部活の後輩と付き合ってみた

きりんのつばさ

荷解き

とりあえず新居に着いた日は特に何もする事無く、夕飯は外で済まして、その日は寝る事にした。
何故なら明日から荷物が届いて、2人で荷解きをしなければならないからだ。
……えっ? 2人であのベットで寝たのかって?
流石に初日から使うのは気が引けたので持参した寝袋で一緒に寝ましたよ。



そして次の日。
朝から引越し業者が新居に荷物を持ってきた。
タンスや棚、ダンボールの数々を数人で交代交代しながら持ってきており、僕らはそれをそれぞれの置き場所に移動していたりしていた。


「センパイ〜、これってどこにおけばいい?」

「それは寝室の方に置いといて」

「は〜い」

まぁ流石引越し業者の人々という感じか慣れた手つきで荷物を運んでいったので午前中には荷物の搬入は終わった。

「さてこれら荷解きしないといけないよね……はぁ……」

僕はリビングと寝室にあるダンボールの山を見ながらこれからの大変な作業を想像してため息をついた。

「ふっふっふっ……」

「どうしたの七海? 悪役が悪だくみをする時にしそうな笑い方をしているけどさ」

そしてこの笑い方をしているななみは絶対ロクな事を考えている気がしないと僕の勘が告げている。

「今年の学業優秀者に選ばれた私なりに考えました」

「選ばれたんだ君が……」

この子、変なところで抜けている割にはとても頭がいい。
前に成績表を見せてもらった時に評価が最高評価ばっかりだったのが記憶にある。

「どうやったら引越しの荷解きという面倒な作業を楽しめて且つ楽に出来るかと……」

「はいはい」

「そして昨日とある考えが思いつきました……」

「さて荷解きやろう」

僕は近くにあったダンボールの梱包を開けて、荷物を箱から出そうとしていた。

「せめて聞いて!? 私なりに必死に考えたたんだよ?
彼氏であるセンパイは聞く権利があると思います!!」

「聞く権利なら聞かない権利もあるだろう?」

「じゃあ聞かなければいけない義務に変更です」

「拒否権を行使」

「ちょっとーー!?  聞いてって〜」

と僕の腕に捕まり、ブンブンと揺らしてくる。

「分かった、分かった聞くよ」

「よくぞ言ってくれました〜。
で、私なりに考えた考えがこれです!!
ーー皆さんどうぞ!!」

「皆さん?」

僕が七海の発言に対して疑問に思っていると不意に玄関のドアが開く音が聞こえ、そこには……


「国木田先輩〜手伝いに来ましたぜ〜!!」

ーーコミュ障な残念なイケメン、森

「失礼します……」

ーーしょっちゅう暴走する森の彼女である凛子さん

「おぉ〜これが先輩達の愛の巣ですか〜」

ーー仕事は出来るけど性格にやや難がある与謝野さん

「手伝いに来ましたが……本当に綺麗ですね……」

ーー数少ない常識人であり与謝野さんのストッパー織田

「正義の美少女探偵が手伝いに来てやったよ〜!!
ふはははは感謝するがいい国木田〜!!」

ーー僕の同期である意味危険人物の樋口さん。
……他に呼び方があるけど今は樋口さんで呼ばせてもらう。

なんている僕と七海の知り合いが一斉に来た。

「君は揃いに揃ってどうした?」

「平塚に呼ばれました〜!!」

と与謝野さん。

「七海が?」

「そうなんですよ〜。昨日、皆さんにメッセージ送ったら皆さん暇だったらしくて来てくれました!!
……これもセンパイの人柄ですかね?」

「なんか皆んな悪いね。せっかくの休日なのに」

「何言っているんですか〜国木田先輩。
こんなせっかく楽しそうなイベーー
先輩のお役に立てそうな事ですからね!!」

「そうだよ国木田〜こんな楽しいイベーー
同期の手伝いなら喜んで参加するよ〜!!」

……おい、今2人ともイベントって言いかけただろ?
確かに引越しはイベントだろうけど与謝野さんや樋口さんが言うとなんか別の意味に聞こえるのは気のせいだろうか?

「力仕事なら任せてください!! 俺、久しぶりに国木田先輩の力になれそうっす!!」

「……森は力加減気をつけてね?」

「それは……善処します」

「なんか先輩の許可取らないでこんな大人数で押しかけてしまってすみません……」

「いいって織田、正直人の手は欲しかったし。
僕個人、君らとやっていると楽しいしね」

勿論七海と2人でやるのもいいだろうけどこうやって織田や森達、後輩達と一緒に何かやるのも好きなのも本心だ。

「……お気遣い感謝します。
とりあえず俺は何人か暴走しないか見ています」

と織田は与謝野さんを見ながらそう言った。
まぁ確かに一番暴走しそうだから仕方ないのだろう。

「頼むね……
じゃあとりあえずここで話しているのもなんだし
それぞれ役割分担しよーー」

「あぁーー!! ベットが凄い豪華じゃないですか〜〜!!」

「そうなんですよ〜〜!! これってセンパイのご両親が
お祝いにってくれたんですよ〜!!」

「……」

「……俺の彼女がすみません」

「大丈夫、僕の彼女も同罪だから」

「あ、あの……先輩達、大丈夫ですか?
なんかお二方共に深い溜息をついていますが……」

「気遣いありがとうね凛子さん。
とりあえず全員聞いてもらえる?」

と手を叩き、僕の方に視線を集中させた。

「今から役割分担を言うね。
織田と森はタンスやダンボールなどの重たい物の移動」

「「ういっす」」

「凛子さんと樋口さんは食器や小物を所定の場所に入れていって。場所を記載したメモは後で渡すね」

「わ、分かりました」

「オッケー」

「あれ? センパイ、私と与謝野先輩は?」

「君と与謝野さんは外に買い出し」

「えぇ〜私も何かしたい〜!!」

「七海は元から戦力に入れてない」

「酷っ!?」

「「いや、それ妥当な判断です(だよ)先輩(国木田)」」

まさかの七海以外が全員賛成していた。

「皆さんもっと酷いですって!?」

「で、与謝野さんは騒ぎそうだから七海と一緒に買い出しに行ってもらうね」

「あれ? 私も平塚と同列ですか……?
結構きますねこれって……」

と与謝野さんは若干落ち込んだトーンで言っていた。
どうやら本人は七海と同レベルであるのがショックみたいだが日頃の行いから来ているのだから仕方ないだろう。

「今日はみんな来てくれてありがとう。
とりあえず今日中には終わらせるよ!!」

「「おぉ〜〜!!」

と僕らは荷解きに取り掛かるのであった。

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