部活の後輩と付き合ってみた

きりんのつばさ

明けましておめでとう〜〜!!






七海と新年を迎えた後、彼女は僕に抱き着いたまんま
寝てしまい、引き剥がすのに苦労した。
そして正月元旦の朝
「明けましておめでとう〜〜!!」
「明けましておめでとうございます」
僕らは揃って七海のご両親に挨拶をした。
「うむ、2人とも明けましておめでとうだ」
「おめでとうね〜」
七海のご両親は既にリビングにいてお父さんはテレビを見て
お母さんの方はキッチンで慣れた手つきでおせちを
準備していた。
……お母さんの方はあんなに料理出来るのに何故その娘は
家事全般が壊滅的なのだろうか。
不器用ならまぁ納得出来るかもしれないが七海は結構器用な
方であり、容量もはっきり言うと僕よりも良い。
だが何故か家事に関してはその容量の良さは適用されない。
「ん? どうしましたか?」
七海は僕が彼女の顔を見ていたのに気づいたのか
僕にそう尋ねてきた。
「いや、何でもないよ」
……流石に正直な事は言いにくい。
だかた僕ははぐらかす事にした。
「あっ、分かりました!! 私の可愛い顔に新年から
見とれていたんでしょ〜?」
「ない、絶対ない、それはない」
「“無い”って3回も言いますか普通!?」
「すまん、つい強く否定しなきゃいけないような気がして
3回も口に出してしまった」
「フォローする気一切ないよ!?」
「あらあら元旦から熱いわね〜
ーーこれだと孫の顔もすぐ見れるかしら〜」
「貴方は自分の娘に何を言っているんですか!?」
僕はここまで自分の娘に孫を大学生のうちからせがむ親を
初めて見た気がする。
「うん、頑張るね私!!」
それに元気に頷く七海。
「待て待てそこで頑張るな」
「なんでですか〜私達新年から同棲するんですよ?
毎日夜這いし放題!!」
「ここ君のご両親いるよね!? というか七海がそれを言うと」
「俺は認めないからな!!」
最早安定の流れとなり始めている七海のお父さん。
「……言わんこっちゃないだろうが」
「大丈夫ですよセンパイ〜パパはすぐに黙りますから〜
ーーパパ、孫の顔見せない」
「ぐはっ……」
新年早々倒れこむお父さん。
お父さんが怒って、それを七海かお母さんが黙らせるという
一連の流れが完結した訳だがお父さんは日々こんなに言われて
耐性はつかないのだろうかと思ってしまう僕であった。
「七海、夜這いするなら毎日はダメよ?
男の人の我慢が来そうな日に行くのが1番効果的よ」
と自分の娘に夜這いの効果的な方法を吹き込んでいる
七海のお母さん。
「あんたは娘に何吹き込んでいるのかなぁ!?」
「うん、分かった!! センパイが自ら襲ってくるような
環境を作ればいいんだね!!」
「そして君はそれを真に受けない!!」
新年早々騒がしい彼女宅であった。


「それで拓海くん達の新年の予定はどうするのかしら?」
「まぁお2人もご存知だと思いますが僕の両親が七海に
会いたい会いたいってうるさくて……」
丁度、七海との同棲が決まったぐらいだろうか
親父や母さんから七海と会いたいという内容のメッセージが
沢山来ていて、しつこかった。
「だから明日帰るね〜」
「分かったわ〜」
「あぁ……七海が……行ってしまう……」
「もうパパったらこれが最後って訳じゃないんだから
そんなに悲しまなくても良いじゃん〜」
「まぁまぁ七海、お父さんはそれだけ七海の事を大切に
思っているって事なんだからさ」
「じゃあセンパイのご両親がそう言ってきたら?」
「はっ? 何言っているの? 病院行ってこい」
「私のパパも凄いですがセンパイも大概だと思いますが……」
「僕の両親と比べたら七海のお父さんに失礼だよ」
あんな面倒な両親とこんなにも娘を大切に思っている
お父さんを比べるなんて七海のお父さんにとても失礼だと
思うのは普通だと思う。
なんて僕が思っていると七海は僕の顔を見て
「……ある意味、センパイらしいですよ」
と言っていた。
そしてゆったりと話してしばらくすると
「ところで2人はいつから同棲するのかしら?」
七海のお母さんがそんな話をしてきた。
「まぁ今のところ、テストが終わる2月ぐらいを予定
していますけど……」
流石にテストが終わってからゆっくりと引っ越しぐらいは
したいと思う僕である。
「えぇ〜!? そんなにお預けなの!? 私寂しくて
死んじゃうよ〜〜!!」
「……お預けって家、隣だよね」
現在進行系でお隣さんである。
「てへっ、バレた?」
と可愛らしく舌を出す七海。
「バレないと思った君の頭に尊敬の念を抱くよ……」
「褒めても私の身体しか出ませんよ〜」
「褒めてないし、女の子がそんな発言してはいけません」
というか“私の身体しか出ない”ってこの子は自分がとんでもない
発言をしている事に気づかないのだろうか。
……なんかとても今更という気がするけど。
「えぇ〜いけず〜チキン〜ヘタレ〜」
「よし、その言葉は僕に対しての宣戦布告だと
捉えていいんだな?」
「ふふん、そうですよ〜この私に勝てるなんて
思わない事ですね〜?」
「よし、料理で勝負だ」
この瞬間僕の勝ちが決定した。
「この人私に勝たせるつもりない気だ!?」
「そんなの当たり前じゃないか。誰が相手に有利な勝負を
挑む人がいるんだ」
「センパイなら私に甘いから私が勝てる勝負を挑んでくれる
かなって思うじゃん!!」
「……毎回思うのだけど僕ってそんなに君に甘いか?」
「だって“だだ甘の国木田”ですよ!! 私を甘やかす事に
関しては右に出る人はいないって部内でゆうめーー」
「決めた。しばらく七海に厳しく接しよう」
「鬼!! 新年早々だけど隣に鬼がいる!!」

なんていう会話をしながら元旦の日は過ぎていくのであった。





次回で彼女の実家編はおしまいです。

昨日、1つ長い短編を書きました。
「魔王と1人ぼっちの少女」です。
いつも投稿している話よりも5、6倍長いですが
是非読んでくださると嬉しいです。

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