部活の後輩と付き合ってみた

きりんのつばさ

愛の力








明里ちゃんと話しながら成人式の会場に入った。
中に入ると中には当たり前の様に沢山の同年代の人がいた。

「うわぁ〜沢山の人達だ〜」

「ちょっとななみん、どこにいくの?」

「あっ、ごめん〜」

「ちょっと目を離した瞬間にいなくなるってある意味
ななみん才能だよ。彼氏さん大変だね……」

「うんうん私もそう思う」

よくこんなワガママな彼女に付き合っていると思う。
あの人が元々お人好しなのもあると思うけどそれを抜きに
しても凄いだろう。
……まぁそんな人を惚れさせた私って凄いよねっ!!

「……なら直そうよ」

はい、全くその通りです。



中々座れる席を見つけられずに困っていたがなんとか
2人分の座れる席を見つけて確保した。
そして成人式が始まった。

「ーーこれからの日本を背負っていく君たちは……」

と多分市長だろうと思われる人のありがたいお言葉から
始まったのだが……

「飽きた」

「ねぇななみん……飽きるの早くない?」

隣の明里ちゃんが呆れた風に言ってきた。

「だってどうせどこ行っても毎年同じ様なお言葉でしょ?
眠たくなってくるよ〜というか眠い」

なんせ今日は着付けのため朝5時から起きて準備していたのでとてつもなく眠い。
毎日センパイは7時に起こしてくるが今日はそれよりも
2時間早くお母さんに起こされた。

「ほらあと数分で終わるだろうから頑張ってよ」

「むぅ……センパイのキスで起きるよ〜おやすみ〜」

「彼氏さんにどれだけ甘やかされているの……
って次のイベントは見た方がいいよ」

「えっ? どうせ次も毎年恒例の新成人の壇上上がり
なんでしょ? テレビで見飽きたよ……」

「そりゃ毎年いるけど、それはイベントじゃないよ……
じゃなくてパンフレット見てって」

「パンフレット……」

そう言えば成人式の知らせの封筒にそんな物が入っていた
様な気がしたので試しに持ち物の中を確認してみた。

「あっ、忘れた」

「ななみん……これ見て」

と隣からパンフレットを渡された。
うん、やっぱり持つは優しい彼氏と親友だねっ!!
なんて思いながらパンフレットをみると次の項目には

“新成人代表の言葉”

と書いてあった。

「これもありきたりじゃん……」

「いやね、この代表が私達の高校の同級生なんだよ」

「あれ? そんなすごい人私達の高校にいたっけ?」

「いたじゃん、生徒会長やっていた男子」

「あぁ〜彼か」

親友に言われてようやくその人物を思い出した。
サッカー部で生徒会長、学業優秀性格良しという
完璧超人がそう言えばいたなと頭の隅から呼び起こした。

「なんせ彼はストレートで国内トップクラスの大学に
合格したりしているからね〜」

「……どうせ私は一浪ですよ〜だ」

まぁそのおかげ? もあってセンパイと会えたし〜付き合える
事が出来たからプラマイ無しだし〜。
……いや逆にプラスかもしれない。

「な、なんかごめん……だ、だからほら最前列見て?」

「最前列?」

言われて最前列を見ると何故か女性陣が揃っていた。

「あれ、全員彼のファン」

「わぉ……なんというか凄いね」

「でしょ? まぁ彼は他校じゃなくて地域の同年代なら誰でも
知っている様な人間だからね」

「肉食系女子恐ろしや……」

まるでアイドルのライブなのだろうかと思ってしまう。
実際そんな人物だったのだから当然なのかもしれない。

「いやなんか違う気がするけどね……
あっ、そう言えば」

「何? 次の次のイベントのこと?」

「いやいや思い出したんだけどね。
高校でさっきの彼と同じぐらい頭が良い男子いたじゃん」

「頭が良い男子……?」

「ほら頭は良いけど嫌味な事ばっかり言ってくる男子」

と言われて高校時代の記憶を必死に探る。
そしてとある人物が思いついた。

「あっ、そう言えば頭が良いのに嫌味ばっかり言って
私にテストの点数でコテンパンにされた彼か〜」

「……ななみんって意外と学年順位毎回2位か3位だった」

「意外は余計だよ!?」

そんな事を言う明里ちゃんも結構上位にいた様な気がする。

「その男子って七海にしつこかったでしょ?」

「あぁ……言われてみればそうだったかも」

徐々に思い出してくる記憶と共に彼の行動も
思い出してくる。
事あるごとに自分の学力を自慢してきて途中から
適当に相槌をしていたと思う。
というかその彼がどうしたのだろうか?

「その人がどうしたの?」

「なんかまだ執着しているらしいよ?」

「はぁ……面倒だな……
ーーあっ、でもセンパイなら束縛してもらっても大丈夫!!
むしろもっと束縛して欲しい!!」

あのセンパイから“束縛”なんて考えられないけど
そのギャップがたまらない。

「……なんかななみん変わった?」

「ふっふっふっ………変わったよ……!!
ーー愛の力でね!!」

「そ、そうなの……」

今まで見たことの無いぐらいの引いている表情をしている
我が親友兼幼馴染であった。






次回以降事件発生


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