部活の後輩と付き合ってみた

きりんのつばさ

可愛い彼女






凛子の暴走を毎度? の様になだめてから俺はそのまま
彼女の家で昼ごはんを食べていくことになった。

「せめて遅刻したのでご飯を作らせもらえますか?」
「えっ、いいのか?」
「え、えぇ……私の手作りのご飯でよければ……」
「何言ってるんだよ!! 彼女に手作りの料理を作って
もらえるなんて男のロマンだぜ? 
拒否をする訳ない!!」
そしてこんな可愛い彼女に作ってもらえるなんて
尚更テンションが上がる。
「そ、そうですか……ふふっ、では作りますね」

そんな流れがあり凛子に作ってもらっているのだが
「ふふ〜ん、ふふん〜」
と結構上機嫌な我が彼女。
(何であんなに機嫌がいいんだ……?
というか何故……何故その服のまま料理をしている?)
そうなのである。
何故か部屋着である怪獣の着ぐるみでの上から
エプロンをして料理をしている。
食材を入れたり、鍋を動かす事によって身体が動く度
着ぐるみに付いている尻尾がちょこちょこ動いていて
これまた可愛い。
「えい、よっ、よいしょ」
小さい身体ながらも鍋を動かしている。
(まぁ凛子が可愛いからいいか……)
何で部屋着があの服なんだとツッコミを考えたが
彼女のちょこちょこ動く姿を見ていると正直
どうでもよくなってくる。
そしてこの結論に至る。

ーー可愛いは何事にも勝る武器だと。



「結城先輩出、来ました」
「おお〜すげぇ〜!! 美味そうじゃん!!」
机の上に出されたのは
匂いから既に美味しそうな回鍋肉、白いご飯、スープ
という俺にとって豪華な料理達であった。
「ど、どうも……先輩とデートしている中でよく先輩が
食べている物、国木田先輩や織田先輩達に話を聞いて
その中で結城先輩が好きそうなのを探し出しました。
回鍋肉は嫌いですか……?」
「いいや大好きだ!! というかよくそんなに
調べたよな……」
デートの俺の行動を観察するならまだしも国木田先輩や
織田達、上級生によく聞いたと思う。
……まぁ2人とも比較的に話しやすい上級生であったと
してもそれでもその勇気は本当に凄いと思う。
「それはもう……せ、先輩に喜んで貰って
褒めてもらいたかったからです……」
「り、凛子ーー!!」
感動の勢いのまま俺は彼女を抱きしめた。
あっ、ちなみに料理は置いた後だから何もこぼしてない。
「ち、ちょっと先輩!? い、いきなり何を!?」
「いやーーまさか俺の為にそんな事までしてくれて
いたなんて……俺嬉しくて……!!」
「そ、それは嬉しいですけど……!!
流石にこの体勢は恥ずかしいですよ……!!」
顔を真っ赤にして文句を言う凛子。
文句を言っている割には俺を突き放そうとせず
俺のされるがままになっている。
その様子が更に俺の保護欲を掻き立てる。
「あ〜可愛いな凛子は〜!!」
「せ、先輩が近い……!!
「凛子が可愛い〜〜!!」
俺は食事をそっちのけにしてひたすら凛子を
抱きしめる事にしばらく夢中になっていた。



「では、いただきます……」
「どうぞ……」
しばらく凛子を抱きしめて凛子の身体の柔らかさを
堪能した後、凛子が作ってくれた料理を食べる事にした。
「はむっ……」
「ど、どうですか……?」
「うん、美味い!!」
「ホッ……先輩の舌に合ってよかったです」
とさっきまで緊張で強張っていた表情から一転して
安心した表情になった。
「いやいや本当に美味しいって!!
特に回鍋肉とか味付けが俺好みだし!!」
「先輩の好きそうな味を研究して作ってみました……
国木田先輩にはまだ及びませんけど……」
「いやいや凛子のも美味いって!!
あと国木田先輩は料理に関しては別格だから
比べない方がいいぞ」
あの人の料理を最初に食べた時、しばらく自分が作った
料理が不味すぎてあまり食べれなかった。
「……ですよね。あの先輩の料理を毎日ほぼ毎食
食べれる七海が羨ましいですよ」
「だな……その面に関しては平塚が羨ましいな
まぁ俺は凛子の料理があれば良しだが!!」
確かにあの先輩の料理は美味い。
だがそれでも愛しの彼女が作ってくれる料理は
それ以上に美味いと思う。
「あっ……」
と何かに気づいた様に声を出した凛子。
「どうした凛子?」
「国木田先輩が何であんなに料理を作った後
笑顔になれるのか分かった気がします……」
「それは何でだ?」
「それは……料理を作ってそれを美味しそうに食べて
笑顔になっているのを見ているからでしょうか?」
「……おぉ、マジか。まぁでもあの人の場合は
平塚が美味しそうに食べているのが何よりも
堪らなく好きなんだろうけどな」
あの人はいつも平塚第一主義だ。
料理に関しても平塚が美味しそうに食べているのを
見て一番喜ぶ人だ。
「結城先輩って本当に国木田先輩の事好きですね。
だって国木田先輩の事を話す時にとても嬉しそうな顔で
話すんですよ」
と言われた。
「そうか……? 凛子の平塚大好きに比べたら
まだまだだと思うがな」
「……別に七海の事なんてただ授業が同じだけで」
目線を逸らしながら恥ずかしそうに言う凛子。
でも俺は知っている事がある。
凛子は授業の組み合わせを平塚が入れた時間割を見て
入れていた事を平塚から聞いていた。
「と言っても平塚の事をほっとけないんだろ?」
「ま、まぁ……それはあの子は目を離すと何をするか
分かったもんじゃないですからね」
「凛子も本当に平塚の事好きなんだな。
話を聞いていてよく分かる」
「べ、別に好きじゃありませんって!?
誰があんな惚気をばら撒く子と……」
「と言っても何やかんやで平塚が好きな凛子であった」
「話を聞いてくださいって〜〜!!
もう〜〜七海のバカ〜〜!!」
と2人しかいない家に凛子の叫び声?が響くのであった。





その頃の七海


「ん? 今誰か私の噂をしたよね?
誰かな〜センパイかな〜?
あっ、でもこの感じは……」

ふとその場に立ち止まり考えた。
そして至った結論は……

「多分凛子だね!! もう〜凛子ったら
私の事大好きなんだから〜!!
あのツンデレ娘め〜可愛いな〜!!」

と親友の事を想像しながら
買い物を続けるのであった。

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