったんだ〜」
「しかもデートで水着を買うってなかなかね」

 そう、同じ高校の生徒とエンカウントしてしまったのだ…
 しかも水着売り場で…

「あの、りゅーたくん、これってどうですか?」

 そんなことに気づいていないのか水着を手に感想を求めてくる白雪さん。
 どうやら持っている水着は2つ、1つは落ち着いたワンピース型でもう1つはちょっと派手目なビキニである。
 こ、これは人生最大の2択かもしれない…

「え、えーと」

 まあ、正直に言えばどちらの水着も白雪さんなら似合うであろう。
 だがしかし、俺の一言でこの夏、白雪さんが露出度の高い水着か低い水着、どっちを着るのかが決まってしまう!
 落ち着け、落ち着け、俺。
 そして俺は覚悟を決め、一呼吸おいて言うのであった。

「び、ビキニの方で!」

 ど、どうだ!いってやったぞ!
 俺はチキンではなーい!

「わかりました!じゃ買ってきますね!」

 すんなりとレジへと向かう白雪さん。
 え、もしかして気にしてんの俺だけだった⁉︎

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