部活の後輩と付き合ってみた

きりんのつばさ

僕と森との出会い


「僕が森と出会ったのは2年前の新入生勧誘の時だね」

「そうっすね〜」

と言いながら当時の記憶を思い起こした。


〜〜

「樋口さん、チラシは大丈夫?」

「任せなさいって〜準備は大丈夫!!」

僕と樋口さんがいたのは僕らが普段授業を受けている方のキャンパスじゃなくて別のキャンパスであった。
こっちの方の部員も欲しいとの事で先輩達に言われるが僕と樋口さんは来た。

「よかった」

と僕は手元にあるチラシをみたあと、周りで準備している他の部活を見てどうやって部員を入れるかを考えていた。
僕らの部活みたいなあまり人が来ない部活は毎年ちょっとずつでも入れていかないとすぐになくなってしまう。

「あとは〜私達のパシーー
ーー可愛い後輩を沢山呼ばないとね!!」

「おい、今“パシリ”って言いかけただろ?」

「まっさか〜そんな事言うはずないでしょ?
こんな可愛くて優しい私が」

「……昨年問題起こしすぎたせいで僕と君は夏目以上に目をつけられているんだけどね?」

そうなのである。
昨年、僕と樋口さんは色々な問題に巻き込まれたので部活の先輩達からは“こいつら目を離すと危険”という扱いになっていた。
……僕は結構とぱっちりなのだが。

「夏目超えたね!!」

「嬉しくないわ!!」

「さぁ国木田!! 新しいパシリを連れてくるよ!!」

「今とうとうパシリ公言したよこの人!!」

「だって新入生が入れば私達の仕事減るからねっ!!」

「……欲望に忠実だね君は」

なんて言いながら僕らは一緒に部活のチラシを新入生に配っていった。しばらくすると不意に樋口さんが

「ねぇ国木田」

「何?」

「あそこ見て」

「ん……?」

樋口さんが指を指した方向を見ると、そこには体格ががっちりして、それなりに顔が整っている男子学生がいた。
だがその学生は周りをキョロキョロと何度も見て、言い方が悪いが明らかに不審者だった。

「……何してるんだ、あいつは?」

「ふふん……分かったよ……」

「とても嫌な予感しかしないけどどうぞ」

「彼はとてつもなくコミュ症だね。
ーーしかも生活に支障きたすレベルのね」

「本当に君は何者なんだい……?
よく見ただけで分かったね」

「まぁ本当にヤバい人ならすぐ分かるけど〜彼の場合はさっきから出来るだけ人がいない様な場所を確認しながら動いているからね」

「えぇ……そこまでかい」

それは最早コミュ症というよりも対人恐怖症なのでは?

「まぁ彼の場合は本当に生活に支障きたすぐらいだからしょうがないだろうけど
ーー私もそこまで? って思う」

と2人して呆れていた。

「ねえ国木田」

「ん?」

「あの子入れよう」

「さっきまでの会話の内容無視したね……」

「だってあいつ入ったら楽しそうじゃん〜!!
今以上に楽しくなりそう!!」

「……僕は今ので充分なのだけどね」

今現在でも同期に夏目や樋口さんという面倒な輩がいるので勘弁して欲しい……

「ねぇねぇそこのキミ〜!!」

と樋口さんは一人でその男子学生の元に行った。

「って人の話を最後まで聞いて欲しいな〜!?」

僕も急いで彼女を追いかけた。
だがその男子学生は僕らにきづいたのか逃げようと走る構えをしたのだけど……

「さぁ観念したまえ!!」

「……僕の同期が本当にごめん」

「あ、あと、え、えっと……」

僕らはその男子学生を壁に追いやり、逃げれない様にした。

「ねぇねぇキミ、このお姉さんとイイコトしな」

「やめい!?」

「あ、あれ……?」

「何すんのさ!? この美貌で入れようとしたのに!!」

「その手段がおかしいんだよ!!
ほらなんか後輩困ってんじゃん!!」

「うるさいな堅物め」

「……いい加減にしろよテメェ?」

「そんなんだから国木田は彼女が出来ないんだよ〜」

「余計なお世話だっての!?」

「ほら私、もうこの1年で5人から告白されたからね?」

「聞いたよそれ!! モテる自慢しなくていいじゃん!?
というか今それ関係ないよね!?」

「ハッハッハッ〜そうだね関係ないねっ!!」

「何故言ったんだよ!?」

「国木田の反応が面白くて」

「上等じゃあ!! やるかこら!?」

「いいよ? かかってきなよ〜」

「ーーお、俺」

「「あぁ?」

「す、す、す、す、す、す、すみません……」

と完全にびびっている後輩を見て我に帰った僕。

「あっ、ごめんね……僕の同期が変人で」

「本当ごめんね〜私の同期が堅物で」

「……今何って言ったゴラ?」

「国木田も今なんて言ったのかな〜?」

と僕らは目の前の後輩そっちのけで口喧嘩を始め、それを後輩がおどおどしながら見るという奇妙な光景が出来上がった。



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