華のJK1なんだが受験に失敗したので高校に行くのが極めて憂鬱である

霧雨 蘭

入室



    後ろの戸口から顔を覗かせる


    「 おはよう!入学おめでとう!! 」


    体育の教師だろうか、ガタイの良い男性教師から暑苦しい歓待を受ける。


    「席順は前の黒板に貼ってあるぞー。しっかり確認してから座ってくれ!」


    早く席に着いて遅れ気味に教室へ入った時に感じるこの視線から逃げ出したい。


    早足で前へ進み席順を確認する。


    なるほど、右端の一番後ろ。出席番号順に右前から始まって一列7人ずつのようだ。


    今一度教室をぐるりと見渡し時計を確認する。


    時刻は8時10分。

    まだ集合時間の15分前だというのに教室の8割は生徒で埋め尽くされている。


    教室のあちこちから既に元気な話し声が聞こえている。


    こちとら朝5時に叩き起こされ意識もはっきりしないままの寝ぼけ眼で満員電車に揺られ朝から疲労困憊だというのに。2時間の通学時間は不慣れも相まって流石に堪えるものだ。


    黒板に書かれた[入学おめでとう]という文字を確認する。


    タイムスリップはしていないことにひとまず安堵する。


    と同時にタイムスリップしていなかったが故の恐怖心がこみ上げてくる。


    賑やかな教室を改めて見渡す。


    ある程度同じ中学からの進学があるにしてもである。明らかに周りの人間のコミュニケーション能力が高い。と思う。

    「近年の若者は対人能力が低下している」なんて言っていた学者がいたような気がして理不尽にも恨みを抱く。


    学校のチャイムが鳴り私の思考を遮る。


    あれこれ考えているうちにもう15分も経っていたようだ。

    教室に静寂が訪れる。


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